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知識人とヘゲモニー 「知識人論ノート」注解 アントニオ・グラムシ(著) - 明石書店
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グラムシ『獄中ノート』著作集

知識人とヘゲモニー 「知識人論ノート」注解 イタリア知識人史・文化史についての覚書

発行:明石書店
四六判
172ページ
上製
定価 2,600円+税
ISBN
978-4-7503-3812-5
Cコード
C0310
一般 全集・双書 哲学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年4月
書店発売日
登録日
2013年4月25日
最終更新日
2014年2月18日
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紹介

ヘゲモニー、ヘゲモニー装置論と密接に関連する知識人と「社会集団」との単線的ではない複合的な諸関係の問題、知識人と下部構造との関係、知識人の政治的・社会的機能、都市型知識人と農村型知識人という近代イタリアの歴史的特質に関連する問題などの探求。

目次

 はじめに

Ⅰ 知識人論とヘゲモニー――「知識人論ノート」

 1 知識人の形成
 2 学校教育にかんする考察――教育原理の探究のために
 3 知識人と非知識人

Ⅱ 「知識人論ノート」関連草稿

 1 ヘゲモニーと教育
 2 知識人――大衆関係
 3 知ることから理解することへの移行
 4 「集合的意志」と「知的モラル的改革」
 5 統治者と被統治者

Ⅲ 「知識人論ノート」関連資料

 1 『獄中ノート』執筆プラン
 2 『獄中書簡』より

Ⅳ 解題

 知識人論の構想と展開
 〔補論〕ヘゲモニー・「知的モラル的改革」・知識人


 参考文献
 あとがき
 索引

前書きなど

はじめに

 本書は通称「知識人論ノート」として知られる『第12ノート(Q12)』の全訳・注解である。Q12の冒頭の表題はQC(校訂版)では「知識人の歴史にかんする論文集のためのメモおよび断片的覚書」となっているが、原題は「イタリア知識人史・文化史にかんする論文集のためのメモおよび断片的覚書」である。同「ノート」は3編の草稿(いずれもC草稿)で構成されている。
 第1草稿「知識人の形成」は、「研究プラン」(第1・第8ノート冒頭の「プラン」)に明記されているように『獄中ノート』での知識人論とくにイタリア史における知識人形成の歴史的特質や教育制度との関連を概括した総論的な長文の草稿である。この草稿では、知識人と「社会集団」との単線的ではない複合的な諸関係の問題にはじまり知識人養成制度としての学校教育制度、知識人と生産活動(経済構造)との関係、知識人の政治的・社会的機能、都市型知識人と農村型知識人という近代イタリアの歴史的特質に関連する問題、ヘゲモニー論の具体的側面である知識人と政党との関係、イタリア史を特徴づける伝統的知識人の問題、イタリアの大学制度とアカデミーの問題、などが検討されている。それらはまたグラムシの探求の中核的テーマであったヘゲモニー・ヘゲモニー装置論と密接に関連している。

 第2草稿の主要テーマは、知識人養成制度としての学校教育制度の問題である。とりわけファシズムの教育改革(ジェンティーレ改革)の分析は、たんにファシズム批判の一環としてだけでなく、対抗勢力にとっても重要な課題であった。それは生徒にとっての職業教育の早期化や履修過程の全体としての容易化、水準低下は、知識人養成という学校教育の本来の役割を低下させる可能性があるからである。とくに「伝統的にそれにふさわしい適性を発展させてこなかった社会集団」にとって「最高度の専門性にいたる新しい層の知識人を創造しようとすれば、かつてないほどの困難性」に当面し、克服しなければならないからである。
 第3草稿は第1、第2草稿に比べると短文であるが、グラムシの「知識人とヘゲモニー」の探求にとって重要な意味をもっている。彼は第1草稿において「すべての人間は知識人であるということができる。しかしながらすべての人間が社会において知識人の役割をはたすわけではない。したがって知識人は知的役割を遂行するための専門的な階層として歴史的に形成される」と述べているが、第3草稿においても「知識人について語ることはできても、非知識人について語ることはできない。というのは非知識人というのは存在しないからである」と強調している。つまり「ホモサピエンス」と「ホモファーベル」つまり精神的・知的労働(活動)と肉体的労働(活動)とを切り離すことは不可能だからである。
 グラムシはこのQ12とほぼ同時期の1932年にQ10(クローチェ論)やQ11(ブハーリン論)に集約される知識人の理論的・思想的役割、影響の具体的研究をおこなうが(Q10は1935年まで継続する)、さらにQ12のあとにも、知識人と政治科学・政治技術・「近代政党」などつまり政治的ヘゲモニーとの関連性の探求(Q13=マキァヴェッリ論)、知識人の歴史的形成と役割(Q19=リソルジメント論)、フォード主義と知識人問題(Q22=アメリカニズムとフォード主義)、知識人と従属的社会集団(Q25=サバルタン論)など多面的な探求を展開していく。その意味でこの第3草稿は、Q12後のグラムシの探求の新たな起点としての意味を有しているといえるであろう。

著者プロフィール

松田 博  (マツダ ヒロシ)  (編訳

1942年 福岡県出身
専攻 社会思想史、イタリア近代思想史
現職 立命館大学名誉教授、国際グラムシ学会(IGS)会員

主要著訳書
単著『グラムシ思想の探究』(新泉社)
単著『グラムシ研究の新展開』(御茶の水書房)
編著『グラムシを読む』(法律文化社)
共編著『グラムシ思想のポリフォニー』(法律文化社)
編訳『歴史の周辺にて 「サバルタンノート」注解』(明石書店)
共訳 N・ボッビオ『グラムシ思想の再検討』(御茶の水書房)他多数

上記内容は本書刊行時のものです。