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日本人女性の国際結婚と海外移住 濱野 健(著) - 明石書店
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日本人女性の国際結婚と海外移住 多文化社会オーストラリアの変容する日系コミュニティ

発行:明石書店
A5判
288ページ
上製
定価 4,600円+税
ISBN
978-4-7503-4027-2
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年6月
書店発売日
登録日
2014年6月19日
最終更新日
2014年6月20日
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紹介

グローバル化に伴いますます増加傾向にある日本人の国際移動。主に女性の国際結婚と海外移住(婚姻移住)に焦点をあてオーストラリアのシドニーで行った調査結果をまとめた著作。現地の日系社会の変容と新たなエスニック・アイデンティティの形成を描き出す。

目次

第1章 日本人の海外移住の現在――消費志向型移住・結果的移住・結婚移住
 はじめに
 消費社会と再帰的自己
 「消費志向型移住」
 国際移動と移民研究の現在
 日本から海外へ
 国際結婚・結婚移住
 本著の構成
 調査の概要

第2章 日本人のオーストラリア移住――1880年代から2000年代にかけて
 はじめに
 19世紀後期のオーストラリア植民地における日本人移住者
 第二次世界大戦勃発までの日本人移住者
 日本人のオーストラリア移住の再開――駐在員コミュニティと戦争花嫁
 生活消費型移住と新しいエスニック団体の設立
 むすび

第3章 オーストラリアの在留邦人数の推移――ビザ申請者数の集計結果から
 はじめに
 永住市民(デニズン)としてのジャパニーズ・コミュニティ
 オーストラリアへの結婚移住――移民省のデータより
 結婚移住とパートナービザの申請
 むすび

第4章 オーストラリアの日系ディアスポラ――全豪日本クラブ(JCA)の設立と散会
 はじめに
 エスニシティと移民のコミュニティ
 エスニシティと人種――移民のディアスポラ・アイデンティティ
 エスニック・コミュニティの機能――象徴的機能と実践的機能
 オーストラリアにおけるエスニシティ概念とエスニック・グループ
 象徴としての“Nikkei”――ジャパニーズ・ディアスポラの集合表象
 オーストラリアのジャパニーズ・コミュニティの現在
 全豪日本クラブ――トランスナショナルな「日系ディアスポラ」意識をめぐって
 JCAの解散
 むすび――「日系ディアスポラ」アイデンティティの困難

第5章 逗留から移住へ――結婚移住と「ホーム」の再構成
 はじめに
 シドニー都市圏のジャパニーズ・コミュニティの人口動態
 逗留者から移住者へといたる道――国際結婚と海外移住
 移住後の孤立と孤独
 既存のジャパニーズ・コミュニティと郊外の結婚移住者との距離
 消費社会からの海外移住とエスニック・コミュニティ
 むすび

第6章 移住・郊外社会・ジェンダー――「ホーム」と自己アイデンティティの再構成
 はじめに
 移民女性の雇用と二重のジェンダー格差
 郊外社会、移民女性と「ホーム」の再構成
 国際結婚とジェンダー――移住経験からの再帰的な自己定義
 エスノ・ジェンダーな自己の再定義
 むすび

第7章 「エスニックな親密圏」の意義とその帰属をめぐって――中間領域(in-between)としてのエスニック・コミュニティ
 はじめに
 ウェスタンシドニーの「場所性」
 ウェスタンシドニーで暮らす
 「ペンリス日本(人)コミュニティ」――ウェスタンシドニーのエスニック・コミュニティ
 マイノリティ意識をめぐる葛藤
 むすび

終章 これまでの海外移住、これからの海外移住――まとめと今後の課題
 消費志向型移住とエスニック・コミュニティ
 郊外化・女性化するジャパニーズ・コミュニティ
 ジャパニーズ・エスニック・コミュニティのこれから

 あとがき
 参考文献

前書きなど

第1章 日本人の海外移住の現在――消費志向型移住・結果的移住・結婚移住

 (…前略…)

本著の構成

 本著の目的は、現代オーストラリア、とりわけシドニー都市圏を中心とした現地調査に基づき、現代日本の海外移住の一般的側面と、国際結婚による結婚移住という特殊な側面の両方を重ね合わせて論じることにある。まず、一般的な傾向として「消費志向型移住」が現代日本の海外移住に通底することを検証する。それ以前の海外移住を「生産志向型移住」とみなして区別し、海外渡航への動機、そして現地生活での生活指向、さてはそれが移住先でのエスニック・コミュニティの運営に与える影響などについて議論を展開する。そこから、現地配偶者との結婚に由来する日本人女性の移住者の増加という具体的な現象に注目する。彼女たちの海外志向や現地生活のあり方に「消費志向型移住者」の特徴を見出しつつ、通常の海外移住とは趣の異なる現地配偶者との国際結婚による移住という独特の移住パターンが、彼女たちの定住のあり方にどのような影響を及ぼしているのかを考察する。このような結婚移住者の女性たちにある程度まで共通する渡航背景や移住後の社会環境に注目し、彼女たちが「移民」となる経験を経てのち、クロス・カルチュラルな家族、近隣のジャパニーズ・コミュニティ、そして地域社会という3つの領域で対峙するそれぞれの関係性の中で、どのように自己の「居場所」を定めていくのか、という点について考察する。そして、その定住の過程において受容し、交渉しなければならない社会的マイノリティとしての立場から向き合わなければならないジレンマについて具体的に示す。
 各章の主な内容は以下のとおりである。第2章では、19世紀後半からの日本からのオーストラリア大陸への移住史について簡潔にふれる。第3章では複数の統計資料を扱い、移民国家オーストラリアにおける日本からの移住者(永住者)の特徴を把握する。この分析では、日本からの移住者の量的変化をオーストラリアの移住者全体における人口動態の中に位置づけて比較検討する。そこから、移住にあたって申請された永住ビザのカテゴリー件数をその種別に分類し、現代オーストラリアにおける日本人移住者に占める現地配偶者との結婚移住者の割合の高さを確認する。第4章では、「消費志向型移住」が現地でのエスニック・コミュニティの形成と運営にどのような影響を及ぼすのか、その活動が短期間で終息した「全豪日本クラブ」の事例をもとに考察する。第5章では、先に確認した結婚移住者の増加が現地で実際にどのような居住動向にたどり着くのか、シドニー都市圏でのジャパニーズ・コミュニティの居住分布の時系列変化から探る。そのうえで、結婚移住者たちがなぜそのような分布を示すのか、当事者たちへの聞き取りから明らかにする。コミュニティ全体の人口増加のかたわら、その人口分布が都市圏の周辺へと拡散していることを指摘し、新規結婚移住者の孤立した状況が生じやすいこと、そしてその地理的な距離感が遠方のジャパニーズ・コミュニティに対する心理的な距離感とも重なることを検討する。また、彼女たちが日本を離れ海外を目指した理由や、現地でのジャパニーズ・コミュニティとの関わり方の中に「消費志向型移住」に関連づけうるような意識を探る。第6章では、こうした状況で彼女たちが移住地での「ホーム」をどのように形成していくのか、その過程を追う。とりわけ彼女たちの郊外型社会生活の拠点としての私的領域に注目し、それを中心とした生活圏で結果的にジェンダー化された自己がどのように再定義され、自己準拠の中心的な位置を占めるようになるのか、国際結婚というクロス・カルチュラルな私的領域のその独自の性格も含めて分析する。第7章では、結婚移住者の女性たち自身で組織・運営されるジャパニーズ・コミュニティの特徴と、その機能について考える。こうしたエスニック・コミュニティの、彼女たちそれぞれが帰属する私的領域、そして彼女たちを取り巻く地域社会の間に位置し、移民女性の地域社会への参加を媒介するような「エスニックな親密圏」としての可能性と両義性の両側面を扱う。

 (…後略…)

著者プロフィール

濱野 健  (ハマノ タケシ)  (

北九州市立大学文学部人間関係学科准教授
ウェスタンシドニー大学人文学部博士課程修了(Ph.D.)、九州大学大学院比較社会文化学府修士課程修了(比較社会文化学修士)。専攻は社会学および文化研究。移住や観光といった国際移動を通し、グローバリゼーションによる現代社会の変動に注目している。論文に“Japanese women in Australia: marriage migration and situating the self between ethnicity and femininity” (Asia and Pacific Migration Journal, 2014)(近掲)、「観光メディアとセルフ・オリエンタリズム――訪日外国人観光客誘致事業から見る、日本のナショナルな文化表象」(遠藤英樹・寺岡伸悟・堀野正人編『観光メディア論』ナカニシヤ書店,2014年)等。

上記内容は本書刊行時のものです。