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授業の研究 教師の学習
レッスンスタディへのいざない
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2008年6月
- 書店発売日
- 2008年6月23日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2010年2月25日
紹介
日本の教師が自律的に行う校内研修は、授業研究(レッスンスタディ)として90年代後半に海外に紹介された。今の日本の授業研究会を教師の学習という視座から、また世界的動向のなかでとらえ直し、これからの学校改革や教師と研究者との協働の可能性を探る。
目次
はじめに(秋田喜代美)
第1部 レッスンスタディの広がりと問い
第1章 授業研究――アメリカ合衆国における発展と挑戦(キャサリン・ルイス:秋田喜代美・訳)
1 発展してきた領域
2 挑戦できる領域
第2章 レッスンスタディの国際動向と授業研究への問い――日本・アメリカ・香港におけるレッスンスタディの比較研究(ジーン・ウルフ/秋田喜代美)
1 レッスンスタディの国際的広がり
2 「レッスンスタディ」の特徴
3 レッスンスタディをめぐる8の問いとアプローチ
4 アメリカ・香港・日本3カ国のレッスンスタディ研究の特徴
第3章 日本の授業研究の歴史的重層性について(佐藤学)
第2部 授業研究・カリキュラム研究を通した教師の対話と学び
第4章 教師の学びの新しい可能性――デザイン研究という授業のあり方(大島純)
1 背景と目的
2 研究方法
3 結果
4 考察
5 今後の課題
第5章 対話を通した教師の対話と学習(丸野俊一/松尾剛)
1 学習の要としての対話
2 対話による授業実践に対する教師の認識
3 対話による授業を営むために教師に求められる関わりの姿勢と技量
4 「対話による授業作り」を求めた“学びの共同体”の中での対話と学習
第6章 授業研究協議会での教師の学習――小学校教師の思考過程の分析(坂本篤史/秋田喜代美)
1 教師の学習と談話
2 授業研究の事例
3 結論――協議会での教師の学習
第7章 授業検討会談話と教師の学習(秋田喜代美)
1 教師の協働学習の場としての授業研究
2 協働学習としての授業検討会の位置づけ
3 ある小学校の授業検討会の談話分析
第8章 幼小連携の話し合いと教師の学習(藤江康彦)
1 幼小連携の課題――相互理解
2 フィールドの概要
3 教師間の話し合いの変容
4 幼小の教師間の談話の変容
5 教師の学習
6 相互理解という戦略――教師の学習に向けて
第3部 教師の学習システム開発とコミュニティとの連携
第9章 授業づくりにおける「しかけ」(鹿毛雅治)
1 そもそも「教師が授業する」とはどのような営みか
2 「しかけ」とは何か
3 「しかけ」の実相
第10章 レッスンスタディを持続させ、豊かにする授業分析の役割――コミュニティの中での大学と学校の連携によるレッスンスタディ(的場正美)
1 本研究の目的と方法
2 大学と学校の多様な連携
3 日本における大学と学校の授業研究を基礎とした連携
4 日本の学校における授業研究
5 研究成果
6 授業研究を持続し、豊かにするための実践的提案
第11章 学校を変えるロングスパンの授業研究の創造(松木健一)
1 授業研究で何を学ぶか
2 授業研究から事例研究に展開する構造を持った授業研究
3 教育の相互性から見た授業研究
4 大学における授業研究
5 理論と実践の架け橋
6 「学校教育相談研究」の授業
7 「学校教育相談研究」の授業研究
8 教職大学院の授業
コメンタリー
1 学習科学から見たレッスンスタディ(白水始/三宅なほみ)
2 教師の学びの新しい可能性(無藤隆)
レッスンスタディに関する参考情報(秋田喜代美)
前書きなど
はじめに(一部抜粋)
(…前略…)
日本の授業研究の研究者には歴史的視座や、学校経営、教育工学等様々なアプローチがある。また算数、理科など個別教科での方法論の検討もある。しかし今回は、教師の学習過程という視座から学校種や教科を超えて現在の日本の授業研究会をレッスンスタディとして捉えることをねらいとしたものである。授業研究が特定の授業の検討だけではなく、教師個人の長期にわたる学習や変容と共に、それを支える学校空間や大学との協働を作り出していく可能性を探るために授業研究のひろがりの射程を個人(第2部)、学校の学習システムづくりとして学校づくりや大学との連携(第3部)との関連の中で捉えることにした。またキャサリン・ルイス、ジーン・ウルフという北米でのレッスンスタディに関わると共に日本の学校実態をよく知っており、アジア各国でのレッスンスタディ立ち上げのアドバイザーをしてきた2人との共通の土俵として、レッスンスタディの国際的動向をおさえた部(第1部)の編成をすること、また研究会で指定討論者を引き受けてくださった方々のコメンタリーによって、本を編集することになった。
「レッスンスタディ」という海外での用語をあえて本書ではなぜ使用するのか、レッスンスタディは直訳すると「授業の研究」であり、それは日本の授業研究が意味するものを十分に取り上げた英語訳になっていないという議論も執筆者の中にはあった。しかしあえてここで「レッスンスタディへのいざない」と題したのは、自明としていたり、日本の内側での学校改革として議論されてきた授業研究を、異なる文化や視座との対話によって再度自覚的に捉えなおすことが新たな探究の道に光をあてることになるのではないかとの、越境する対話への思いからである。
(…後略…)
2008年5月編者を代表して 秋田喜代美
上記内容は本書刊行時のものです。