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カナダの歴史がわかる25話 細川 道久(著) - 明石書店
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カナダの歴史がわかる25話

発行:明石書店
四六判
216ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-2614-6
Cコード
C0022
一般 単行本 外国歴史
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2007年8月
書店発売日
登録日
2015年8月22日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

大自然に恵まれた森と湖の国、多民族が共存する平和な国。カナダにはそんなイメージだけはあるものの、歴史についてはほとんど知られていません。イギリスとアメリカの間で翻弄された知られざるカナダの歴史を6つのテーマに分けてわかりやすく解説します。

目次

読者の皆さんに――ワン・ランク上のカナダ通をめざそう
第1部 カナダっていつ独立したの?
 第1話 ハッピー・バースデー・カナダ!
 第2話 海から海へ
 第3話 難問中の難問――独立への遠い道(1)
 第4話 ユニオン・ジャックからメイプル・リーフへ――独立への遠い道(2)
 第5話 植民地から国家、そして植民地へ?
第2部 多民族共存とはいうけれど
 第6話 「多色化」の歴史
 第7話 多民族の共存に向けて
 第8話 激動をくぐりぬけた贈り物――日系移民
 第9話 チャイナタウン哀歌――中国系移民
 第10話 「白人」とはいっても――ヨーロッパ系移民
 第11話 忘れ去られた民族――メイティ
第3部 世界史のうねりのなかで(1)――英仏抗争のつめあと
 第12話 カナダ版・関が原の戦い――ケベック(1)
 第13話 歴史も文学も持たぬ民――ケベック(2)
 第14話 わが家の主人――ケベック(3)
 第15話 中立のフランス人
第4部 世界史のうねりのなかで(2)――カナダと「北大西洋三角形」
 第16話 北からみるアメリカ合衆国の独立
 第17話 ロイヤリストの伝統
 第18話 ブリタニアかあさんとサムおじさん――連邦結成(1)
 第19話 忠誠な娘の難産――連邦結成(2)
第5部 カナダと戦争
 第20話 自立のために
 第21話 メイティたちの悲劇
第6部 カナダ史の魅力って?
 第22話 カナディアン・アイデンティティ
 第23話 カナダと日本
 第24話 世界史のなかのカナダ
 第25話 歴史に学ぶ――私は忘れない
終わりに
参考文献――興味を持たれた皆さんへ
あとがき
図版出典一覧
カナダ史年表

前書きなど

読者の皆さんに――ワン・ランク上のカナダ通をめざそう
 「えーっ、カナダの歴史! カナダって歴史あるんですかぁ。カナダって新しい国じゃないんですかぁ」――トロントのとある日本料理レストランで隣り合わせになったお客さんに私の職業を尋ねられ、私が「カナダ史を研究しています」と答えたときの反応です。でも、これは何もそのお客さんだけに限らないのです。そのお客さんはずいぶん前に日本からトロントに移り住んだ方ですが、日本から勉強しにやってきた若い人たちからも、そして、ときにはカナダで生まれ育った「純粋のカナダ人」からも、同じような反応をいくたびも受けました。
 最近は、観光で、語学研修で、ワーキング・ホリデーで、留学で、カナダを訪れる日本人がたくさんいます。でも、先ほどのエピソードのように、カナダの歴史に興味を持たれることはほとんどありません。カナディアン・ロッキー、ナイアガラの滝、『赤毛のアン』……など、豊かな大自然の「森と湖の国」カナダ、というイメージが先行してしまっています。それはわからなくもありません。私もカナダを訪れるごとに、大自然の雄大さには圧倒され、興奮しますから。
 日本では、カナダほど、イメージが先行してとらえられている国、イメージと実像のギャップを理解されていない国はおそらくないのではないでしょうか。しかも、イメージといっても、美しい大自然などからつくられるものがほとんどで、それ以外の面では影の薄い国なのです。カナダのニュースにしても、日本のメディアが扱うのは非常にまれです。ましてや、歴史なぞ。
 たしかに、カナダの歴史はマイナーなのかもしれません。高等学校の歴史教科書にもほとんど登場しません。だからといって、カナダに歴史がないというわけではありません。人類が登場してからずっと歴史はあるのですから。それだけではありません。実は、カナダの歴史は、皆さんが教科書やそのほかの歴史書をとおして知っている世界史とつながりが大きいのです。世界の歴史の大きなうねりのなかでカナダの歴史が刻まれてきたといっても過言ではありません。カナダの歴史は、大国の歴史の「裏面史」でもあり、「世界史の縮図」でもあるのです。
 カナダはまた、多民族共存の国、平和な国、というイメージでとらえられています。トロント、モントリオール(モンレアル)、ヴァンクーヴァーといった多民族都市を訪れる人は誰しも、そこに住む人たちの話す言葉、服装、食べ物、肌の色が実にさまざまで、互いに打ち解けあっている様子に感心するかもしれません。もちろん現実には、数多くの問題があるのですが、それを克服しようとしていることはたしかです。カナダは、出身国・地域が異なる多くの移民(やその二世、三世)が共存しようとさまざまな政策を実行してきました。ですから、「カナダ=多民族共存、平和」とイメージされるのも納得できます。それでは、カナダはずっと昔から多民族共存の国だったのでしょうか。実は、カナダにも移民差別や排斥の暗い歴史があるのです。これもほとんど知られていません。
 私の勤めている大学の授業でカナダの移民の歴史を取りあげたことがあります。授業のあとに、受講者の皆さんにレポートを出してもらうのですが、授業の感想も一緒に書いてもらっています。ある学生さんは「私は去年一年間カナダに留学していて、カナダに興味があってこの授業を取りました。カナダで会った人が皆フレンドリーで、多くの民族が共存していると思っていたのですが、カナダに移民を差別した歴史があるとは知りませんでした。これを機会にカナダを深く理解したいと思います」と書いてくれました。
 カナダに限らず、外国を訪れて楽しい体験をすることはいいことです。おおいにそうした体験を自分の財産にして、今後の人生に生かしてほしいものです。ただ私が申しあげたいのは、「楽しかった」「よかった」「きれいだった」というだけで、せっかくの貴重な体験を終わらせてほしくないということです。一歩踏みこんで、ほんの少しでも考える機会を持ってほしいのです。カナダに移民排斥の暗い過去があったなどというと、カナダの平和的なイメージが崩れると批判を受けそうですが、そうしたカナダの歴史が持つ負の側面を学ぶことで、今日のカナダ社会をよりよく考えるきっかけにしてほしいのです。今日の多民族共存社会(くどいようですが、それに問題がないわけではありません)に行きつくには、試行錯誤の歴史があったことを知ってもらいたいのです。さらにまた、カナダの事例を参考に、今度は私たちの社会に対する批判的な眼も養ってほしいのです。
 この本は、カナダの歴史をご存じない皆さんに向けて、なるべくやさしく書いたつもりです。「カナダに歴史ってあるの」と思っている皆さんが、カナダの歴史を少しでも知ってくださればと思います。さらに、旅行、留学、ワーキング・ホリデーでカナダにお出かけの(あるいは帰国された)皆さんのカナダ社会への理解が少しでも深まればと思います。ワン・ランク上のカナダ通に! そしてもちろん、歴史好きな皆さんにも。ほかの国ぐにの歴史との(意外な?)つながりを理解してくださればと思います。私は、カナダ史が持つ魅力を皆さんにお伝えしたくて、この本を書いたのです。
 カナダの歴史の幕を開ける前に、もうひとこと。この本では、カナダの歴史をテーマ別にまとめてみました。第1部は、カナダのユニークな独立の歩みについて。第2部は、いろいろな民族集団の歴史について。第3部と第4部は、世界史とカナダ史のつながりを扱いました。第3部では、フランス系カナダの歩みを、第4部では、北大西洋世界でのカナダの歩みを、それぞれテーマとしています。第5部は、カナダと戦争とのかかわりについて。そして、第6部では、カナディアン・アイデンティティ、カナダと日本のつながり、カナダ史のユニークさ、カナダ史をとおして見えてくるカナダの姿について、エッセイ風にまとめてみました。第1部から第6部まで、それぞれ独立した内容になっています。どこからお読みくださっても結構です。同じ出来事がいく度か登場することがありますが、それはトピックごとにカナダの歴史をながめたためです。一つの出来事に対して、いろいろな切り口からアプローチできることを理解してもらえればと思います。また、巻末に参考文献をリストアップしておきました。カナダの歴史についてもっとお知りになりたければ、ぜひお読みください。

著者プロフィール

細川 道久  (ホソカワ ミチヒサ)  (

東京大学文学部、同大学院人文科学研究科博士課程をへて、現在、鹿児島大学法文学部教授、日本カナダ学会理事。博士(文学)。日本カナダ学会研究奨励賞最優秀賞受賞。
【主な業績】単著として『カナダ・ナショナリズムの展開とイギリス帝国』(刀水書房、2007年)。共著・分担執筆として『アメリカ・カナダ(朝倉世界地理講座13)』(朝倉書店、2006年)、『白人とは何か?』(刀水書房、2005年)、『パクス・ブリタニカとイギリス帝国(イギリス帝国と20世紀1)』(ミネルヴァ書房、2004年)、『カナダを知るための60章』(明石書店、2003年)、『知のポリフォニー』(松柏社、2003年)、『カナダ史(新版世界各国史23)』(山川出版社、1999年)、『史料が語るカナダ』(有斐閣、1997年)。共訳書として『いま歴史とは何か』(ミネルヴァ書房、2005年)、『虚飾の帝国』(日本経済評論社、2004年)、『南北アメリカ(世界地理大百科事典3)』(朝倉書店、1999年)、『カナダの地域と民族』(同文舘出版、1993年)。

上記内容は本書刊行時のものです。