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ダウン症の歴史 デイヴィッド・ライト(著) - 明石書店
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ダウン症の歴史 (ダウンショウノレキシ)
原書: Downs: The history of a disability

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発行:明石書店
四六判
256ページ
上製
定価 3,800円+税
ISBN
978-4-7503-4132-3   COPY
ISBN 13
9784750341323   COPY
ISBN 10h
4-7503-4132-0   COPY
ISBN 10
4750341320   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年2月
書店発売日
登録日
2015年2月13日
最終更新日
2015年2月13日
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書評掲載情報

2015-07-12 読売新聞
評者: 熊谷晋一郎(小児科医)
2015-05-17 読売新聞
評者: 渡辺一史(ノンフィクションライター)
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紹介

中世、啓蒙主義の時代、そして施設隔離政策と優生学の時代をへて獲得した社会統合への道のりの中で、ダウン症・知的障害はどう認識され、位置付けられてきたのか。ダウン症のある人々の歴史を、医学的進展の面だけでなく社会的・政治的文脈から捉え直す論考。

目次

 謝辞


プロローグ

第1章 哲学者がみた白痴
 国王大権
 啓蒙された白痴
 フレンチ・コネクション
 結論

第2章 私たちの中の蒙古人
 白痴保護院
 精神科医と精神医学
 大西洋を越えた蒙古症
 蒙古症の病因
 結論

第3章 猿線
 精神衛生と蒙古症
 精神薄弱の構築
 知能検査
 精神薄弱の断種
 断種から根絶へ
 ライオネル・ペンローズと遺伝学の夜明け
 結論

第4章 21トリソミー
 臨床遺伝学の誕生
 ジェローム・ルジューヌ
 ダウンの異常
 ノーマライゼーション
 ケネディ家とスペシャル・オリンピックス
 結論

第5章 一般の社会の中へ
 親の会
 出生前スクリーニングの興隆
 ダウン症と妊娠中絶論争
 救命治療の見合わせ
 ダウン症と権利論争
 表象化するダウン症
 結論

エピローグ ダウン症の未来

 用語集
 文献紹介
  日本の研究状況
 注
 訳者あとがき

前書きなど

訳者あとがき

 (…前略…)

著者デイヴィッド・ライトの歴史観
 ここで、デイヴィッド・ライトの略歴と研究業績について紹介しよう。カナダ生まれのライトは、モントリオールのマギル大学を卒業後、イギリスのオックスフォード大学の歴史学部に所属した。オックスフォード大学のウェルカム医学史ユニット長で、のちに、ケンブリッジ大学の人口史グループの所長になったリチャード・スミス(Richard Smith)の指導のもと、博士号を取得した。同時に、優れた医療史学者であるアン・ディグビー(Anne Digby)の薫陶も受け、知的障害のある人々の歴史についての最初の論文集、From Idiocy to Mental Deficiency: Historical Perspectives on People with Learning Disabilities [London, 1996]を彼女と共編著した。また、オックスフォード大学出版局から出た単著Mental Disability in Victorian England: The Earlswood Asylum 1847-1901[Oxford, 2001]は、イギリスにおける知的障害のある児童の施設を検討した歴史研究であり、その研究方法において数多くの学者に影響を与えた。ロイ・ポーター(Roy Porter)と共編した書物The Confinement of the Insane, 1800-1965: International Perspectives[Cambridge, 2003] は、精神障害のある人々の歴史を国際的な視点で分析することを提唱した最初の大きな業績の一つである。この書物は、2011年にペーパーバックで再版された。ライトは、カナダに帰国したのちも、カナダの精神病院の記録と、他の旧イギリス植民地の記録の分析をてがけ、多くの若手の研究者を育てている。
 ライトは、本書において、イギリス留学中に会得した医学史の手法を用いて、知的障害、さらに、ダウン症の歴史について叙述した。ここで言う手法とは、両者が、時間軸上の様々な空間で、どのように読み解かれ、どのように取り組まれたのかについて検討することだ。本書では、知的障害・ダウン症が解釈され、対処された空間は、中世から現在までの約750年間において、時には制度や組織の中に、時には地域社会や家族の中に存在していたことが明らかにされている。また、知的障害・ダウン症は、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本など、多数の国々の間で同時並行的に、または時間的なずれを起こしつつ理解され、対処されてきたことも言及されている。そして、歴史上の、政治的・法的・経済的・学術的・社会的な場で、知的障害・ダウン症のある人々が経験した受容と排除の内容が考察されている。

 (…後略…)

著者プロフィール

デイヴィッド・ライト  (ライト,デイヴィッド)  (

カナダ、モントリールのマギル大学健康・社会政策研究所カナダ研究科長および歴史学教授。歴史学の訓練を受け、専門分野は医学史・障害史。精神衛生と精神医学の歴史に関する8冊の著書、編著書がある。知的障害の歴史を扱った著作に、Anne Digbyとの共編著From Idiocy to Mental Deficiency: Historical Perspectives on People with Learning Disabilities (Routledge, 1996)、Roy Porterとの共編著The Confinement of the Insane, 1800-1965: International Perspectives(Cambridge University Press, 2003)がある。

大谷 誠  (オオタニ マコト)  (

同志社大学大学院文学研究科で博士(文化史学)を取得。現在、同志社大学文学部嘱託講師。専門分野は西洋史・医学史・障害史。主な論文として、「世紀転換期イギリスにおける『精神薄弱者問題』――上流・中流階級と『公』的管理」(川越修・鈴木晃仁編『分別される生命――二〇世紀社会の医療戦略』法政大学出版局、2008年)、「知的障害の歴史――イギリスと日本の事例」(山下麻衣と分坦執筆、松井彰彦・川島聡・長瀬修編『障害を問い直す』東洋経済新報社、2011年)、「社会階層と『精神薄弱者』――二〇世紀前半のイギリスを事例として」(山下麻衣編『歴史のなかの障害者』法政大学出版局、2014年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。