書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
新しい平和構築論
紛争予防から復興支援まで
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2005年3月
- 書店発売日
- 2005年3月22日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
コソボ,ルワンダ,東ティモール……紛争の絶えない現代に私たちは平和のために何ができるのか。選挙監視,除隊兵士支援などの活動に携わる執筆者陣が「平和構築」の概念・理論を実証的な事例を用いて紹介。紛争予防から復興支援までを見据えた入門書。
目次
まえがき
第1部
第1章 平和構築(Peace Building)とは何か───政府、市民社会組織の役割そしてインターバンドの活動(首藤信彦)
1 冷戦後世界に蔓延する地域紛争と国家観の変容
2 予防概念の登場
3 人間の安全保障概念の登場
4 PCPB(紛争後の平和構築)から民主化支援へ
5 市民社会に突きつけられる9.11テロ後の現実と新しい課題
第2章 紛争分析・解決手法と市民参加型の平和構築の展望───開発とガバナンスの構築(山田 満)
はじめに
1 紛争を理解するための分析枠組みと解決手法
2 平和構築における「開発」の位置づけ
3 多層的アイデンティティ下の市民が参加する平和構築のあり方
おわりに
第3章 平和構築と制度構築───主に法制度構築の観点から(小川秀樹)
はじめに
1 人間の安全保障論の登場
2 コソボ紛争の事例研究
3 紛争と制度構築
4 法制度構築の今
5 日本が法制度構築に貢献できる理由
おわりに
第4章 平和維持と平和構築の接点───平和維持の多様な形態と平和構築への貢献(上杉勇司)
はじめに
1 国連PKO
2 人道的介入
3 多国籍軍
4 平和維持と平和構築の重なり
おわりに
第5章 小型武器と平和構築───武力紛争・市民社会・多国間主義(松浦香恵・和田龍太)
はじめに
1 小型武器
2 市民社会レベルにおける平和構築
3 多国間における平和構築への取り組みと限界
おわりに
第2部
第6章 平和構築と地域協力───カンボジア和平後のメコン地域開発の経験(野本啓介)
はじめに
1 カンボジア和平後のメコン地域における地域協力の発展
2 メコン地域をめぐる地域協力の枠組み
3 カンボジアの1997年政変とアセアン加盟問題
4 平和構築における地域協力の役割
おわりに
コラム 国際選挙監視の役割と課題───選挙監視の現場の事例から(清水麻衣子)
第7章 平和構築とDDR───市民による除隊兵士支援のあり方について(阪口直人)
はじめに
1 DDRとは何か
2 DDRが成立する条件
3 DDRと選挙
4 カンボジアにおけるDDR
5 NGOによる除隊兵士支援
おわりに 除隊兵士支援における留意点
コラム カンボジアDDRプロジェクト事始め───風と光の原野で元兵士を支援(渡辺和雄)
第8章 東ティモールの教育開発と公用語問題───平和構築の視点から(田平由希子)
はじめに
1 公用語と公教育の関係
2 東ティモールの教育の歴史
3 国連統治下の教育の再建
4 公用語と現実の言語使用の乖離
5 公用語政策への国際支援の影響
おわりに
コラム 子どもの笑顔で知る平和───初めての選挙監視活動体験から得た平和構築の視点(玉木智宏)
第9章 平和構築と国民和解───虐殺後のルワンダの事例から(小峯茂嗣)
はじめに 冷戦の終結とアフリカの地域紛争
1 ルワンダの虐殺
2 虐殺後の国民和解政策
3 ガチャチャ
4 地域での共存に向けて
おわりに 9.11後の世界とアフリカの平和構築
コラム 国連PKO活動と国連ボランティア───シエラレオーネ選挙支援国連ボランティア(安藤秀行)
あとがき
索引
前書きなど
まえがき 最近「平和構築」という言葉が頻繁にメディアに登場するようになった。しかし他方で、「平和構築」の中身は論者によってかなり幅があるのも事実だ。国連が実施する一連の平和活動(予防外交、平和創設、平和維持)の一環として捉える考えもあるが、最近では貧困の除去など紛争(再発)の芽を摘みとる予防までがその範囲に含まれるようになった。 本著は目次をみてもらえば一目瞭然であるが、「平和構築」を広義に捉えた構成内容になっている。第1部では、第1章で平和構築の包括的な視点を、第2章で開発とガバナンスの構築を、第3章で法整備制度の構築を、第4章で平和維持との関係を、第5章で小型武器の問題をそれぞれ扱い、平和構築の全体像を理解してもらう構成になっている。 また、第2部では平和構築の各論、あるいは実証的側面からなる内容構成になっている。第6章ではメコン地域開発を通じた地域の信頼醸成の視角から、第7章は紛争後平和構築の重要な課題になっているDDR問題、第8章は平和構築の途上にある東ティモールの言語・教育政策の問題、第9章には未曾有の民族浄化を経験したルワンダの国民和解の問題をそれぞれ扱っている。さらに、本著では平和構築の現場で活躍している4人の方々に自らの経験を書いていただいた。臨場感のあるエッセーで多少なりとも読者に現場の雰囲気を感じていただけると思う。 最後に、本著では頁の下欄に注や語句を載せている。また各章末に参考文献をあげて、読者に「平和構築」への理解を深める工夫をこらした。特に専門課程に進む大学生、大学院生(修士)、あるいはこの領域に関心を抱いている一般読者を対象にした内容構成になっている。これらの方々に本書が役立ち、次へのステップにつながれば幸いである。2005年2月 編者
上記内容は本書刊行時のものです。