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改革開放後の中国僑郷 山下 清海(編著) - 明石書店
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改革開放後の中国僑郷 (カイカクカイホウゴノチュウゴクキョウキョウ) 在日老華僑・新華僑の出身地の変容 (ザイニチロウカキョウシンカキョウノシュッシンチノヘンヨウ)

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発行:明石書店
A5判
284ページ
上製
定価 5,000円+税
ISBN
978-4-7503-4120-0   COPY
ISBN 13
9784750341200   COPY
ISBN 10h
4-7503-4120-7   COPY
ISBN 10
4750341207   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年12月
書店発売日
登録日
2014年12月24日
最終更新日
2014年12月26日
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紹介

華僑の故郷「僑郷」では、彼らの活動やネットワークの形成によって、豪邸の建築ラッシュや海外文化の浸透、農業離れ、海外企業誘致の進展・停滞といった、さまざまな変容が生じている。急速に変化する中国を、改革開放後の「新華僑」との関係から考察する。

目次

 はしがき(山下清海)


Ⅰ 中国人の海外移住と僑郷

 1 僑郷研究の視点(山下清海)

 2 グローバル化と人の移動(小木裕文)
  1.福清華人社会について
  2.日本と福清との歴史的つながり
  3.福清僑郷の変化
  4.福清人の移住要因
  5.福清ネットワーク
  6.おわりに

 3 中国の労働力輸出(杜国慶)
  1.中国における労働力海外送出の背景
  2.労働力海外送出の制度および枠組み
  3.中国の労務合作および変化
  4.中国労働力送出先の類型区分


Ⅱ 福建省福清の僑郷

 1 福清僑郷と福清移民ネットワーク(小木裕文)
  1.福清華人社会について
  2.日本と福清人との歴史的な繋がり
  3.海外を目指す福清人
  4.福清人の移民の要因
  5.グローバル化する華人と華人ネットワークの変容
  6.おわりに

 2 在日老華僑および新華僑の僑郷としての福清(山下清海・小木裕文・松村公明・張貴民・杜国慶)
  1.はじめに
  2.伝統的僑郷としての福清と福清出身の老華僑
  3.改革開放後の新華僑の送出
  4.日本における福清出身新華僑の増加と滞日生活
  5.福清出身新華僑の僑郷への影響
  6.おわりに

 3 僑郷における農村景観と農業――福建省福清市を例として(張貴民)
  1.はじめに
  2.僑郷の分布
  3.福清市の自然条件
  4.僑郷の経済と農家収入
  5.僑郷の農村景観と農業
  6.おわりに


Ⅲ 浙江省温州近郊青田の僑郷

 1 世界の中の温州人(山下清海)

 2 温州近郊青田県の僑郷――日本老華僑の僑郷からヨーロッパ新華僑の僑郷へ(山下清海・小木裕文・張貴民・杜国慶)
  1.はじめに
  2.青田人の海外出稼ぎの伝統
  3.改革開放後の新華僑の増加と僑郷とのつながり
  4.僑郷の地域的変容
  5.おわりに


Ⅳ 中国東北地方の僑郷

 1 中国残留帰国者の僑郷――黒竜江省ハルビン市方正県(山下清海・小木裕文・張貴民・杜国慶)
  1.はじめに
  2.満蒙開拓団の入植と戦後の中国残留邦人
  3.水稲作の発展と農村・農業の変容
  4.僑郷としての社会経済状況と日本とのネットワーク
  5.おわりに

 2 海外出稼ぎに伴う僑郷の留守児童問題――吉林省延辺朝鮮族自治州(尹秀一)
  1.はじめに
  2.中国朝鮮族の海外出稼ぎ
  3.延辺朝鮮族自治州における留守児童の現状
  4.自治州政府,市県政府の対応策
  5.おわりに

 3 吉林省延辺朝鮮族自治州における僑郷の国境観光(松村公明)
  1.はじめに
  2.延辺朝鮮族自治州の地域概観
  3.長白山と国境観光
  4.図們江と国境観光
  5.おわりに


Ⅴ 中国僑郷と新華僑――世界と日本(山下清海)


  あとがき(山下清海)
  索引

前書きなど

はしがき

 (…前略…)

 次に,本書の構成について簡単に紹介することにする。本書では,日本在留の老華僑および新華僑の僑郷である福建省福清市,浙江省麗水市青田県(温州市の西に隣接),および黒竜江省ハルビン市方正県の3つの地域を事例地域に選択し,それらの地域でのインテンシブな現地調査にもとづいて考察を行う。
 「Ⅰ.中国人の海外移住と僑郷」では,僑郷を研究する視点・方法を説明した後,中国人の海外への移動,中国の労働力輸出について,グローバルな視点から論じる。
 「Ⅱ.福建省福清の僑郷」では,まず,福清出身の老華僑と僑郷との関係を考察し,福清からの新華僑の送出状況を概観する。福清は日本在留の老華僑の著名な僑郷であったが,改革開放後,いち早く日本へ多くの新華僑を送出した僑郷でもある。老華僑と僑郷のネットワークが,多くの新華僑を新たに送出したこと,日本で得た収入により,僑郷では豪邸の建築ラッシュが起こり,福清中心部には,高層マンションが多数建設され,福清の景観を一変させたことなどを,具体的事例にもとづいて解明する。その後,福清の農村部において,日本への出稼ぎで豊かになった者が農業に従事せず,福清の農業が国内の他地域出身者によって担われている状況を明らかにする。
 「Ⅲ.浙江省温州近郊青田の僑郷」は,日本の老華僑の僑郷として著名であった青田から,改革開放後,多数がヨーロッパに渡って行った過程・要因について考察する。青田は浙江省南部の主要都市,温州に隣接し,青田出身者も「温州人」に含まれる。古くから中国国内では,温州人は商売上手であるとみなされ,「温州商人」とよばれてきた。特にヨーロッパにおいて,大規模な中国系ショッピングセンターを経営したり,中国製品の貿易・販売で活躍している温州・青田出身者が多い。青田の中心部では,西洋料理店,カフェ,イタリア語・スペイン語などの外国語学校が多数みられ,中国料理店でもワインを注文する者が多い。本章では,このようなヨーロッパ新華僑の僑郷としての青田の地域的特色および人びとの生活様式の西欧化について論じる。
 「Ⅳ.中国東北地方の僑郷」では,もともと伝統的な僑郷は中国南部に位置していたが,1990年代以降,日本在留の新華僑の中には,中国東北地方の出身者が増えている。多くの中国残留孤児が残された黒竜江省ハルビン郊外の方正県では,中国帰国者として日本で暮らす者が増加するにつれ,日本と方正県の人的・経済的交流が増加した。方正県政府も,日本からの企業誘致や投資を期待して,「中国北方の僑郷」としての発展を目指しているが,2010年以降の日中関係の悪化により,その計画は停滞している。吉林省の延辺朝鮮族自治州からも,同地域の多数の朝鮮族が日本に在留し,彼らの日本からの送金は,延辺朝鮮族自治州の経済および観光の発展に大きく寄与している。
 「Ⅴ.中国僑郷と新華僑―世界と日本―」では,これまで論じてきた内容を整理し,グローバルな視点から改革開放後の中国僑郷の変化と現状を再考する。

 (…後略…)

著者プロフィール

山下 清海  (ヤマシタ キヨミ)  (編著

1951年 福岡県福岡市に生まれる
現在 筑波大学生命環境系教授
専門 人文地理学,中国・東南アジア地誌,華人・華僑研究
《主要著書・論文》
『現代のエスニック社会を探る――理論からフィールドへ』(編著 学文社,2011年)
『池袋チャイナタウン――都内最大の新華僑街の実像に迫る』(単著 洋泉社,2010年)
『エスニック・ワールド――世界と日本のエスニック社会』(編著 明石書店,2008年)
『華人社会がわかる本――中国から世界に広がるネットワークの歴史,社会,文化』(編著 明石書店,2005年)
『東南アジア華人社会と中国僑郷――華人・チャイナタウンの人文地理学的考察』(単著 古今書院,2002年)

追記

執筆者一覧


小木 裕文(おぎ ひろふみ)
1949年 愛知県知立市に生まれる
現在 立命館大学国際関係学部教授
専門 華人社会論,東南アジアの華文文学・華文教育
《主要著書・論文》
「浙江省青田華僑網絡拡大及僑郷変化」(『立命館国際研究』27.1,2014年)
「馬来西亜的華文独立中学探究」(『立命館国際研究』25.1,2012年)
「東馬砂労越州的華人社会和華文文学」(『立命館経済学』58.5・6,2010年)
『新馬.華文文学評論集』(共著 斯雅舎出版,2008年)
『シンガポール・マレーシアの華人社会と教育変容』(単著 光生館,1995年)

張 貴民(ちょう きみん)
1961年 中国陝西省に生まれる
現在 愛媛大学教育学部教授
専門 人文地理学,中国地誌学
《主要著書・論文》
『商品化する日本の農村空間』(共著 農林統計出版,2013年)
『世界地誌シリーズ2 中国』(共著 朝倉書店,2011年)
『図説世界の地域問題』(共著 ナカニシヤ出版,2007年)
『山西通誌・地理誌』(共著 中華書局〈上海〉,1996年)

杜 国慶(と こっけい)
1966年 中国雲南省麗江県に生まれる
現在 立教大学観光学部教授
専門 都市地理学,観光地理学
《主要著書・論文》
『Tourism and Urban Transformation』(編著 立教大学出版会,2007年)
「10章 自然と融合した高原水郷都市『麗江古城』」(阿倍和俊・王徳編『都市の景観地理 中国編』古今書院,2008年)
「中国のエスニック社会」(山下清海編著『エスニック・ワールド』明石書店,2008年)
「世界遺産麗江古城の自然基盤と形成メカニズムに関する考察」(立教大学人の移動と文化変容研究センター編『国際的な人の移動と文化変容』,2008年)
「日本における帰化人口分布の時空間変化に関する考察」(『立教大学観光学部紀要』16,74-88,2014年)

松村 公明(まつむら こうめい)
1961年 京都府京都市に生まれる
現在 立教大学観光学部教授
専門 観光地理学,都市地理学,フランス地誌
《主要著書・論文》
「旧サイゴン囲郭地区における行政機能の変遷と都市景観の特色」(共著 『立教大学観光学部紀要』16,2014年)
『日本の地誌4 東北』(分担 朝倉書店,2008年)
『EU統合下におけるフランスの地方中心都市――リヨン・リール・トゥールーズ』(分担 古今書院,2003年)
「Spatial Development of Urban Functions in the Center of Koriyama City」(『地理学評論』76.5,2003年)

山下 清海(やました きよみ) ※編著者プロフィールを参照

尹 秀一(ゆん すいる)
1956年 大阪府大阪市に生まれる
現在 創価大学ワールドランゲージセンター教授
専門 比較教育学,華人・華僑研究,韓国語教育
《主要著書・論文》
『スピーチで学ぶ中級韓国語』(編著 白帝社,2013年)
『韓国語初級テキスト プレリュード韓国語』(編著 白帝社,2006年)
『華人社会がわかる本――中国から世界に広がるネットワークの歴史,社会,文化』(共著 明石書店,2005年)

上記内容は本書刊行時のものです。