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わたしの家
痕跡としての住まい
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2013年3月12日
- 登録日
- 2013年1月23日
- 最終更新日
- 2023年3月15日
書評掲載情報
2013-04-07 | 日本経済新聞 |
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紹介
ヴァルター・ベンヤミンは、近代化以降、「家」もしくは「室内」は、その人らしさ
を映し出す「痕跡」であると言っている。どんなに乱雑な部屋でも、あるいはあ
る一つの趣味に統一された室内でも、最小限のスペースしかない家であろうと
も、家からはそこに住まう人が見えてくる。最小限の家コルビュジエの南仏の小
屋。書物を読み書くことを優先させた荷風の偏奇館。放浪作家、林芙美子の終
の棲家……。デザイナーや作家の家などの家を例にとりながら、人と家との関
係について探っていく。
また21世紀となり、私たちはもう一つの室内ともいえるコンピュータを手にし
た。そのバーチャルな私的空間も、あらたな私の痕跡である。私だけの守られ
た場所にいながら、私たちは世界中ともアクセスすることができる、技術の変
化とともに、変わっていく「私」の領域。その痕跡についても考える。人にとって
居場所、家、部屋とはなんなのだろうか。人は家に何を求めるのだろうか。その
ことを歴史的に捉えなおしたのが本書である。
目次
●作家たちの家
偏奇館の『断腸亭日乗』――荷風の室内
童謡作家の室内――「木兎の家」
放浪ではなく終の棲家――林芙美子邸
宮沢賢治のコスモス(楽園)=花壇
痕跡としての室内・澁澤龍彦の部屋
柳宗悦邸見学紀
室内をめぐる物語――ポール・オースター『ブルックリン・フォリーズ』
女中タキの「部屋」――終の棲家
●室内と痕跡
室内の観相――住まいと痕跡
三三六×三三六×二二六センチの家具――コルビュジエの最小限住宅
身体を補足する装置(家具)
箱・キャビネット・室内という書物
コラージュとしての室内
いつも明かりを求め楽しんできた
●室内と安全
わたしのもの(私物)――わたしの場所(室内=内面)
鍵=内と外を認識させる装置
防御・防護・遮断することをめぐって
個人の居場所――室内・パソコンへの侵害
街路の傍観者・監視者
上記内容は本書刊行時のものです。