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絵画と表象Ⅰ
巻次:Ⅰ
ガブリエル・デストレからユベール・ロベールへ
原書: Ars Praemoderna in Francia IVPICTURA ET REPRAESENTATIO I Ex Gabrielle d’Estrées ad Hubert Robert
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年3月
- 書店発売日
- 2015年3月12日
- 登録日
- 2015年3月10日
- 最終更新日
- 2015年3月10日
紹介
ガブリエル・デストレの乳首/紅玉と指先の蒼玉に、ル・ナン兄弟の描く農民の姿に、ブーシェの描く〈優美〉で艶やかな女性美に、ラ・トゥールの描く《ポンパドゥール侯爵夫人》に、ヴィアンの描く《アモルを売る女》に、廃墟のロベールが描く〈甘美な憂鬱〉たるアルカディアに、これらの創造の軌跡とさまざまな美的表象を探り、フランス近世美術の華麗なる真髄を明らかにする!
目次
プロローグ フランス近世美術の魅力 大野芳材
第1章 《ガブリエル・デストレとその妹》──フォンテーヌブロー派の女性表象の系譜 田中久美子
第2章 ル・ナン兄弟の農民画──《農民の家族》をめぐって 栗田秀法第3章 ブーシェと優美 伊藤已令
第4章 モーリス = カンタン・ド・ラ・トゥール《ポンパドゥール侯爵夫人の肖像》──啓蒙の世紀の肖像画 船岡美穂子
第5章 ジョゼフ = マリー・ヴィアンの《アモルを売る女》 矢野陽子
第6章 ユベール・ロベールの廃墟──甘美な憂鬱と時間性の表現をめぐって 金沢文緒
エピローグ フランス近世美術の知的な叙情性──解説にかえて 大野芳材
註
人名索引
前書きなど
髪の毛の色を除けば瓜二つの二人の女性、表情のない顔、起伏のない肌に覆われたのっぺりとした裸体。動きのない二人の女性の肉体とは対照的に、彼女たちの腕の動きは雄弁である。一人の女性がもう一人の女性の乳首をつまみ、その女性は指輪をつまんでこちらに差しだしている。いわくありげで謎めいたこの場面は多くの人々を魅了し、さまざまに解釈されてきた。赤いカーテンがめくられて、そこに隠れた秘め事を私たちは覗き見しているような気さえしてくる。ルーヴル美術館に所蔵される《ガブリエル・デストレとその妹》は、フォンテーヌブロー派の逸名の画家によって一六世紀末に制作された。フランソワ一世のもとでフォンテーヌブロー宮殿を中心にイタリアのマニエリスムの様式とフランス的雅びの融合した独特の宮廷文化として展開した第一次フォンテーヌブロー派の美術は、一六世紀末のアンリ四世の時代には、第二次フォンテーヌブロー派によって装飾性と官能性をはらんだ様式として開花していく。この作品はアンリ四世のもとで描かれたものである。ブロンドの髪の女性はアンリ四世の寵妃ガブリエル・デストレで、乳首をつまんでいるもう一人の女性はガブリエルの妹ヴィラール侯爵夫人とされている。このフォンテーヌブロー派の流れに続き、ル・ナン兄弟の描く農民の姿に、ブーシェの描く〈優美〉で艶やかな女性美に、ラ・トゥールの描く《ポンパドゥール侯爵夫人》に、ヴィアンの描く《アモルを売る女》に、廃墟のロベールが描く〈甘美な憂鬱〉たるアルカディアに、これらの創造の軌跡とさまざまな美的表象を探り、フランス近世美術の華麗なる真髄を明らかにする!フランス近世美術の進展と精華を明らかにする!
上記内容は本書刊行時のものです。