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経済的思考の転回
世紀転換期の統治と科学をめぐる知の系譜
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2014年7月
- 書店発売日
- 2014年7月25日
- 登録日
- 2014年6月19日
- 最終更新日
- 2016年3月16日
紹介
〈市場経済論のオルタナティヴ〉
新自由主義といわれる現代の経済理論の中心は、すべてを商品化して計量する、いわゆる市場理論と言われるものです。この理論の創始者はF.A.ハイエクですが、彼の理論形成の時期は20世紀の発端の第一次と第二次の世界戦争の間でした。
この時期は19世紀後半以降の熱学思想の進展が、ニュートン力学を基礎とする自然認識の根本的な変革を迫った世界認識の大転換の時期で、その影響を真正面から受け留めた経済思想を考えた人が本書の中心テーマのオットー・ノイラートです。彼の資源・エネルギーを含めた人間の生存条件を踏まえた統治の経済思想を、ハイエクの市場理論との比較を通じて明らかにする経済学史上の再発見です。
目次
序
〈経済〉の原像
熱力学と経済思想
〈経済〉の統治をめぐって
第一章生物経済学(バイオエコノミクス)の源流
一 力学的自然像の崩壊
カルノーからクラウジウスへ
永久機関の不可能性
二 エネルゲティーク
オストヴァルトの自然哲学
エネルギーと文化理論
三 生命と富
四 生命―都市(バイオポリス)の経済学
経済学原理の分析
ゲデスの地域主義
五 富と負債
反転する科学
ソディのエルゴソフィ
仮想的富、負債の法則
六 社会エネルギー論とハイエク
〈オイコス〉の再建
「科学」の方法
「科学」による統治
自由な社会の敵?
第二章自然経済の理論――オットー・ノイラートの経済思想
一 社会主義計算論争の失われた位相
標準的解釈
代替的解釈
計算論争の失われた位相
二 ノイラートの問題圏
古代経済史と戦時経済の研究
実践する社会主義者として
ウィーン学団の異端者
三 幸福の地勢学(トポロジー)
〈経済〉の歴史的・批判的分析
フェリシトロジー
〈地質学的主体〉としての人間
自由なる展望
第三章経済的統治の論法――エコノミーからカタラクシーへ
一 科学的ユートピアの実践
二 計算合理性への鈍化
ミーゼスとウェーバー
市場社会主義
三 社会工学の陥穽
集中・統合できない知識
テクノクラート批判
四 エコノミーとカタラクシー
経済的主権者の不可能性
形式化するエコノミー
第四章オイコノミアと自然の理法
一 似非合理主義批判
二 〈経済〉の合理性
収益性と経済性
実質経済学の系譜――ノイラート、カップ、ポランニー
社会工学と統一科学
三 経済的寛容と多元主義の原理――societas societatum
機能的社会主義
経済的寛容
モニズムへの対抗
四 社会化と自由の生産
結び
注
あとがき
参考文献
索引
上記内容は本書刊行時のものです。