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沖縄の保育・子育て問題 浅井 春夫(編著) - 明石書店
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沖縄の保育・子育て問題 子どものいのちと発達を守るための取り組み

発行:明石書店
四六判
312ページ
並製
定価 2,300円+税
ISBN
978-4-7503-3983-2
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年3月
書店発売日
登録日
2014年3月5日
最終更新日
2014年3月11日
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紹介

美しい海と豊かな自然というイメージに反して、沖縄の子育て環境の現実は厳しい。本書は沖縄の保育・子育ての現状と課題を総合的に把握・分析し、その展望を論じた初めての書籍である。行政、現場、研究それぞれの場で共有されるべき論点を網羅した必読の基本文献。

目次

まえがき――沖縄からの発信と“子どもゆいまーる”の創造を[浅井春夫]

第1章 沖縄の保育・子育て問題[吉葉研司]
 はじめに
 1 沖縄の子育ての現状
 2 「保育」とは何か――すべての子どもたちに生きる権利を保障する
 3 沖縄の保育の現状
 4 保育の営みを高める原動力とは何か
 5 沖縄の保育問題 どこに課題があるのか
 6 次章につなぐための、はじまりのおわりに

第2章 沖縄の認可外保育園(施設)の現状と課題[伊集唯行]
 1 沖縄の子育ては特異的
 2 0~5歳児の居場所
 3 保育行政の動向――園児増加は公立保育園つぶしと私立保育園依存と詰め込みで
 4 「保育の公的責任を果たせ」という運動の前進
 5 「子ども・子育て支援新制度」時代にあたって

第3章 沖縄の学童保育の実態と課題[垣花道朗]
 はじめに
 1 沖縄の学童保育の実態――調査から明らかになった沖縄と全国の学童保育の5つの違い
 2 全国と異なる歴史の中で、独自の発展を遂げた沖縄の学童保育
 3 学童保育の利用料が高い主な要因
 4 全国よりも低い沖縄の学童保育利用率
 5 利用料の減額と公的施設を活用した学童クラブの設置
 6 沖縄の今と未来の子どもたちに必要とされる学童保育を目指して――沖縄21世紀ビジョンと子ども・子育て支援法
 おわりに

第4章 【実践記録】沖縄の子育てと家族支援――ファミリーサポートセンターの現場から[與座初美]
 1 子育て家族支援の現場
 2 新たな子育て家族支援プロジェクト――前向きに(人を信じて)馬鹿になれる人間が社会を変えるエネルギーを生み出す
 3 沖縄から子育て支援への提言――明日への展望
 まとめ

第5章 基地を抱える自治体・地域の保育問題――米軍と地域をともにする中で子育てをするということ[浅井春夫]
 はじめに――沖縄の保育問題の特徴といのちの尊厳
 1 基地被害の実状――騒音といのちの危機
 2 “基地の中に沖縄がある”現実
 3 沖縄国際大学へのヘリコプター墜落と日米地位協定の現実
 4 保育現場と子どもの育ちへの影響
 5 子どものいのちと発達を守る使命
 6 まとめにかえて――沖縄の保育の現実から考えるべきこと

第6章 沖縄の乳幼児における平和教育の模索[ウィンフィールドひろみ]
 はじめに
 1 沖縄保問研における乳幼児の平和教育の取り組み
 2 沖縄の現状と子どもたち――子どもたちの声に耳を傾けよう
 3 基地の島、癒しの島の複雑な想い
 4 大人の姿勢が問われている
 5 祈り、創る平和へ
 おわりに

第7章 子どもの平和論――子どもとの対話をとおして[石原昌家]
 はじめに
 1 男女混合名簿にかかわる子どもの平等意識
 2 尖閣諸島問題に対する5歳児の解答
 3 小学校の平和集会での講話をとおして

第8章 沖縄保育の歴史――沖縄における保育問題の形成過程[神里博武]
 1 戦後・復帰前の保育
 2 復帰後の保育問題

第9章 【実践記録】タロウとの出会いから道がひろがった保育の世界[石川キヨ子]
 はじめに
 1 普天間で暮らした時代・逞しい女性たちと子どもたちのこと
 2 みどり保育園誕生までの道程
 3 ご近所からの電話
 4 障害児保育を通して育った「保育士のプロ意識」
 5 なんくる家への道程
 6 事例:「3つ子が生まれました」と飛び込んできたパパ
 7 子育て支援センターで大切なことは
 8 沖縄の子育て支援センターの現状と課題
 9 担当者に求めるものは
 10 おわりに
 11 後輩たちへのメッセージ

第10章 取材から見えてきた保育現場の課題[屋良朝輝]
 1 保育士の身分保障とその意味
 2 見直し必要な保育料制度
 まとめ

第11章 子ども・子育て支援新制度と沖縄保育の課題――保育と学童保育のいまとこれからを考える[浅井春夫]
 はじめに――いま問われる分岐点は何か
 1 子ども・子育て支援新制度とは何か
 2 子ども・子育て支援新制度の問題点
 3 「新制度」のもとで検討すべき点
 4 学童保育の課題に関連して
 5 沖縄保育のこれからを考える
 6 まとめにかえて――子ども・子育て支援新制度をどこまで活かせるか

あとがき[吉葉研司]

前書きなど

まえがき――沖縄からの発信と“子どもゆいまーる”の創造を

沖縄から心を込めての発信
 沖縄の保育・子育て問題を総合的に把握・分析し、その展望を論じたはじめての書籍を世に送り出すことになった。
 本書の内容は、沖縄における保育問題とは何か、家族の抱える問題とその歴史的な変化、認可外保育施設の現状と課題、学童保育の現実と実践、保育の戦前・戦後の歴史、保育士の労働環境と政策課題、子ども・子育て支援新制度の問題点と取り組み課題、基地と保育問題の現在、乳幼児期における平和教育、子どもの平和論など、多様な角度から包括的に論じている。多くの保育・子育て支援関係者、保育者養成課程の教員、学生、行政担当者の方々、子どもを大切にする運動関係者にぜひ読んでいただきたいと心から願っている。
 沖縄は歴史的にも現在においても“捨て石”として扱われてきた。そうした想いは本書を執筆した仲間の共通認識であるが、さらに子ども・保育問題に関しても、勉強すればするほど一層その感を強くすることになった。
 沖縄においては「子どもの最善の利益」(子どもの権利条約第3条)は、日本政府の課題とはいえなかったし、ほとんど顧みられることはなかったといわざるを得ない。
 この「沖縄の保育問題」研究会は、編者である立教大学の浅井春夫と琉球大学の吉葉研司が共同で呼びかけて、これまで5回の研究会、編集会議を重ねて、出版に至ったものである。編者の2人は本土の人間であり、ウチナンチューではない。しかし沖縄の保育の現実とかかわる中で、きちんと現実を捉えて、沖縄保育の課題を明らかにする必要があると考え、有志を募った。この仲間たちと出会えたことが、本づくりのもうひとつの宝となったと感じている。

本書の意義について
 私たちが書くべきと考えたことについて、まず前提として沖縄県の保育の現状と歴史、その課題を共有できる出版物がないことがあった。少なくとも一冊でまとめて読むことができる本はない。そのことは保育の研究と運動の弱さであるとともに、保育実践の貴重な蓄積が整理されてこなかったという現状も率直に指摘せざるを得ないと思っている。
 本書は、つぎのような諸点を問題意識としてもって書かれており、少なくともチャレンジした内容となっている。
 第一に、沖縄の保育・子育て問題の事実・現実・真実を心ある人たちの中で共有できるための基本文献となる内容をめざしている。本書を読めば、沖縄の保育問題をトータルに把握することができると考えている。認可保育所だけではなく、認可外保育施設、学童保育の現状と課題、さらに保育の歴史を戦前から戦後、現在までをコンパクトに整理し課題を明示している。
 第二に、「子ども・子育て支援関連3法」が成立したもとで、その問題点を明らかにし、何を政策上、運営上、実践上の課題とするのかを提起することをめざしている。とくに沖縄県における「地方版 子ども・子育て会議」の検討の参考にしてもらうことを心から願っている。
 第三として、前記の課題ともかかわって、一定の政策提起と提言をすることで、今後の自治体の政策立案の参考にしていただけることがあればと願っている。
 さらに、沖縄・保育の歴史研究会編『沖縄保育のあゆみ』(2013年刊)の中心的な執筆者である宮里博武先生(沖縄国際大学・元教授)に加わっていただき、沖縄保育の戦前・戦中・戦後史を概観できる論文を所収することができた。快く協力をしていただいたことに心からお礼を述べたい。
 沖縄保育の特徴は、軍事基地との強いられた共存という現状の中にあって、子ども・人間のいのちと安全が日常的に脅かされており、避けては通れない問題がある。その点に関して、沖縄戦と戦後史の研究を一貫して民衆の立場ですすめてこられた石原昌家先生(沖縄国際大学・名誉教授)に、「子どもの平和論」を寄稿していただいた。記して感謝を申しあげる。

 (…後略…)

著者プロフィール

浅井 春夫  (アサイ ハルオ)  (編著

立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科教授。1951年生まれ。専門分野は、児童福祉論、社会福祉政策論、セクソロジー。“人間と性”教育研究協議会代表幹事、全国保育団体連絡会副会長。主な著書に、『脱「子どもの貧困」への処方箋』(新日本出版社、2010年)、編著『はじめよう! 性教育』(ボーダーインク、2012年)、共編『あっ! そうなのか! 性と生――幼児から9歳までの性教育』(エイデル研究所、2014年)等。

吉葉 研司  (ヨシバ ケンジ)  (編著

琉球大学教育学部准教授。1966年生まれ。専門分野は保育学、乳幼児教育学。乳幼児期の子どもの権利にもとづく保育・幼児教育のあり方が研究のテーマ。沖縄子ども研究会副代表、NPO法人沖縄県学童・保育支援センター理事長。主な著書に『沖縄子ども白書』(共著、ボーダーインク、2010年)、『「知的な育ち」を形成する保育実践――海卓子、畑谷光代、高瀬慶子に学ぶ』(共著、新読書社、2013年)、『3・4・5歳児の保育』(共著、かもがわ出版、2013年)等。

上記内容は本書刊行時のものです。