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韓国食生活文化の歴史 尹 瑞石(著) - 明石書店
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韓国食生活文化の歴史 (カンコクショクセイカツブンカノレキシ)

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発行:明石書店
四六判
776ページ
上製
定価 6,800円+税
ISBN
978-4-7503-2108-0   COPY
ISBN 13
9784750321080   COPY
ISBN 10h
4-7503-2108-7   COPY
ISBN 10
4750321087   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0022  
0:一般 0:単行本 22:外国歴史
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2005年5月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2016年12月28日
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紹介

1自然環境と食生活文化の関係,2その歴史過程,3韓国の儀礼規範変遷と飲食の関係から,考古学・土地制度史等の歴史学,科学技術や薬学の発達史,さらには家族制度の変遷や祭事関係等まで視野に入れ,代表的な韓国料理を網羅する韓国食生活文化史の決定版。

目次

1. 韓国食生活文化の歴史
 第1章 食生活文化の意義と特性、研究方向
  1. 食生活文化の意義
  2. 食生活文化の特性と研究方法
 第2章 自然環境と食生活文化
  1. 人類の主要栽培植物はイネ科植物
  2. 家畜の分布と利用法
  3. 自然環境と主要食品の構成
 第3章 韓国の自然環境と食生活文化
  1. 水陸両面の地理的位置と産物や文化交流の多面性
  2. 地形、気候と飲食文化の多様性
  3. 海岸と海流
  4. 自然環境と作物栽培
  5. 自然環境と食生活管理
  6. 時代区分と社会環境
2. 韓国飲食文化の歴史過程
 第1章 狩猟採集経済時代の食生活――旧石器時代を中心に――
  1. 旧石器時代の食糧と食生活
 第2章 農業の発達から稲作の伝播期――新石器時代中期から青銅器時代――
  1. 雑穀栽培による原始農耕の開始
  2. 稲作の始まりと五穀の結合栽培
  3. 原始農耕時代の調理加工用具と料理
 第3章 鉄器文化による農耕生活の定着――初期鉄器時代から連盟国家時代――
  1. 鉄器文化の展開と農業の発展
  2. 魚介類と野菜、家畜類
  3. 食品の調理と加工
 第4章 食生活構造の成立期――三国時代から統一新羅――
  1. 高句麗(こうくり)、百済(くだら)、新羅(しらぎ)の農業
  2. 三国の漁業と狩猟、家畜飼育
  3. 野菜と果実
  4. 新羅の茶
  5. 三国時代の搗精(とうせい)・製粉用具と厨房設備
  6. 食生活の慣行と様式
 第5章 食生活構造の拡大期――高麗時代を中心に――
  1. 農地の拡大と米穀の増産
  2. 餅果類と麺類の発達
  3. 高麗の茶文化と中国・日本の茶
  4. 高麗の果実と野菜、その他のおかず
  5. 高麗の畜産物と水産物とその料理
  6. 高麗の酒と醸酒法、酒店
  7. 客館(きゃくかん)の接客と宴会、祭礼の規範
 第6章 食生活文化の伝統整備期――朝鮮朝時代――
  1. 農・漁業の成長と農水産食品
  2. 畜産食品とその加工品
  3. 進上食品と薦新(せんしん)食品
  4. その他の食品
  5. 救荒(きゅうこう)施策と蔵氷(ぞうひょう)・頒氷(はんひょう)制度
  6. 医・薬学の発展と科学の進歩による食生活の科学化
  7. 儒教的な大家族生活と家庭料理の発達
3. 食生活の規範と主要料理の歴史
 第1章 儀礼の規範と料理
  1. 子供のための祝賀礼
  2. 婚俗の変遷と婚礼料理
  3. 相続制度の変遷と祭礼料理
  4. 朝鮮王朝の宗廟(そうびょう)祭礼の祭需
  5. 朝鮮王朝の宮中宴会
 第2章 賓客のもてなしと宴会料理
  1. 賓客をもてなす手筈と酒の膳
  2. 朝鮮朝時代の酒宴と宴会
  3. 宴会料理
  4. 朝鮮朝時代の家醸酒(カヤンジュ)

前書きなど

訳者あとがき
 (前略)ところで、食べ物の話には、ナショナリステックな感情がつきまといがちである。これは、食物が生命の根源であることから、民族の心もまた伝統の料理によって育まれてきたという感覚を、誰しもが、知らず知らずのうちに身につけてしまっていることによる。
 日本の食文化を紹介する本で、「日本人は世界でもまれな雑食民族である」とか「日本酒こそは日本人が造りあげた民族酒である」とかいった言い方があたり前のように唱えられるが、この言葉の裏側にナショナリズムを感じるのは私だけではないだろう。それは、日本の歴史を語る場合にしても同様である。これと同じようなことが韓国でも行われている。
 だが、これらは郷土愛にもつながる愛国的な感覚とも不可分なものなので、互いにある程度は容認されるべきものであろう。ところが、これらの臭いを鋭敏に嗅ぎ分け、強く反発する気風が日本と韓国にはある。近親憎悪にも似たこの感覚が嵩じると、互いの文化が見えなくなってしまい、互いを無視しがちになる。
 そのためであろうか、日本では朝鮮半島の食文化史についての関心はきわめて低く、ほとんど知られていない。これに対して韓国では、この本の著者をはじめとする韓国の第一世代とも言うべき研究者(先駆者といえる人々)の多くが、日本の大学で学問を修めたこともあり、日本の学問研究に対して敏感で、日本の研究動向を踏まえつつ、韓国の食文化史について論考している場合が多い。また、韓国に古い文献が残っていない事情もあることから、朝鮮半島の古代の食文化の復元を、中国や日本の資料に求める場合が多いという事情もある。このような環境にあるため、日本の研究者よりも広い視点を持って論考されることが多いように思われる。そして、この本はその代表と言ってもいいだろう。
 それでも、日本との関係や朝鮮半島の歴史の捉え方で、ナショナリステックな面を感じる方がおられるかもしれない。だが、それはお互い様であって、目くじらを立てるほどのものではないことを、念のため申し添えておきたい。
 そういった目で見ると、この本の餅や飯、醤油・味噌、酒、漬物などの記述は、とても興味深く感じられる。日本のそれらは、朝鮮半島で見られる多様な食べ物の中から、選択的に受け入れたものか、あるいは受け入れてから日本的な発展を経て日本タイプに変化したのではないかとの解釈が、きわめて容易に想起できる内容となっており、日本の食文化史を理解する上での大きなヒントになるように感じられる。そして、日本の中だけで、日本の食文化を考えることのおろかさを感じ取ることができることだろう。
 欧米では、近隣地域の文化を学ぶことによって、自国の文化を知ったり考えたりすることがあたり前のように行われている。隣接するもの同士の類似する点や相違する点を知ることこそが、自らのアイデンティティを自覚し、自らの文化を高めることにつながることを知っているからに他ならない。
 ところが、日本のこれまでの学問は、植民地支配の時代に強化された文化的・民族的な蔑視感が、無意識的ではあるが広く根を張っており、今日でも朝鮮半島のことを避けようとする傾向が見られる。それは、先に指摘したように、大学に朝鮮半島の食文化史の講座が一つもないことからも明らかである。こうして我々日本人は、自らを客観視するに最も好都合な対象を無視したまま今日に至っているのである。そのおろかさを、この本を読んで自覚してほしい。
 申し遅れたが、この本は韓国の料理史の本としても最高レベルと思われる。そして、ほとんどの韓国の代表的な料理について述べられているが、煩雑で数多くの原典引用にもかかわらす、比較的すんなりとその歴史がのみこめるようになっている。ところで、料理は時代と共に変遷するのが常であり、例えば今日の日本料理の根幹は一八世紀に形成されたとみられているが、朝鮮半島の料理もまた一八世紀以降に大きく発展したものが大部分である。このように、伝統料理の歴史は思ったより新しいものであるが、この本には、その間の変転を裏付ける具体的なレシピが数多く記されており、料理研究家必見の文献となっている。
 韓国の第一級の研究者によるこれだけ完成度の高い食文化史の本は、おそらく今後とも出現し得ないであろう。そういった意味から、訳出にあたってはできるだけ原典にあたって、記述内容を確認しながら翻訳するよう努めた。そのために、時としては原著に修正を要する部分が少なからず見つかった。その部分は著者にお願いし、記述の訂正や表の入れ替えをしていただいた。そのためもあり、原著よりも正確で、読みやすいものになったのではないかと自負している。そしてなによりも、歴史的にも貴重なこの本を、日本語にして出版できたことを、無上の喜びとしたい。(後略)

著者プロフィール

尹 瑞石  (ユン ソソク)  (

1923年生まれ。東京女高師(現、お茶の水女子大学)家事科卒業。中央大学校で理学博士学位授与。京畿女高教師、明知大学教授、中央大学校教授、中央大学校師範大学長、中央大学校家政大学長。大韓家政学会会長、韓国調理学学会会長。
著書:『家政学原論』(共著)、『韓国料理』、『韓国食品史』(韓国文化史大系4)、『韓国民俗大観』(食生活の一部)、『斉民要術─食品調理加工編研究』(共訳)ほか

佐々木 道雄  (ササキ ミチオ)  (

岩手県盛岡市生まれ。山形大学文理学部卒業。現在、朝鮮半島を中心とする東アジアの食文化史の研究に専念。
著書:『朝鮮の食と文化─日本・中国との比較から見えてきたもの─』(むくげの会、1996年)、『韓国の食文化─朝鮮半島と日本・中国の食の交流─』(明石書店、2002年)、『焼肉の文化史』(明石書店、2004年)、『朝鮮一九三〇年代研究』(共著、三一書房、1982年)、『新コリア百科』(共著、明石書店、2001年)ほか

上記内容は本書刊行時のものです。