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「米中対峙」時代のASEAN 黒柳 米司(編著) - 明石書店
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「米中対峙」時代のASEAN 共同体への深化と対外関与の拡大

発行:明石書店
A5判
288ページ
並製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-7503-3953-5
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年2月
書店発売日
登録日
2014年1月30日
最終更新日
2014年1月30日
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紹介

中国の台頭は東アジア地域に「米中対峙」状況をもたらした。強大な両国のはざまで、ASEANはその「共同体」構築に向けて域内協力をいかに深化しているのか、また他方で域外諸国への関与をいかに拡大し得ているのか。多様な局面から考察する。

目次

 まえがき
 黒柳米司先生の古稀・ご退職を記念して

序章 米中対峙下のASEAN共同体
 はじめに
 1.「米中対峙」という状況
 2.「米中対峙」状況の動態
 3.「米中対峙」状況とASEAN
 むすび


第Ⅰ部「米中対峙」という状況

第1章 「台頭する中国」とASEAN諸国――東アジア秩序変容の論理とメカニズム
 1.問題の設定
 2.行動原理と秩序認識
 3.秩序変容のメカニズム
 4.むすびにかえて

第2章 インド太平洋の地域秩序と地域制度、スイング・ステーツ――インド、インドネシア、ASEAN
 はじめに
 1.アジアという特殊な地域の国際関係――米中の「制約」、有力な国家の存在
 2.スイング・ステーツの重要性
 3.地域制度を巡るバーゲニングと地域制度の拡散
 むすび


第Ⅱ部 ASEANの深化局面

第3章 新興ドナーとしての中国の台頭と東南アジアへの影響
 はじめに――拡大する中国の援助とASEANへの影響
 1.拡大する中国の援助・経済協力
 2.カンボジアに対する中国の援助と投資
 3.中国の援助のカンボジアへの影響
 4.カンボジア事例は一般化できるか?
 おわりに――「米中対峙」下の東南アジア秩序への影響

第4章 ASEAN諸国における権威主義体制の漸進的変化――マレーシア、シンガポール、ブルネイの場合
 はじめに――体制移行過程の多様性
 1.マレーシア、シンガポール、ブルネイの類似点と相違点
 2.マレーシアの権威主義体制とその変化
 3.シンガポールの権威主義体制とその変化
 4.ブルネイの権威主義体制とその変化
 むすび――権威主義体制下での政治改革

第5章 ASEANにおける共同体構築と平和構築――予防外交から紛争予防ガバナンスへ
 はじめに
 1.ASEAN憲章における予防外交の位置づけ
 2.ASEAN共同体としての予防外交の取り組み
 おわりに


第Ⅲ部 ASEANの拡大局面

第6章 米中対峙下の南シナ海紛争
 はじめに
 1.中国の南シナ海への進出の理由(1)――海洋資源への依存
 2.中国の南シナ海への進出の理由(2)――安全保障上の要請
 3.米中の南シナ海紛争をめぐるASEANの会議外交における議論と軍事的対峙(1)――「航行の自由」を主張する米国(2010.2011)
 4.米中の南シナ海紛争をめぐるASEANの会議外交における議論と軍事的対峙(2)――巻き返す中国(2012.2013)
 5.おわりに

第7章 中国と対峙するベトナム――関与と均衡の二重戦略
 はじめに
 1.ソ連崩壊以後の対外路線
 2.関与重視の対中政策
 3.対中政策の補強と修正
 4.グエン・タン・ズン演説(2013)
 おわりに

第8章 RCEPとTPP
 1.FTAとは何か
 2.RCEP
 3.TPP
 4.RCEPとTPPの政治経済学
 5.結論――米国、中国、ASEANにとってのRCEPとTPP

終章 ASEANの現状と展望
 はじめに
 1.2003年「BCII」以後の里程標
 2.2つの重大な挫折
 3.共同体構築への「深化と拡大」
 むすび――「共同体」とは何か


 あとがき

 索引
 編者・執筆者紹介

前書きなど

まえがき

 本書は、いずれも明石書店から刊行された「東アジア共同体とASEAN」三部作の最終巻にあたる。本書に所収された論文は、ほぼ10年間にわたって「21世紀アジア研究会」に集い、東アジア共同体を目指すASEANの役割を検討しようと努めてきた研究者の手になるものである。第1巻にあたる『アジア地域秩序とASEANの挑戦』は2005年8月、第2巻にあたる『ASEAN再活性化への課題』はその6年後の2011年に上梓された。そして本巻は2013年末現在最終作業が進行中である。

 (…中略…)

 本書は三部構成となっており、本書の問題意識を総括する序章に続いて、第Ⅰ部では「米中対峙」という状況を把握するため、主要なアクターとしての中国の位置づけと、米中間のパワー・シフトにともなう戦略的不透明性という大状況を論じる2論文で構成される。第1章の浅野論文は、21世紀のアジア太平洋地域における最大の焦点たる経済的・政治的・軍事的な「中国の台頭」に焦点を当てる。(……)

 (……)

 第2章の菊池論文は、近年注目されつつある広域概念としての「インド太平洋」地域に注目する。インド太平洋地域は、経済面で域内諸国間の相互依存が深化する一方、急速に力関係の変動が進行している。「パワー・トランジション」論議は米中関係に焦点を当てるが、筆者によれば、域内にはこの地域の将来が協調であれ対立であれ米中両国で規定されることへの強い抵抗がある。(……)

 (……)

 第Ⅱ部は、ASEAN域内の協力の進展や民主化の促進など、いわば共同体構築に向けての「深化」の局面に焦点をあてる。第3章の稲田論文は、かつてアジア諸国への経済援助は1970年代半ばまでは米国、それ以降は日本が代表的ドナーであったが、日本がバブル崩壊で存在感を後退させて以後、とりわけ2000年代に入って高度成長を続ける中国が援助ドナーとしてもプレゼンスを拡大してきたことに注目する。(……)

 (……)

 第4章の金子論文は、「経済的には先進的だが、民主化では後進的」と分類される――インドネシアとは対極にある――マレーシア・シンガポール・ブルネイの3ヵ国に焦点を当て、ASEAN域内における民主化過程の多様性を論じている。これら3ヵ国は、従来の開発経済学の根本仮説たる「経済発展→多様な価値観を有する新中間層の増大→民主主義体制への移行という民主化シナリオ」が当てはまらないことを共通項とする。(……)

 (……)

 第5章の山田論文は、「ASEAN共同体」構築という目標に向けた営為の過程で進行する「平和構築」という側面に注目する。ASEANは2007年、共同体の法的基盤となる「ASEAN憲章」を採択したが、ASEAN主導型広域安全保障対話メカニズムたるASEAN地域フォーラム(ARF)における安全保障論議には、コンセンサス方式や内政不干渉といった「ASEANWay」が貫徹されており、安全保障の広域性・包括性・不可分性にまで踏み込んだEU主導型の安全保障枠組みとしての「欧州安全保障協力会議/機構(CSCE/OSCE)」とは重大な相違が認められるという。(……)

 (……)

 そして第Ⅲ部は、ASEANと域外諸国との関与という「拡大」の局面を主題とする。第6章の佐藤論文では、「米中対峙」の主戦場ともいうべき南シナ海に焦点を当てている。筆者は、豊富な資料を渉猟しつつ、中国にとっての南シナ海の意義を海洋資源および対米安全保障の側面から確認し、これに対する米国の対応を「ASEANの会議外交」との関連で検討する。(……)

 (……)

 第7章の小笠原論文は、冷戦期に対ソ同盟によって米国・中国・ASEAN諸国と敵対してきたベトナムがASEAN加盟を選択した過程に注目し、対ソ依存外交戦略を根底からの再構築として論じる。とりわけ、かつて従属した歴史をもつ中国との関係や「アジア回帰」を果たした米国との関係は、古くて新しい挑戦に他ならなかった。(……)

 (……)

 第8章の吉野論文は、アジア太平洋地域で進行中の一連のFTAの経済的効果を確認しつつ、米国主導型の「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」とASEAN主導型の「地域包括的経済連携(RCEP)協定」の相関関係について考察する。(……)

 (…後略…)

著者プロフィール

黒柳 米司  (クロヤナギ ヨネジ)  (編著

1944年2月16日、愛知県岡崎市生まれ。大東文化大学法学部教授。70年大阪市立大学大学院博士課程中退。70年財団法人日本国際問題研究所、86年東洋英和女学院短大を経て、92年大東文化大学法学部助教授、94年より現職。専攻分野は東南アジア政治、ASEAN研究。主要業績に、『ASEAN全体像の検証』(日本国際政治学会機関誌『国際政治』第116号責任編集、1997年)、編著書に『東南・南アジア・オセアニア』(自由国民社、2001年)、『アジア地域秩序とASEANの挑戦――「東アジア共同体」をめざして』(明石書店、2005年)、著書に『ASEAN35年の軌跡――‘ASEAN Way’の効用と限界』(有信堂、2003年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。