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ブラジルを知るための56章【第2版】 アンジェロ・イシ(著) - 明石書店
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エリア・スタディーズ14

ブラジルを知るための56章【第2版】

発行:明石書店
四六判
272ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-3138-6
Cコード
C0033
一般 単行本 経済・財政・統計
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年2月
書店発売日
登録日
2010年3月2日
最終更新日
2010年3月2日
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紹介

BRICsの1国として世界の注目を集めつつある大国ブラジルの魅力を、日系ブラジル人の著者が「ブラジル人」の視点と「日本人」の視点を交えて紹介する。2001年の初版の情報をアップデートするとともに、新たな話題も追加したブラジル入門書の決定版。

目次

 はじめに――ブラジル人からの新たなるラブコール

I ブラジルの現在を理解する
 第1章 黒いペレと白いセナ――コントラストの国
 第2章 一国の中にある五つの「大陸」――格差社会の縮図
 第3章 「緑の地獄」の美しさ――アマゾン
 第4章 リオデジャネイロの魅力――オリンピック開催都市
 第5章 サンパウロの魔力――南米最大の都市
 第6章 一味違うお勧め観光スポット――豊かな自然と植民地時代の遺産
 第7章 旅行者への基本アドバイス――安全か、危険か
 第8章 「発見」に遡る500年の矛盾――大航海時代
 第9章 祝日でわかるブラジルの社会――「恋人の日」はいつ?
 第10章 自慢の豊かな食文化――牛肉だけではない!
 第11章 サッカーという名の宗教――2014年のW杯開催国
 第12章 「サッカー文化」のキーワード――王国の秘訣
 第13章 英雄アイルトン・セナの「伝説」――愛されたF1レーサー
 第14章 カーニバルの社会経済学――祭りの舞台裏
 第15章 カーニバルに関する「定説」――リオだけではない!

II ブラジルの魅力を満喫する
 第16章 何でもジョークにできる国民性――冗談と真実の間
 第17章 独断と偏見の「ピアーダ傑作集」――政治的公正とは無縁!?
 第18章 ブラジル風ユーモアの解読――笑いのツボ
 第19章 珍しい大統領のオン・パレード――個性的なリーダーたち
 第20章 「移民の国」の形成過程――多民族国家の主役たち
 第21章 各種スポーツのチャンピオン――柔術から空手まで
 第22章 テレビ中毒の国民――ノヴェーラが文化をつくる
 第23章 最も見られるテレビニュース番組の秘訣――究極のオピニオンリーダー
 第24章 ブラジル現代映画の底力――世界が認めた傑作の数々
 第25章 「神の街」を描いた大ヒット映画――『シティ・オブ・ゴッド』の魅力
 第26章 世界を虜にしたブラジル音楽――計り知れない多様性
 第27章 ブラジル風ヌードの美学――もう一つの「デンタル・フロス」
 第28章 世界を制したロマンティックなリーダー――出る杭は打たれない
 第29章 日本とブラジルの共通点――実は似たもの同士?

III ブラジルの矛盾を解読する
 第30章 「ブラジルの木」の危機――国名にはなったけれど……
 第31章 環境破壊、犯人は「薮の中」――エコロジーという宿題
 第32章 ストリート・チルドレン――あまりにも有名な難題
 第33章 貧富の格差と貧民の本音――目指すのは「飢餓ゼロ」
 第34章 「スラム」というジャングル――都会の不本意な名物
 第35章 さまよえる中流層――「階級」というキーワード
 第36章 暴力と犯罪は「ノー」――治安回復の模索
 第37章 インディオの悲劇――先住民の居場所探し
 第38章 成熟した文学と未熟な教育――作家はパウロ・コエーリョだけにあらず
 第39章 多民族国家の憂鬱――賛否両論のアファーマティブ・アクション
 第40章 ルーラ大統領の来日と日伯関係――関係の活性化
 第41章 眠れる大国の現在と未来――BRICsへの期待

IV ブラジルの神髄を堪能する
 第42章 『イパネマの娘』誕生の真実――ボサノバの名曲で歌われる娘とは?
 第43章 国歌と国旗をめぐる議論――暗唱しがたい長い国歌
 第44章 「ジェイチーニョ」という哲学――ブラジル人を理解する鍵
 第45章 世界的に有名なブラジル人――カルロス・ゴーン氏の出身は?
 第46章 世界に誇れるインテリ大統領――フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ
 第47章 アフリカ系の社会的上昇――『人種』という雑誌の誕生
 第48章 世界に通用する「ブラジル製」――アルコール車からトロピカルフルーツまで
 第49章 日本人が描くブラジル人像――根深いステレオタイプ
 第50章 日系人の新しいイメージ――広がる活躍の場
 第51章 現代のディアスポラ――海外に移住するブラジル人
 第52章 ブラジルと日本で祝われた「移民100周年」――伝統芸能からミスコンまで
 第53章 隣のブラジル人に興味を抱こう――「在日」になったデカセギ者たち
 第54章 ブラジルの興味深いトレンド――笑える話題、笑えない話題
 第55章 ブラジル人は言葉が命――名言と迷言の間
 第56章 ブラジル好きな日本人の言葉――ブラジルへの「ラブコール」

 写真提供
 参考文献

前書きなど

 はじめに――ブラジル人からの新たなるラブコール

 『ブラジルを知るための55章』を出版して、早くも8年が経過した。この間、幾度かの増刷もあったが、この度は若干の加筆修正を試み、さらには複数の章をまったく別の書き下ろし原稿と差し替え、『ブラジルを知るための56章』という第2版をお届けする運びとなった。
 とりわけ52章は、2008年の「日本ブラジル移民百周年」に関する原稿である。日伯政府が2008年を「日本ブラジル交流年」と位置づけたせいもあり、ブラジルを訪れる日本の要人がこれほど多かった年は他にないのかもしれない。これが今後の交流の活発化にどの程度(そしてどのように)役立つのか、期待が膨らむ。
 2014年のサッカー・ワールドカップ開催、さらには16年の夏季オリンピックの開催地がリオデジャネイロに決まり、ブラジルは今、バブルの真っ只中にある。本書の初版が世に出た01年に比べれば、確かにブラジルはいくつかの点において大きく変化した。労働者階級出身のルーラが大統領になり、大方の予想に反して再選まで果たした。米国のゴールドマン・サックス社の研究者が21世紀はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字)の時代になると予言して以来、日本でもBRICsがもてはやされ、ある意味ではブラジル本国以上に、「未来の国」としてブラジルが秘める経済成長の可能性が楽観視されている。NHKテレビも、人気シリーズの『沸騰都市』第6回(09年2月1日放送)でサンパウロ市を取り上げた。番組では「空飛ぶ富豪」がリポートされ、サンパウロの空を飛ぶヘリコプターが400を超え、個人所有の数もヘリポートの数も世界一を誇ることが紹介された。本書の初版でも、いち早く大都市でのヘリコプターの異常ともいえる多さに触れたが、このテレビ番組は、貧富の格差が依然としてこの国の最大の社会問題であり続けていることを痛感させる。
 日本では、ここ数年、「格差社会」なるものが騒がれるようになった。「格差」を意識し、その是正を目指すという意味においては、ブラジルは不本意ながら日本の大先輩なのだ。したがって本書は、ブラジルにさほど関心がない人々にとっても、格差問題を考える教科書(いや、教科書というよりは反面教師?)としてご活用いただくことも可能だろう。
 8年前の初版で、私は「本書はブラジルに関する客観的な紹介本ではない」と書き、「サンパウロで生まれ育ち、都会というジャングルで生きてきた、日系移民の子孫で中間層の人間である私の主観に左右されていることを、この際断っておこう」と言い切った。開き直りに聞こえるかもしれないが、この基本姿勢は今も変わらない。

 (…中略…)

 2010年のワールドカップ南アフリカ大会では、日本代表も予選を無事に通過して出場が決まった。そして、そのチームの柱には、ブラジル出身の田中マルクス闘利王という選手がいる。思えば日本のサッカー代表にはこの20年間、必ずブラジル出身の選手が活躍してきた。ミスター・ヴェルディとまで呼ばれたラモス瑠偉に始まり、呂比須ワグナー、そして三都主アレックスという具合に、日本人以上に「日の丸」を背負ってチームに新たなエネルギーを注入してきた個性あふれる人たちだ。ラモスはアフリカ系の血が流れるリオっ子、呂比須は肌色が白くてシャイなサンパウロ州出身、三都主は日系移民が多く住むパラナ州マリンガ出身の熱血派、そして闘利王は日系人の父親とイタリア系ブラジル人の母親を持つ日系3世のいわゆる「ハーフ」である。この4人を思い浮かべるだけでも、「ブラジル人」を一括りで語ることの難しさがおわかりいただけるだろう。
 最後に、再び初版の「はじめに」で自分が書いたことを引用しよう。
 「ブラジルに夢中になっている日本人はあまりいない。寂しいことだ。でも、ブラジルをよく知っていて嫌いだという日本人もほとんどいない。これは嬉しい事実である。だから、私はブラジルが好きな日本人がまだ少ないことを悲観していない。ブラジルを知る人さえ増えれば、間違いなくブラジル・フリークも増えるはずだと信じているからだ」

 (…後略…)

 2009年10月2日(2016年夏季オリンピックがリオデジャネイロに決定した直後) アンジェロ・イシ

著者プロフィール

アンジェロ・イシ  (イシ,アンジェロ)  (

 ブラジル・サンパウロ市生まれの日系3世、自称「在日ブラジル人1世」。ひいきのサッカー・チームはサンパウロFC。サンパウロ大学ジャーナリズム学科卒業後、Abril出版社勤務。1990年に国費留学生として来日。新潟大学大学院および東京大学大学院を経て、在日ブラジル人向けのポルトガル語新聞の編集長を3年間務める。日伯の移民やメディアを研究するかたわら、ジャーナリストとしても活動。日本各地で日本人市民やブラジル人住民を対象に国際交流や共生をテーマに数多くの講演を行う。2004年より武蔵大学社会学部メディア社会学科専任講師、2007年より准教授。
 著書(共著)として、『移動する人びと、変容する文化――グローバリゼーションとアイデンティティ』(御茶の水書房、2008年)、『テレビニュースの解剖学――映像時代のメディア・リテラシー』(新曜社、2008年)、『トヨティズムを生きる――名古屋発カルチュラル・スタディーズ』(せりか書房、2008年)、Transcultural Japan: At the Borderlands of Race, Gender, and Identity(Routledge Curzon, 2008)、『叢書グローバル・ディアスポラ6 ラテンアメリカン・ディアスポラ』(明石書店、2010年)など、多数。なかでも、皆さんに最も読んでいただきたいのは、在日ブラジル人向けの雑誌ALTENATIVAに連載しているポルトガル語のコラムである。

上記内容は本書刊行時のものです。