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カーストから現代インドを知るための30章 金 基淑(編著) - 明石書店
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エリア・スタディーズ 108

カーストから現代インドを知るための30章

発行:明石書店
四六判
328ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-3658-9
Cコード
C0336
一般 全集・双書 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年8月
書店発売日
登録日
2012年8月27日
最終更新日
2012年8月28日
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紹介

「カースト制度」はインド社会を特徴づけるものである一方で、もっとも偏った理解のされ方をしているものの一つでもある。インドでの様々な現地調査に基づき現在のカーストのあり方を明らかにすることを通じて、変わりゆく現代インド社会の実像を描き出す。

目次

 はじめに

I カーストを理解するための基本知識

第1章 今日のカースト――つづくもの・変わるもの
 【コラム1】ネットワークとしてのカースト
第2章 カースト・憲法・優遇政策――カーストをめぐる国家の模索と課題
第3章 「カースト」と「トライブ」――集団範疇をめぐる政治学
第4章 クマーワット〈ラージャスターン州〉――カーストの「生成」
 【コラム2】カーストと部族

II カーストの伝統的仕事を続ける人びと

第5章 チャマール〈ウッタルプラデーシュ州〉――村の産婆さん
第6章 ナーイー〈ウッタルプラデーシュ州〉――村落のメディエーター
第7章 ポトゥア〈西ベンガル州〉――それでも絵語りの仕事は続く
第8章 ワンカル〈グジャラート州〉――機織りとガンディー
第9章 パドマ・サーリヤル〈タミルナードゥ州〉――南インドの伝統的な織工カースト
 【コラム3】疑似親族とカースト

III 存在感を増す中間カースト

第10章 ヤーダブ〈ウッタルプラデーシュ州〉――躍進する中間カースト
第11章 ジャート〈ウッタルプラデーシュ州〉――土地とともに生きる
第12章 コング・ヴェッラーラ〈タミルナードゥ州〉――タミルナードゥ州西部の有力農民カースト
 【コラム4】カーストと映画

IV グローバル化時代を生きる高位カースト

第13章 ブラーマン〈タミルナードゥ州〉――サンスクリットからIT産業へ
第14章 ナンブーディリ・ブラーマン〈ケーララ州〉――ブラーマンの経済的変化と職の選択
第15章 ジェティ〈グジャラート州〉――レスラーの末裔たち
 【コラム5】ラーム・レワリ――カースト・アイデンティティの誇示の場
第16章 ラージプート〈ラージャスターン州〉――「伝統」を生きる人びと
第17章 ナーヤル〈ケーララ州〉――高位カーストの誇りとステータスの死守
 【コラム6】名前の変化と使い分け

V 不可触民・後進カーストと呼ばれる人びと

第18章 ドム〈西ベンガル州〉――持参金をめぐるかけひき
第19章 シュンリ〈西ベンガル州〉――隠ぺいされた地名
第20章 ワンナーン〈ケーララ州〉――神霊を担う不可触民たちの現在
第21章 ティーヤ(イーラワー)〈ケーララ州〉――台頭する後進カースト
 【コラム7】マヤヴァティ

VI カースト社会を生きる女性たち

第22章 カトリー〈グジャラート州〉――染色カーストと女性の仕事
第23章 ポトゥア〈西ベンガル州〉――芸能民カーストの女性と結婚
第24章 マラヤン〈ケーララ州〉――太鼓奏者の陰に隠れた女たちの音楽的才能と新たな役割
 【コラム8】カーストと衣服

VII ヒンドゥー社会以外の宗教集団とカースト

第25章 ムスリムとカースト〈ウッタルプラデーシュ州〉――預言者の子孫を頂点としたヒエラルキー
第26章 マーンガニヤール〈ラージャスターン州〉――人間類型の迷宮への誘い
第27章 改宗仏教徒とカースト〈ウッタルプラデーシュ州〉――平等を求めて
 【コラム9】アンベードカルとカースト
第28章 ベンガル・クリスチャン〈西ベンガル州〉――捨てられたカースト
第29章 ゴア・クリスチャン〈ゴア州〉――ポルトガル支配とカーストの現在
第30章 バウル〈西ベンガル州〉――もう一つのライフスタイル

 参考文献

前書きなど

はじめに(金基淑)

 インドの急速な経済成長とともに、近来日本でもインドへの関心が高まりつつある。インド関連の書籍や映像・雑誌のインド特集も増加の一途をたどっており、日本企業のインド進出も増えてきている。しかし、インドの社会や文化、人に対する一般の認識はあまり変わっておらず、また従来からのイメージが先行しているところがあることも否めない。なかでももっとも偏った理解のされ方をしているものの一つがカーストであろう。
 日本においてもカーストへの理解は、「分離と差別に基づいた前近代的な身分制度」といったステレオタイプのものが強調され、異なる集団同士の共存を可能にしたカーストの仕組みや柔軟性などへの関心は必ずしも高くなかったといえよう。大学の授業でも時間をかけて丁寧にカーストやインド社会について講義をしたつもりでも、学生のコメント・カードには「インドでなく、平等社会日本に生まれてよかった」と書かれて締めくくられることもある。こうした偏った理解は、綿密な現地調査に基づいた人類学や社会学の分野におけるカースト研究の膨大な蓄積により、その実態がかなり明らかになっている今日においても払拭されているとは言い難い。
 こうした現状から、本書は次の二つのことを目的にしている。まず一つめは、今日のカーストへの理解を通じて、現代インド社会への理解を深めることである。むろん上記で述べられたようなカーストの負の要素は否定できない。しかし、カーストの諸側面および現在の実態を知ることで現代インド社会を理解することこそ重要な課題であると考えられる。また、ヒンドゥー社会の根幹をなすカーストを理解することは、国民の80%以上がヒンドゥー教徒であるインド社会を理解することでもあるのである。
 二つめは、日印間のさまざまな交流が活発になりつつある現在、インド社会やカーストなどについての幅広い知識や理解がますます必要とされており、そのために役立つ情報を提供することである。これまでカーストについては和洋を問わず多数の文献が出版されており、なかには優れた専門書も多い。しかし、それらは一般の人や学生たちにとって必ずしも手に取りやすいものばかりではなく、内容が専門的すぎたり、またページ数が多く、読み終えるのにかなりの時間を要するといった難点もあった。
 本書は、長年インドで現地調査を行ってきた、文化人類学を専門とする執筆者たちによって書かれたものである。現地での実体験に基づいたさまざまな話がヴィヴィッドに描かれており、現代インドにおける数々の変動の実態もとらえている。なかには重複するカーストもあるが、取り上げられたテーマや地域が異なっているため、比較しながら読むこともできよう。カーストを通じてインド社会の今を知るための手軽な書として読んでいただければ幸いである。

著者プロフィール

金 基淑  (キム キスク)  (編著

京都文教大学総合社会学部教授。筑波大学大学院修了(文学博士)。
専攻:文化人類学、南アジア地域研究。
主な著書・論文:『アザーンとホラ貝――インド・ベンガル地方の絵語り師の宗教と生活戦略』(明石書店、2000年)、『南アジア――ファースト・ピープルズの現在〈講座 世界の先住民族3〉』(編著、明石書店、2008年)、「絵語りで伝える神々の物語――ベンガルのポト絵とポトゥア」(鈴木正崇編『神話と芸能のインド――神々を演じる人々〈異文化理解講座9〉』(山川出版社、2008年)など。

追記

執筆者一覧


金谷 美和(かねたに・みわ)

金 基淑(キム・キスク)

古賀 万由里(こが・まゆり)

小西 公大(こにし・こうだい)

小牧 幸代(こまき・さちよ)

杉本 星子(すぎもと・せいこ)

杉本 良男(すぎもと・よしお)

竹村 嘉晃(たけむら・よしあき)

舟橋 健太(ふなはし・けんた)

松川 恭子(まつかわ・きょうこ)

三尾 稔(みお・みのる)

村瀬 智(むらせ・さとる)

八木 祐子(やぎ・ゆうこ)

上記内容は本書刊行時のものです。