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ユニセフ・カンボジア事務所で働く
国連若手職員の3年間
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2006年11月
- 書店発売日
- 2006年11月16日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2010年2月24日
紹介
OLから国連若手専門職員を志し,内戦終結後のカンボジアでユニセフ職員として識字教育に携わった著者の活動報告。本書は,ポル・ポト時代の傷を胸に秘め内戦がもたらしたさまざまな問題を乗り越えようとするカンボジアへの著者の深い共感に満ちている。
目次
まえがき
カンボジア基礎知識(カンボジアのプロフィール/カンボジアの歴史)
カンボジア周辺地図
略語表
第1章 ユニセフに至るまで
OLの毎日
きっかけはネパール
米国の大学院へ
修士論文はネパールの教育問題
国連へのステップ
JPOについて
第2章 ユニセフ・カンボジア事務所へ
カンボジアの歴史的背景
初めてのカンボジア
ユニセフ・カンボジア事務所の組織構成
国際色豊かな事務所
五カ年計画とパートナーシップ
第3章 農村開発課の仕事
「村の活動計画」ができるまで
発育観察
「村の活動計画」
カンボジアの教育事情
識字教室と保育所
第4章 識字教室・保育所プロジェクトの問題
プロジェクトの経緯と問題
現場へ――三つの州での出来事
識字教室よりもまず食糧を
私の仕事
第5章 ポル・ポト最期の地に識字教室と保育所を
アンロンベンへの道
地雷と共に生きる
物資は遠路を旅する
蛍の光
ポル・ポトの墓
パンク事件
プロジェクトの運営状況を確認
第6章 人身売買とストリートチルドレンの問題
タイ国境の街ポイペト――人身売買頻発地
さらわれた経験を演劇に――バッタンバン州での取り組み
首都プノンペンのストリートチルドレン
第7章 内戦を生き抜いた仕事仲間たち
「私の足は長くありません」
笑うことも踊ることも許されなかった
子どもたちの洗脳
伝える使命
カンボジアの物語
ポル・ポト時代から現在までの結婚式の変遷
第8章 次への一歩
識字教室・保育所プロジェクトの評価と今後
任期終了後に
資料 識字教室のアンケート票とその回答例
あとがき
前書きなど
まえがき
最近毎日のように「国連」という言葉がニュースに登場していますが、国連職員がふだんどのような仕事をしているのか、皆さんはどれくらいご存知でしょうか。本書では、私がユニセフ(※)・カンボジア事務所に赴任するまでの経緯をお話してから、カンボジアで三年間働き生活した日常を書いてみたいと思います。カンボジアは悲しい戦争の歴史を今も引きずっており、各国からの援助によって支えられていますが、自立したいという意志はあります。私がユニセフの一職員としてどのような人たちと関わり合い、どのような場所でどのような国際協力・開発援助という仕事をしたか、その経験談をつづります。
第1章では、なぜ私がユニセフを目指すようになり、なぜカンボジア事務所で働くようなったか、その経緯を書きます。OL時代にネパールへ行ったことがきっかけとなり、開発途上国と教育に興味を持ち始めました。会社をやめた後、アメリカの大学院へ留学してネパールの教育政策について修士論文を書き上げました。帰国後、国連若手専門職員(JPO)の試験を受け、ユニセフ・カンボジア事務所に赴任し、識字教室(学校へ行く機会のなかった人たちが文字の読み書きを学ぶ教室)と保育所の担当官となりました。第2章では、ユニセフ・カンボジア事務所全体の話を書きます。事務所の六つの課(農村開発、教育、保健、子どもの保護、エイズ、広報)の活動や、政府との協力関係などについて説明します。第3章では、私の所属した農村開発課で活用した「参加型開発」という手法や、担当した識字教室・保育所プロジェクトについて書きます。第4章では、「現場」である地方の村々のさまざまな状況を書きます。電話もメールもファックスも時には電気さえもない村々の識字教室と保育所の状況は、首都プノンペンにいては把握できませんでした。そこで、月の半分は各地の村々を訪ね歩くことにしました。実際に村へ足を運ぶことによりさまざまな現状が見えるようになり、自分が本当にやるべき仕事というものが徐々にわかってきたように思います。第5章では、内戦が二年前にようやく終結した州で、初めてユニセフとして識字教室と保育所を立ち上げた時の出来事について書きます。準備の過程ではさまざまな困難に直面しました。第6章は、保護を必要とする子どもたちの話です。さらわれた子どもたち、売られた子どもたち、ストリートチルドレンなど、カンボジアのさまざまな子どもたちに出会い、私は「このようなかわいそうな子どもたちがいていいのだろうか」、と心の中でいつも叫んでいました。第7章では、ポル・ポト時代という大量虐殺時代を生き延びた私の仕事仲間たちの経験談について書きます。彼らの話は、私の想像をはるかに超えたものでした。また、カンボジアのいくつかの物語や結婚式の話も紹介します。第8章では、赴任して三年近くが経ち、プロジェクトの総括をした話を書きます。
この本を通じて、国連職員が現場で実際にどのような仕事をしているのか、広く知っていただければと考えています。国連職員を目指す若い日本人がこれからますます増えていくことを願っています。また、カンボジアという国とそこに住む人たちの素顔を少しでも多くの方にお伝えすることができれば、とてもうれしく思います。
※ユニセフとは、国連児童基金(United Nations Children's Fund:UNICEF)です。
上記内容は本書刊行時のものです。