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学校現場で役立つ「問題解決型ケース会議」活用ハンドブック 馬場 幸子(編著) - 明石書店
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学校現場で役立つ「問題解決型ケース会議」活用ハンドブック (ガッコウゲンバデヤクダツモンダイカイケツガタケースカイギカツヨウハンドブック) チームで子どもの問題に取り組むために (チームデコドモノモンダイニトリクムタメニ)

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発行:明石書店
A5判
212ページ
並製
定価 2,200円+税
ISBN
978-4-7503-3936-8   COPY
ISBN 13
9784750339368   COPY
ISBN 10h
4-7503-3936-9   COPY
ISBN 10
4750339369   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年12月
書店発売日
登録日
2013年12月10日
最終更新日
2013年12月10日
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紹介

子どもの個別ニーズに応える支援を行うためには、適切なアセスメントとともに学校内外の人たちと連携し、チームで取り組むことが必要である。本書は学校内で子どもの教育や支援に携わっている人向けに、ケース会議の効果的な活用方法を実践に即して解説する。

目次

 はじめに

1章 問題解決型ケース会議への招待
 1節 問題解決型ケース会議 実施前アンケート
 2節 問題解決型ケース会議の基本

2章 問題解決型ケース会議におけるステップごとのポイント
 1節 準備
 2節 ステップ1 問題の明確化
 3節 ステップ2 本人の強みの確認
 4節 ステップ3 目標の設定
 5節 ステップ4 問題の背景要因の検討
 6節 ステップ5 支援方法のブレインストーミング
 7節 ステップ6 支援方法の評価と決定
 8節 ステップ7 支援計画の策定
 9節 会議終了時確認シートとまとめ票
 10節 ステップ8 支援の実施
 11節 ステップ9 モニタリングと評価
 【コラム】
  ○ケース会議導入の苦労と工夫
  ○ホワイトボードの活用と書き方のポイント
  ○強みを確認すると、会議の雰囲気が変わる
  ○本人と目標を確認することについて
  ○ファシリテーターの力量で、3つの約束事を厳守
  ○「IBA」のエッセンスを取り入れる!
  ○ファシリテーターは聞き上手、引き出し上手、まとめ上手がよい
  ○まとめ票の活用


3章 事例で考える問題解決型ケース会議
 はじめに
 1節 保護者が参加するケース会議
 2節 子ども本人が参加するケース会議
 3節 関係機関の職員が同席するケース会議
 4節 新任教員支援としてのケース会議
 5節 校内教員研修としてのケース会議
 まとめ


4章 問題解決型ケース会議導入から展開への経緯
 1節 オハイオ州でのスクールソーシャルワーク実習
 2節 東京学芸大学でのIBA研修
 3節 研修参加者の声
 4節 現場での活用

5章 問題解決型ケース会議の学術的解説
 1節 問題解決型ケース会議とResponse to Intervention(RtI)
 2節 IBAについて


資料
 資料1 3つの約束事
 資料2 9ステップのポイント
 資料3 考慮すべき背景要因の例
 資料4 アセスメントシート
 資料5 決定事項のまとめ票
 資料6 ふりかえりシート

 おわりに

前書きなど

はじめに

 この本は「問題解決型ケース会議」についての本です。1章で問題解決型ケース会議とは何かをお話ししますが、はじめに、そもそも「ケース会議」とは何かを確認しておきましょう。ケース会議は「個別支援会議」などと呼ばれることもありますが、簡単に言えば、個別の対応が必要な人について話し合い、情報交換をするとともに、今後の支援方針を決めていくための会議と言えます。
 学校が関係するケース会議は、校内ケース会議と機関連携会議の2つに分かれます。校内ケース会議は、基本的に学校内にいるスタッフ、つまり、管理職、教員、スクールカウンセラー(以下、SC)やスクールソーシャルワーカー(以下、SSWr)などが集まり、特定の子どもの支援のために、学校の中でどのように役割分担して、どのようなことを行っていくのかを決める会議です。それに対して機関連携会議は、関係機関(児童相談所や、家庭児童相談室、教育相談所など)の人たちや、場合によっては地域の篤志家(民生・児童委員や保護司)なども入って、子どもやその家族への支援について検討していく会議です。通常、まずは校内ケース会議を開催、学校でできる支援を行った上で、必要に応じて機関連携会議を開催します。
 2008年、文部科学省がスクールソーシャルワーカー活用事業を開始しました。同事業が示したSSWrの役割の1つは、「学校内におけるチーム体制の構築、支援」というものです。「学校内での」チーム体制構築をサポートする上で、ケース会議が重要な役割を担うということも、当時の文教科学委員会(参議院に設置され、文部科学省所管を対象とする委員会)担当者が記述しています。つまり、SSWrには、ソーシャルワーカーとしての専門性を生かし、ケース会議を効果的に用いて校内支援体制の構築に助力することが求められているのです。しかし、SSWr派遣事業の開始に伴いSSWr人口が急増したものの、現在SSWrとして働いている人の大半はスクールソーシャルワーク(以下、SSW)初心者で、学校内でケース会議を円滑に進めていくためのノウハウを持っていません。また、学校教員は基本的に一斉指導、集団学習に慣れており、特別支援学校などを除き、児童・生徒の個別のニーズに応えるために個別の指導・支援計画を立てて取り組むということは最近までほとんど行っていませんでした。それゆえケース会議(個別支援会議)に慣れていません。「会議をしても、時間ばかりとられて、何も決まらない」「会議の後は徒労感だけが残る」という教員は少なくないのです。
 この本は、SSWr、学校教員、SCなど、学校内で子どもの教育や支援に関わっている人に、校内ケース会議の効果的な活用方法を伝えるものです。校内ケース会議を効果的に活用できれば、学校教員は児童・生徒をチームで支援することができ、担任の孤立・燃えつきを防ぐことができます。また、SSWrは「学校内におけるチーム体制の構築、支援」という役割を発揮しやすくなります。その結果、子どもの学校生活の質が向上し、子ども、子どもの家族、学校教員の三者すべてのウェルビーイングが向上します。
 この本で紹介する「問題解決型ケース会議」は、米国のSSWおよび特別支援教育の領域で広く用いられている個別支援会議のモデルで、近年重視されている「証拠に基づく実践(EBP: Evidence-Based Practice)」のためにも有効とされています。
 この本では、問題解決型ケース会議のモデルを紹介した後、実際に現場で問題解決型ケース会議を活用している人たちに、それぞれの立場からそれぞれの学校での工夫、このモデルを活用することによるメリットなどを具体的に語ってもらいます。実際に現場で用いているさまざまな様式(アセスメントシート、決定事項まとめ票、ふりかえりシートなど)も多く取り入れ、本書を見ながら実際にケース会議を試してみることができるよう工夫しています。

著者プロフィール

馬場 幸子  (バンバ サチコ)  (編著

カナダ・ケベック州生まれ。東京学芸大学准教授。
1993年、関西学院大学社会学部卒業。1995年、関西学院大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。学生相談員、児童虐待防止電話相談員などを経て、2001年に渡米。2003年、Case Western Reserve University修士課程修了。2008年、University of Illinois 博士号(Ph.D in Social Work)取得。2010年より現職。研究領域は、児童福祉、スクールソーシャルワークなど。
主要著書:Child Welfare and Development: A Japanese Case Study(共著、Cambridge University Press 2011)、『よくわかるスクールソーシャルワーク』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2012年)、『スクールソーシャルワークの可能性:学校と福祉の協働・大阪からの発信』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2007年)他。

上記内容は本書刊行時のものです。