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現代の理論 08新春[Vol.14] 『現代の理論』編集委員会(編) - 明石書店
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現代の理論 08新春[Vol.14] 特集 日本国家の品格を問う

発行:明石書店
A5判
224ページ
並製
定価 1,143円+税
ISBN
978-4-7503-2706-8
Cコード
C0336
一般 全集・双書 社会
出版社在庫情報
在庫僅少
初版年月日
2008年1月
書店発売日
登録日
2012年2月13日
最終更新日
2012年2月13日
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紹介

この国の政体は何か、の問いに答えられる日本人はどれだけいるか。自虐史観、国家の品格、美しい国…この間右派から様々に出された、あたかも国家が人格をもつかのような空虚な名付けが招来させた混乱。日本への自己同一化を回避しつつ国家を問いなおす道とは。

目次

特集のことば

巻頭対談
 戦後補償問題からみた日本(今村嗣夫×高橋哲哉)

 あいまい国家日本の由来(橘川俊忠)
 ブラジル移民と遠隔地ナショナリズム(深沢正雪)
 この国に「かたち」はあるのか(川原崎剛雄)
 人類館事件と差別の序列(千本秀樹)
 「沖縄」をヤマトに投げ返す沖縄的戦略(柳下換)
 「ネット右翼」の道徳概念システム(能川元一)
 帝国日本による朝鮮鉄道政策の虚と実(鄭在貞)
 さらば宮台真司(後藤和智)
 今求められる、国家に騙されないための教育(神本美恵子)

[想うがままに]寄る辺を求める人々(小寺山康雄)
[文化時評]非正規労働者たちの声を表象する表現は?(陣野俊史)
[警世閑話]「労働教育」の推進を提言する(高木郁朗)
[現代と思想家]マキャベェッリ(松本収)
[この一冊]『嘔吐』サルトル(小畑精和)
『異邦の記憶―故郷・国家・自由』イ・ヨンスク(金友子)
[読者論壇]参議院選挙における党名記載の比例票の扱い(鎌田明彦)

対談
 民主主義社会における人種主義と暴力(ミシェル・ヴィヴィオルカ×姜尚中 聞き手:森千香子)

 中国・内モンゴルの環境問題は改善に向かうか(叶芳和)
 韓国と帝国主義(朴露子)
 解雇の自由化を許さず、有期雇用に規制を!(鴨田哲郎)
 働き方、働かせ方に例外があってはならない(安田浩一)
 疲弊する地域と自治の現状と蘇生策(井下田猛)
 「ITで子供を守る」の先に何があるか(瀬下美和)

08春号(VOL.15)予告
編集後記

前書きなど

特集のことば

 二一世紀に入って、日本の国家としてのあり方が問われる問題が、次々に起こってきた。小泉政権の時代には、首相の靖国神社参拝をきっかけとして、アジア諸国から対日批判が噴出した。特に、中国、韓国からの批判は激しく、それに反比例するかのように日本の「自主性」を求める声が、右派論壇を中心に高まってきた。
 小泉の後を受けた安倍は、そうしたナショナリスティックな雰囲気を背景として、「美しい国」日本の再建をスローガンに掲げ、憲法改正を現実の日程に載せることを参議院議員選挙の争点にしようとした。この安倍の目論見は、年金問題などの続出する失政と選挙の大敗によってもろくも敗れ去った。しかし、多少トーンが落ちたとはいえ、依然として「強い国家」を求める声は絶えない。テロ特措法による「国際貢献」か、国連の名の下での自衛隊海外派兵か、いずれにしても軍事行動への日本の参加が当然であるかのように語られている。
 たしかにグローバル化が進み、国際社会での日本の役割が大きくなっている現在、日本の国家としての在り方を根底的に考えるべき時期に来ている。日本は、アジア太平洋戦争の敗北によって、「大日本帝国」から「日本国」へと転換を遂げた。このことの意味を徹底的に考え直さない限り、対米従属を続け、アジアの民衆に背を向け続ける状態を変えることはできない。そして、アジアの民衆に背を向け続けている限り、「品格ある国家」として国際社会から尊敬を勝ち取ることはできない。
 「日本国」は、「大日本帝国」を継承した国家である。たとえ「大日本帝国」が残したものがどんな負の遺産であれ、それを捨て去るわけにはいかない。どんな重荷であろうと、しっかりと受けとめ、新しい国家が担い続けるしかないのである。戦後六十年を経て、いまだに問題を残し続けている国家に、はたして「品格」をいう資格があるのか。必要なのは、まず自らを厳しく問い直す姿勢なのではないであろうか。

上記内容は本書刊行時のものです。