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海賊ユートピア
背教者と難民の17世紀マグリブ海洋世界
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2013年4月
- 書店発売日
- 2013年4月18日
- 登録日
- 2013年3月14日
- 最終更新日
- 2016年3月16日
書評掲載情報
2013-07-21 |
読売新聞
評者: 星野博美(ノンフィクション作家、写真家) |
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紹介
17世紀の北アフリカ、そこにはキリスト教の背教者=海賊たちが生み出した共和国があった。イスラームに魅せられ独自に進化した「裏切り者たち」のコミュニズムとアナキズム、その先駆的かつ躍動的な文化・統治・生を、「社会レジスタンス」の可能性として現代に鮮やかに蘇生させる、「危険な物狂いたち」のための反社会宗教史。伝説の書『T.A.Z.一時的自律ゾーン』のハキム・ベイが別名義で解き放つ、惜しげない「真の贅沢」に向けた「荒ぶる航海」!
目次
日本語版序文「荒ぶる航海」
第一章「海賊とマーメイド」
第二章「トルコ人になったキリスト教徒」
第三章「暗殺による民主主義」
第四章「チンピラ連中」
第五章「チュニスの雪花石膏宮殿」
第六章「サレーのムーア人海賊」
第七章「ムラド船長とボルティモア略奪」
第八章「海賊カレンダー」
第九章「海賊ユートピア」
第十章「「厄介なトルコ人」と呼ばれた、オールド・ニューヨークのムーア人海賊」
訳者解題「ラバト・サレー海賊の反社会的可能性」
版元から一言
本書は、海賊史のなかでも、近代を準備しイギリス・スペインの覇権を支えたような海賊たちではなく、17世紀モロッコの、サレー・ラバト地域を拠点とした海賊、主にキリスト教からの背教者、あるいはそこから迫害された人々に焦点をあて、またそれが著者の先駆的な歴史の掘り起こし作 業(手法)とも相俟って、極めてユニークな本となっていると思います。
本書の帯文には、そうした海賊のマイナー性を名指し、「裏切り者」、「危険な物狂い」といった物々しい言葉が並んでおりますが、本書のもう 一つのテーマとして昨今もてはやされる“流動化”が、一方で社会や個々人の硬直化をもたらすようなジレンマが続くなか、“社会的遠心力として 海賊的パッション”をいかに現代においても想像(=創造)しうるのか、ということを、著者をはじめ、訳者、編集側からの問題提起として込めまし た。
他に類を見ない博識をもつランボーン・ウィルソン(ハキム・ベイ)の世界をぜひお楽しみください。
上記内容は本書刊行時のものです。