書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
子どもと青年の攻撃性と反社会的行動
その発達理論と臨床介入のすべて
原書: AGGRESSION AND ANTISOCIAL BEHAVIOR IN CHILDREN AND ADOLESCENTS
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2008年11月
- 書店発売日
- 2008年10月31日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年1月5日
紹介
社会学、人類学、進化生物学、精神病理学、疫学、神経心理学から、心理社会的介入や精神薬理学に至るまで、種々の分野から実証的情報を集め、青少年の攻撃性と反社会的行動の基礎的および臨床的研究から治療的介入までを包括的にレビューした基本図書。
目次
日本語版への序文
序文
まえがき
第1章 攻撃行動の定義と分類
用語と定義に関連する問題
攻撃性の全般的定義
適応的および不適応的攻撃性
異なる専門分野からの攻撃性の定義
攻撃性のサブタイプ
現在の攻撃性の概念の問題点
本章のまとめ
第2章 攻撃性、反社会的行動、自殺の有病率
正常な小児期の発達における適応的攻撃性
コミュニティーサンプルにおける不適応的攻撃性の有病率
少年司法の研究と統計
子どもの自殺の有病率
精神科受診例サンプルにおける不適応的攻撃性の有病率
本章のまとめ
第3章 攻撃性:安定性、障害、終結
方法論的問題
コミュニティーサンプルにおける攻撃性および関連する行動の安定性
性別と安定性
安定性に基づく攻撃性のサブタイプ
攻撃的な子どもの長期的な障害
攻撃性の中止と終結
本章のまとめ
第4章 精神医学診断分類と攻撃性の関係
破壊的行動障害
気分障害
物質使用障害
パーソナリティ障害
精神病質
精神病性障害
不安障害
カテゴリー的診断の考え方の中で攻撃行動を理解することの問題点
本章のまとめ
第5章 攻撃性および関連する行動のリスク因子と保護因子
個人のリスク因子
家族のリスク因子
家族外のリスク因子
リスク因子についての総合的考察
保護因子
本章のまとめ
第6章 精神生物学:神経心理学、精神生理学、脳画像、身体的小奇形
神経心理学
精神生理学
脳画像
身体的小奇形
本章のまとめ
第7章 神経生物学:生物行動学モデルと神経疾患ステロイドホルモン
モノアミン
神経生物学的―行動モデル
攻撃性と関連があると考えられている神経疾患
本章のまとめ
第8章 攻撃性および関連する行動の包括的モデル
発達精神病理学
生物社会的相互作用
本章のまとめ
第9章 女性の攻撃性および関連する行動の問題
女性の攻撃性の型
有病率と安定性
関連要因
発達経路
若年成人の転帰
本章のまとめ
第10章 臨床評価、症例の定式化、治療計画
注意事項:子どもと青年の精神保健治療の財政的制約の増大
評価、症例の定式化、治療計画策定の全般的モデル
特異的な評価技術と尺度
司法評価:他者への危害のリスクの評価
本章のまとめ
第11章 心理社会的介入
重要な臨床的意味を持つ要因
家族介入
認知行動スキルトレーニング
予防プログラム
効果がないと思われる治療
本章のまとめ
第12章 精神薬理学的治療
不適応的攻撃性の向精神薬治療の論理的根拠
臨床的に紹介された子どもたちにおける攻撃性の薬剤疫学
臨床的薬物管理の原則
神経遮断薬と抗精神病薬
刺激薬
抗うつ薬
気分安定薬
アドレナリン作動薬
その他の薬物療法
頓服薬の使用
どの薬物を使用するのか
本章のまとめ
参考文献
索引
訳者あとがき
前書きなど
日本語版への序文(ダニエル・F. コナー)
私の著書『Aggression and Antisocial Behavior in Children and Adolescents: Research and Treatment』の日本語版への序文を書かせていただけることを大変うれしく思います。子どもによる、および子どもに向けられる暴力の現れ方は文化によって異なると思われますが、小児期や青年期に始まる攻撃性は精神保健の問題として世界中で関心が高まってきています。世界各国の法律や文化的価値観の違い、問題行動の定義が異なること、早期発症の攻撃性と暴力が過小に報告されること、異なる文化間で利用できる科学的なデータベースがないことなどのために、子どもたちの早期発症攻撃性と暴力についての疫学を正確に知ることは非常に難しいことです。子どもの攻撃性の激しさや頻度は国によってかなりの違いがありますが、これまでに報告された少数の国際比較研究や世界保健機構のデータからは、子どもによる、および子どもに向けられる暴力は世界的な問題であることが明らかにされてきています。
暴力と攻撃性は子どもの生涯の発達に、広範囲で、慢性的で、有害な結果を及ぼします。子どもや青年による、および彼らに向けられる暴力と攻撃性は、身体的、性的、社会的、対人的、教育的、心理的などの、多様な健康への影響を及ぼします。また、暴力と攻撃性によって社会は、被害者、加害者、少年司法、裁判所、病院、教育、医療、精神保健などに多大な経済的負担を負わなければなりません。
早期発症の攻撃性は複雑で不均一な行動であり、多面的で相互的な、社会的、認知的、対人的、環境的、家族的、心理学的、生物学的、発達的要因を持っています。子どもの反社会的行動の原因についての単純化し過ぎた説明や主効果モデルは、注意深い科学的根拠の検証に堪えられるものではありません。さらに、教育機関、少年司法、児童福祉、警察、裁判所、医療機関、精神保健の関係者は、それぞれが攻撃性を別々に定義しています。この複雑さに加えて、暴力は、積極的攻撃性、反応的攻撃性、顕在的・潜在的攻撃性などのいくつかの次元と動機、攻撃性の激しさ、頻度、重大さによって分類されることもあります。異なる攻撃性と暴力の特徴のために、社会による対応も異なるものが必要になることがあります。
このような複雑さがあるとすれば、子どもの攻撃性と暴力に対する社会の対応も多面的なものでなければならなくなります。早期発症の攻撃性に対する社会の「画一的な」対応ではおそらくうまくいかないことでしょう。残念ながら、世界の多くの国々では世論や社会政策は少年犯罪に対してますます厳罰化する方向にシフトしてきています。この法制度と社会政策の中では、早期発症の攻撃性の原因として、精神医学的診察と治療を必要とするような生物社会的な複雑性と子どもの暴力に対する精神保健の対応についての議論が欠落しています。
本書は、読者の方々に子どもと青年の攻撃性の不均一性と複雑性を理解していただくために執筆しました。私たちが攻撃的行動をどのように定義して概念化するかによって、暴力的な子どもたちに対する社会の対応が決まります。もし、このような子どもと青年を単なる犯罪者であると定義するだけであれば、彼らが法的制裁を受けるだけのことになり、行動抑止力としての懲罰を促すことになります。もし、早期発症の攻撃的行動に内在する真の複雑性をよく理解するならば、精神保健治療の必要性を含めて介入方法の幅は大きく広がることでしょう。本書は、医学、心理学、刑事司法の考え方の橋渡しをして、子どもと青年の攻撃性および反社会的行動を包括的に理解する枠組みを示すことを目指したものです。米国の考え方に基づいて書かれてはいますが、本書が米国以外の文化においても役に立ち、子どもと青年による、あるいは彼らに向けられた攻撃性と暴力の問題に対する国際的な議論を促進するものになれば幸いに思います。
上記内容は本書刊行時のものです。
