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デマンドに応える学校 OECD教育研究革新センター(編著) - 明石書店
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デマンドに応える学校 (デマンドニコタエルガッコウ) 教育の社会的な需要と供給
原書: Demand-Sensitive Schooling? EVIDENCE AND ISSUES

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発行:明石書店
A5判
220ページ
上製
定価 3,800円+税
ISBN
978-4-7503-2676-4   COPY
ISBN 13
9784750326764   COPY
ISBN 10h
4-7503-2676-3   COPY
ISBN 10
4750326763   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0337  
0:一般 3:全集・双書 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2007年11月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

世界の教育は、教師が決めたやり方にしたがうサプライ(供給)主導のシステムから、保護者や児童・生徒の要求を取り入れるデマンド(需要・要求)主体の方向に動いている。OECD各国のデマンドの趨勢、その問題点・課題を各国の専門家が考究する。

目次

もくじ

 序文
 謝辞
 概要

第1章 デマンドという概念について
 はじめに
 「デマンド」の多様な意味
 複雑な概念を読み解く
 まとめ

第2章 学校教育に対する社会一般と保護者の見方
 社会一般がみる学校教育
 学校教育に対する保護者の期待
 学校教育に対する保護者の満足度
 まとめ

第3章 保護者の選択と多様な教育機会の提供
 学校教育政策と選択の余地
 多様性の推進
 集合的デマンドの結果としての多様性
 オールタナティブな教育を通じた多様性
 まとめ

第4章 学校における保護者と地域の「声」
 学校における保護者の声の公式な表明
 学校統治への保護者関与に関する認識、パターン、および課題
 関係者の声のより強力な反映とカリキュラム
 まとめ

第5章 生徒の主張
 世界の現状
 学校に対する子どもたちの期待と満足度
 生徒が態度形成に影響すると考えている教育的要因
 生徒の声の表現
 まとめ

第6章 デマンド――まとめと今後の研究方向
 はじめに
 新たに生じている諸問題
 デマンドおよび関連する「未来の教育改革」分析
 将来の研究に向けた知識の現状と諸課題

資料:国別報告書の質問項目
訳者解説

前書きなど

序文
 これまでの学校教育においては、教育当局や学校、および教師が決めた手順に従って機能する「サプライ(供給)主導」型システムが中心であったが、未来の学校教育への転換を図る重要な鍵は、「デマンド(需要・要求)」に対して、より応答的なシステムに移行することにあると、多くの人が指摘している。しかし、そのデマンドとはいったい誰の要求なのだろうか。学校で起こっていることにもっとも大きな利害をもっている保護者や生徒の態度、および期待について、実態がどのようになっているのか私たちは理解しているだろうか。また、そのような要求を、学校は現在どの程度正しく認識しているのだろうか。生徒、保護者、地域の要求に対してより敏感に応えようとすることは、民主主義の規範と言えるのだろうか、それともいま流行の教育的消費主義の1つの表れなのだろうか。
 OECDによる「未来の教育改革」(Schooling for Tomorrow)シリーズの最新刊となる本書においては、以上のような問いが検討される。「デマンド」という概念のさまざまな側面を分析し、明らかにするとともに、態度や期待を明らかにするための国際的なデータや事実を提示しようとしている。また、今日の学校システムにおいて、デマンドがどのように表現されるのか、とりわけ「選択」と「消費者の声」が作用する余地がどのように存在しているのかについて検討する。主に保護者と生徒に焦点をあてるが、それはデータがもっとも入手しやすいからである。ただ、一般世論、雇用主、および特定の集団に関する情報も含んでいる。このように焦点ははっきりしているが、本書では現在入手できるデータや事実が十分ではないことが示され、今後の各国における研究や国際的な研究がひき続き必要であるという結論でしめくくられる。
 本書は「未来の教育改革」シリーズを構成する他の出版物、とくに最近出された『個別化していく教育』(Personalising Education)(OECD,2006)を補完するものである。OECD/CERI(OECD教育研究革新センター)は、学校選択についてすでに調査を行っており、その結果をもとに「学校――方向性の選択」(School: A Choice of Directions)(OECD, 2002)と題した論文が出されている。この論文に対する各国の反応が本書の研究につながったのだが、それはテーマが複雑で議論を呼ぶものであるだけに、当時のやり方以上に幅広いアプローチをとる必要があるという問題意識が存在したためである。そのため、各国の専門家を指名し、デマンドに関する今回の研究への参加を呼びかけた。これらの専門家は共通の枠組み(「資料:国別報告書の質問項目」参照)に基づいて報告書を作成した。参加国は、オーストリア、チェコ、デンマーク、イギリス、フィンランド、ハンガリー、日本、ポーランド、スロバキアおよびスペイン(さらにアメリカから追加資料を入手)であった。報告書は2004年半ばから2005年半ばにかけて提出された(各国の報告書はwww.oecd.org/edu/future/sftで読むことができる)。
 これらはCERIだけの関心事ではない。学習到達度は態度と関係しているが、PISA調査(OECD生徒の学習到達度調査)には、学習到達度に関して、すでに比較的よく知られていることがらを補完する重要な洞察をもたらす態度に関する質問項目が含まれており、以下の各章はそれらをふまえて書かれている。CERIはOECD教育局と協力し、フランドルの教育当局と共催で「学校教育におけるデマンド、自律性、およびアカウンタビリティ」というテーマのもとに、2006年5月にブリュッセルで国際セミナーを組織した。このセミナーでは、デマンドに関するCERIの研究について議論し、「保護者の選択、学校の自律性、およびシステムのアカウンタビリティ」に関するOECD教育局の新たな検討に対して重要な情報提供を行った。
 デマンドに関する研究がもたらした知見は、すでに『ヨーロッパ教育ジャーナル』の特集号「態度、選択、参加――学校教育に対するデマンドの諸側面」("Attitudes, Choice and Participation-Dimensions of the Demand for Schooling", European Journal of Education, Vol.41 No.1, 2006)(客員編集者アン・スリウカ[Anne Sliwka]、デイビッド・イスタンス[David Istance])で扱われている。OECD内部では、「未来の教育改革」プロジェクトリーダーのデイビッド・イスタンスが、ヘンノ・テイセンス(Henno Theisens)とともにこの報告書の責任者となった。デルフィーヌ・グランドリュー(Delphine Grandrieux)とジェニファー・キャノン(Jennifer Cannon)が、出版に向けてテキストの準備と編集を行った。この報告書はOECD事務総長の責任で出版されている。

OECD教育局長  アン=バーバラ・イシンガー

著者プロフィール

OECD教育研究革新センター  (オーイーシーディーキョウイクケンキュウカクシンセンター)  (編著

経済協力開発機構(OECD)
 経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)は、民主主義を原則とする30ヶ国の先進諸国が集まる唯一の国際機関であり、グローバル化の時代にあって経済、社会、環境の諸問題に取り組んでいる。OECDはまた、コーポレート・ガバナンスや情報経済、高齢化等の新しい課題に先頭になって取り組み、各国政府の新たな状況への対応を支援している。OECDは各国政府がこれまでの政策を相互に比較し、共通の課題に対する解決策を模索し、優れた実績を明らかにし国内及び国際政策の調和を実現する場を提供している。
 OECD加盟国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国である。欧州委員会もOECDの活動に参加している。
 OECDが収集した統計や、経済、環境、社会の諸問題に関する研究成果は、加盟各国の合意に基づく条約、指標、原則と同様にOECD出版物として広く公開されている。

平沢 安政  (ヒラサワ ヤスマサ)  (

1954年生まれ。大阪大学人間科学部卒業。1989年ハーバード大学教育大学院博士号取得(Ed.D)。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授。生涯教育学・人権教育学専攻。主な著書・訳書に『解説と実践 人権教育のための世界プログラム』(解放出版社、2005年)、ジェームス・A・バンクス他著『民主主義と多文化教育――グローバル化時代における市民性教育のための原則と概念』(明石書店、2006年)、ドミニク・S・ライチェン、ローラ・H・サルガニク編著、立田慶裕監訳『キー・コンピテンシー――国際標準の学力をめざして』(共訳、明石書店、2006年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。