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日本の児童相談 川崎 二三彦(編著) - 明石書店
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日本の児童相談 先達に学ぶ援助の技

発行:明石書店
四六判
312ページ
並製
定価 2,400円+税
ISBN
978-4-7503-3304-5
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年11月
書店発売日
登録日
2010年12月22日
最終更新日
2011年6月27日
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紹介

児童虐待時代といわれる今だからこそ、児童福祉の世界を生き抜いてきた先達を訪ね、思いきりいろんなことを訊いてみたい――。そんな著者の思いから生まれたインタビュー集。60代から80代までの元援助職たちがこれまでの実践を振り返る。

目次

 はじめに

田中島晁子さん(東京都)
○あなたの感性を磨きなさい――オウム真理教事件にも挑んだパイオニア
   手のひらで雛人形が崩れる/ご飯炊くなんて得意中の得意/軍歴をピタッとあてちゃった/残り一%でも諦めないこと/だったら子ども産まなきゃ/「あんたの捨て子よ」/家を見た途端、ムカムカするの/私、知りたがりなのかな/何もかも手探り/「あなたの感性を磨きなさい」

加藤俊二さん(愛知県)
○バンザイ、俺は福祉司だ!――七つ道具はバットにグローブ、ジーパンや石鹸
   留守番しながら絵を描いた/伊勢湾台風、何百という遺体が……/心理学に絶望したんだ/俺が非行少年を直す!/「生活を綴ろう」ってね/バンザイ、俺は福祉司だ!/なんで仲間から引き裂くんだ!/ついにダウンしたの/山の話をしたかったな

鈴木豊男さん(茨城県)
○児童相談所には文化がなきゃ駄目だね――担当地域を隈なく歩いた児童福祉司
   ようこそ茨城へ/機銃掃射に命からがら/炭鉱の村の教師になった/児童相談所が変化する節目のときに就職したんだ/劣悪な職場の条件/『児童相談所執務必携』は立って読まされた/この足で、一日二〇キロは歩いたね/“自由業”は、厳しいんだよね/仲間の支えがあればこそ/児童相談所には文化がなきゃ駄目

伊東美恵子さん(大阪府)
○悩んで悩んで道が開ける――児童福祉司一筋三八年
   日本で唯一の人ですよね/両親二人ともが結核で入院したんです/就職先は児童相談所って、決めてました/児相研には熱気がありましたね/福祉司を続ける秘訣ですか? 忘れることかな/組合の役員も三七年間させてもらいました/ドライバー突きつけられて一目散に逃げました/七〇年代も、苦労したのは児童虐待です/まわりが支えてくれたんです/悩んで、悩んで、道が開けるっていうのかな/天然ボケと言われてまして/素晴らしい人に出会えましたからね

山本昭二郎さん(大阪市)
○人には大切な出会いがあるんでしょうね――八〇歳を過ぎてなお現役の心理臨床家
   八〇歳を超えて現役/ちりめん問屋に生まれる/隣村の代用教員を頼まれてね/僕に教員の資格はないと思ったんです/「林脩三先生に会ってごらん」/いかにして専門性を高めるのか/とにかく皆一生懸命でした/大阪のど真ん中にある施設のどこがおかしい/「分化と統合」を掲げてね/「過渡的治療」ということ/感動を与える人でありたい/お互い、本音が出せないとね/よきものを受け継ぎ、伝えていく/『ヒポクラテスと蓮の花』

渡真利源吉さん(沖縄県)
○だから私は馬鹿だと言われるんですよ――占領下の沖縄で児童福祉の礎を築く
   土地持ちの家の子は中学に行けなかった/爆弾を見て初めて敵機とわかったんです/密航同然で沖縄本島に渡りました/一番前の席がいつも空いてるんです/沖縄から何十人もが本土留学しました/沖縄児童福祉法に「訓戒・誓約」はありません/それはもう措置会議ですね/沖縄には糸満売りというのがあってねえ/現場に戻りたい!/もう一度本気で子育てを考えないと

津崎哲郎さん(大阪市)
○待っているだけではあかんのです――介入的ソーシャルワークはこうして生まれた
   相手は無視して通り過ぎていく/このまま企業人間になってもあかん/ドーナツ状に真っ黒になるんですわ/子どもの気持ちがよく表現されてるんですよ/いろんな勉強会をやりました/問題意識を持つことは基本でしょ/処遇が行き詰まる/闘志がわいてくる/壁が悉く突破できていったんです/生みの苦しみですから/要は四方八方がケースワークなんです/法律のほうを破らなあかん/その子に教えてもらったんです/子どもの利益の代弁者として

前書きなど

 まえがき(川崎二三彦)

 ある時期を児童相談所で働き、長く児童福祉の世界を生き抜いてきた先達を訪ね、思いっきりいろんなことを訊いてみたい。ということを、私はずっと前から考えていた。
 それはおそらく、このところの児童福祉、児童相談所の著しい変貌が背景にあってのことだろう。「職権保護」「立入調査」「臨検・捜索」といった言葉が飛び交う現場では、新人だけでなくベテラン職員もさまざまに試行錯誤し、知恵を出しながら努力を積み重ねている。では児童虐待時代といわれる今、これからどのような相談援助活動を目指せばよいのか、実は私自身には、未だ確かな答えがない。そんなときに思いついたアイデアが、「こういう時代だからこそ、長年この世界を生き抜いてきた先達の経験に学ぼう」ということだ。戦後直後に施行された児童福祉法は、すでに六〇有余年の歴史を刻んでおり、この間には有名無名、幾多のすばらしい援助者が輩出している。彼らを訪ねれば、過去と未来をつなぐヒントが必ずや見つかるのではあるまいか……。

 この企画は、そんな私の希望を聞いた鈴木崇之さんが、快く協力を申し出てくれたことから船出する。だが、実際に始めてみると、想像を超えるインパクトが私たちを待ち受けていた。何しろ訪問した誰もが、人を惹きつけねばおれないオーラを放つので、私たちは圧倒され、また好奇心をいたく刺激されたのである。
 (…中略…)

 本書は、児童相談所の現役職員らが中心となって編集している『そだちと臨床』誌(明石書店刊)に「日本の児童相談をたどる」と題して連載した合計六回分、すなわち田中島晁子さん、加藤俊二さん、鈴木豊男さん、伊東美恵子さん、山本昭二郎さん、渡真利源吉さんに、本書のため別途お願いした津崎哲郎さんを加えた七人へのインタビューで構成されている。ただし、雑誌掲載時には紙数の関係で大幅にカットした部分をすべて収録したので、こちらはいわばノーカット版。唯一の懸念は、こうした先達の姿を、私たちの稚拙な筆の運びでどこまで伝え得たかということだが、それでもなお、読者が本書を読み終えたときには何かを感じ、何かが変わるのではないだろうか。是非ともこの人たちのワンダーな世界に足を踏み入れてほしい。

(…後略…)

著者プロフィール

川崎 二三彦  (カワサキ フミヒコ)  (編著

子どもの虹情報研修センター研究部長
京都大学文学部哲学科卒業。児童相談所で32年間勤務し、京都府宇治児童相談所相談判定課長を経て、2007年度より現職。おもな著書に『子どものためのソーシャルワーク(全4巻)』(明石書店)、『児童虐待』(岩波新書)、『いっしょに考える子ども虐待』(編著、明石書店)などがある。

※「崎」の字は正確には立つ崎

鈴木 崇之  (スズキ タカユキ)  (編著

会津大学短期大学部社会福祉学科専任講師
明治学院大学大学院社会学・社会福祉学研究科博士後期課程単位取得退学。学部学生・院生時代より児童相談所および児童自立支援施設にて嘱託職員として勤務。武庫川女子大学助手、沖縄大学実習助手、頌栄短期大学専任講師を経て、2007年より現職。おもな著書に『よくわかる養護内容・自立支援』(共編著、2007年、ミネルヴァ書房)、『児童自立支援施設 これまでとこれから──厳罰化に抗する新たな役割を担うために』(共著、2009年、生活書院)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。