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多文化共生のための異文化コミュニケーション 原沢 伊都夫(著) - 明石書店
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多文化共生のための異文化コミュニケーション (タブンカキョウセイノタメノイブンカコミュニケーション)

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発行:明石書店
四六判
248ページ
並製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-4064-7   COPY
ISBN 13
9784750340647   COPY
ISBN 10h
4-7503-4064-2   COPY
ISBN 10
4750340642   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年9月
書店発売日
登録日
2014年9月12日
最終更新日
2014年9月12日
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紹介

多文化共生社会を迎えた昨今、共通する価値観で暮らしてきたわれわれに求められているのは、異なる視点や考え方を受け入れることである。異文化コミュニケーションのエッセンスを伝え、日常生活を振り返りながら、異文化コミュニケーション力を高めていく1冊。

目次

 はじめに

第1章 みんな違って当たり前(文化への理解を深める章)
 大相撲のしきたり
 見えないから誤解が生じる
 私の常識、みんなに非常識?
 都会にとまどう地方人
 世界に一人だけの私
 人生いろいろ、文化もいろいろ
 ポマードのようなにおい
 「お・も・て・な・し」の文化

第2章 男と女のラブゲーム(異文化適応を考える章)
 異文化に生きる
 日本へ適応
 人生の異文化適応
 火星人と金星人
 結婚という名の異文化交流
 夫婦関係の様変わり
 自国へ不適応
 サラリーマンはつらいよ
 マイノリティーの処世術

第3章 太陽は赤く輝くか?(文化の違いに気づく章)
 常識にとらわれない
 冷たい日本人
 まじめなブラジル人
 出る杭は打たれ
 異なる色彩感覚
 水道水が飲めるしあわせ
 明るすぎる照明
 発想の転換

第4章 「コンダラ」と「月極駐車場」(異文化への認識を考える章)
 誰にでもある「思い込み」
 ルーマニアでの失敗
 大学教授は死んだか?
 領土問題に潜むもの
 数字は語る
 黒人は音楽が得意?
 ロン・ヤスと日米関係

第5章 東日本大震災と日本人(世界の価値観を理解する章)
 妻と母親、どちらを選ぶ?
 日本人の集団主義
 「愛してる」って言わなければ愛してない?
 どうして会議は長いのか?
 食品泥棒を探せ
 「近いうちに」っていつ?
 スローライフ

第6章 女性の観察力は名探偵ホームズ並み(非言語コミュニケーションを考える章)
 あくびもコミュニケーション?
 会話の六五%は非言語
 「存在する」だけでも情報発信
 パッシングの意味
 日本人の歩き方
 女性の第六感
 してやったり、郵政選挙

第7章 魔法のあいづち(アサーティブ・コミュニケーションを理解する章)
 真のコミュニケーションとは
 自分のスタイルを知る
 無言の抵抗
 お笑いタレントの話術の極意
 はいはいはい!
 部下の口を開かせる
 自分の気持ちを訴える
 ウィンウィンの精神

 おわりに
 注
 参考文献

前書きなど

おわりに

 この本で特に伝えたかったことが一つあります。それは、異文化との交流を楽しむことです。日々の生活において自分の気持ちをある程度コントロールできるようになれば、人生はかなり楽しいものになります。
 そのためには、異文化コミュニケーションの正しい知識が必要となります。何度も繰り返し言っていますが、自分以外はすべて異文化であり、自分とまったく同じように考える人はいません。そう思えば、他人の言動や行動にもイライラしなくなります。相手はそういうふうに考えるのだと思えるようになります。異文化からのストレスが減り、反対に、異文化への興味がわいてきます。

 文化には見える文化と見えない文化があり、トラブルの原因が見えない文化だとわかれば、いったいどこに原因があるのか、興味しんしんになります。自分の常識が非常識になるなんて、想像するだけで面白くありませんか。仲の良い友達であれば、相手との共通するサブ・カルチャーを考えることで、互いの友情を確かめ合うことができます。夫婦や恋人同士にとっても、二人をつなぐサブ・カルチャーは何でしょうか。その共通するカルチャーを考えることは二人をつなぐ赤い糸を確認することになります。
 新しい生活でうまくいかないときは、カルチャー・ショックの段階にいるのだと、自分に言い聞かせることができます。人生の中で自分は何回異文化適応を繰り返しているのか、数えてみるといいでしょう。きっと今もその適応のプロセスにいるはずです。
 今まであんなにけんかしていた夫や妻の言い分も宇宙人の主張だと思えば、そういう考え方があるんだと、妙に腑に落ちます。結婚は二人で新しい文化を作りあげていく作業です。同じ価値観の人間なんてこの世には存在しません。このことがわかれば、ずいぶんとホッとするカップルも多いのではないでしょうか。けんかが絶えない夫婦は、これからでも遅くありません。お互いの文化を押し付け合うのではなく、二人で分かち合える文化を作りあげてほしいと思います。
 私たちは無意識にステレオタイプで相手を判断していることが多いと言えます。自分はどんなステレオタイプをもっているのか考えてみると面白いでしょう。マイナスのステレオタイプは偏見につながります。自分の持っている差別の意識に気づくのも重要です。
 世界と自分の価値観を比べることで、自分がどのような考えの人間なのか客観視することができます。個人主義か集団主義か、低文脈か高文脈か、PタイムかMタイムか、性善説か性悪説か。周りの人はどのような価値観を持っているのでしょうか。
 非言語メッセージを意識することで、効果的に自分をアピールすることができるようになります。自分が発している無言のメッセージとはどのようなものなのか、考えてみるといいでしょう。また、他人のしぐさを注意深く観察することで、これまで気がつかなかったことが見えてきます。
 より良い人間関係を構築するためには、自分の気持ちをしっかりと相手に伝える努力が必要です。アサーティブな言い回しを身につけることで、言いたくても言えなかったことが言えるようになれば、あなたの人生はより充実したものになるでしょう。

 (…後略…)

著者プロフィール

原沢 伊都夫  (ハラサワ イツオ)  (

1954年山梨県甲府市生まれ。明治大学文学部文学科卒業後、オーストラリア国立大学グラジュエイト・ディプロマ課程(応用言語学)修了、同大学院修士課程(日本語応用言語学)修了。ブラジル、アメリカ、オーストラリアでの長期滞在を経て、現在、静岡大学国際交流センター教授。専門は日本語学、日本語教育、異文化コミュニケーション。
[著書]
『考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法』(2010)スリーエーネットワーク
『日本人のための日本語文法入門』(2012)講談社
『異文化理解入門』(2013)研究社

上記内容は本書刊行時のものです。