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ヤミ金・サラ金問題と多重債務者の救済
返さなくてもよい借金がある
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2004年6月
- 書店発売日
- 2004年6月9日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2011年1月21日
紹介
簡易審査・融資等,安易な借金を促すサラ金。ヤミ金融は登録業者となり,一日二十割という超高金利も出現。一方,銀行は貸し渋りが横行し,社会的弱者は多重債務に陥り自殺にまで追い込まれる。長年被害者救済に取り組んできた著者がこの問題の解決策を提示。
目次
はじめに
第1章 ヤミ金融の実態
1 深刻化するヤミ金融被害
(1)大阪府八尾市におけるヤミ金苦心中事件 (2)多発するヤミ金苦による自殺
2 ヤミ金融とは何か
3 ヤミ金融のターゲット
(1)多重債務者 (2)自己破産者 (3)商工ローンを利用している中小零細事業者
4 多様化・巧妙化するヤミ金融の手口
(1)勧誘の手口 (2)ヤミ金融の種類 (3)ヤミ金融まがいの手口
5 暴力的・脅迫的取り立てが横行
6 暴力団やエセ右翼団体の資金源
7 ヤミ金融激増の背景
第2章 ヤミ金融対策法の概要と問題点
1 ヤミ金融対策法の早期制定を求める運動
2 ヤミ金融対策法の概要
(1)開業規制の強化 (2)広告・勧誘行為規制の強化 (3)第三章の規定の無登録業者への適用 (4)取立行為規制の強化 (5)行為規制の追加 (6)貸金業務取扱主任者制度の創設 (7)高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効 (8)罰則の強化 (9)施行
3 ヤミ金融対策法の問題点
(1)「元本返済不要」規定が入らなかったこと (2)出資法の上限金利見直しの先送り (3)法の執行態勢強化の重要性
第3章 ヤミ金融撃退法と債務整理法
1 ヤミ金融の見抜き方
(1)DM・ファクス・電話で融資勧誘 (2)新聞の折込広告、チラシ、各種紙誌などで宣伝 (3)貸金業登録の更新番号が「1」の業者 (4)携帯電話番号しか連絡先がわからない業者
2 警察や行政に積極的に申し立てる
(1)警察への被害届・刑事告訴 (2)監督官庁への行政処分の申し立て (3)弁護士や司法書士への依頼、各種法的手続き (4)取り立て禁止の仮処分申し立て (5)慰謝料請求訴訟の提起
3 ヤミ金融の債務整理
4 クレジット・サラ金・商工ローンの債務整理
(1)任意整理 (2)調停 (3)個人再生手続き (4)自己破産
5 債務整理をめぐるその他の問題
(1)借金の保証人と連帯保証人 (2)夫婦・親子の借金の支払義務 (3)借金の時効 (4)借金の相続
6 ヤミ金融・多重債務問題の相談窓口
(1)弁護士会 (2)司法書士会 (3)法律扶助協会 (4)裁判所 (5)被害者の会
第4章 高利貸し天国・日本
1 欧米との比較
(1)高利貸しが横行する日本社会 (2)諸外国はどうなっているか (3)金利規制の必要性 (4)高金利が生み出す過剰融資、押し付け融資 (5)非人間的な取り立てが横行 (6)武富士盗聴問題から見えてくるサラ金業界の高利貸し体質
2 サラ金CMとマスコミの問題点
3 銀行の責任
4 行政の責任
5 法治国家とはいえない日本
第5章 多重債務問題解決のために――高利貸しのない社会を
1 出資法の上限金利の引き下げ
2 利息制限法の制限金利の引き下げ
3 ヤミ金融の徹底的な取り締まりと被害者を孤立させない社会づくり
(1)地方自治体レベルの対策会議の結成 (2)警察の動き (3)銀行におけるヤミ金融口座解約の動きなど
4 多重債務者のための破産法改正
5 相談窓口の拡充と情報の普及
6 サラ金のテレビCMの中止
7 低利融資制度や社会保障制度の充実
8 多重債務問題に関する消費者教育の充実
資料
相談窓口/年表/クレジット・サラ金事件報酬基準/関連法規
前書きなど
はじめに 二〇〇三年は、多重債務問題にとって激動の一年だった。 六月一四日に大阪府八尾市で発生した男女三人のヤミ金苦心中事件を契機に、ヤミ金融の徹底的な取り締まりと根絶を求める世論と運動が大きく盛り上がり、七月二五日にはヤミ金融対策法(貸金業規制法と出資法の一部改正法)が成立した。 また、八月一一日には山口組五菱会系ヤミ金融グループの統括経営者で「ヤミ金の帝王」と呼ばれた元暴力団幹部梶山進が逮捕され、一〇月二四日には山口組総本部の捜索が行われた。一一月二六日には五菱会の高木康男会長が逮捕され五菱会は解散した。 ヤミ金融対策法の成立、山口組五菱会系ヤミ金融グループの摘発などにより、激増の一途を辿っていたヤミ金融被害は頭打ちとなり最近では減少傾向を示しているが、かわって架空請求・おれおれ詐欺・保証金詐欺などヤミ金融まがいの手口による被害が全国的に急増して大きな社会問題となっている。 一二月二日にはサラ金(消費者金融)業界最大手の武富士の会長で「サラ金の帝王」と呼ばれた武井保雄会長が、電気通信事業法違反(盗聴)容疑で逮捕され、激震が走った。この逮捕を契機として異常な会長独裁体制、社員の人権を無視した過酷なノルマ体質、警察や暴力団との癒着など「武富士の闇」といわれた部分が次々と暴かれてきている。 しかしヤミ金融対策法の成立、山口組系ヤミ金融グループの摘発、大手サラ金業者が抱える問題の顕在化など一定の前進はあったものの、長引く経済不況の中で、クレジット・サラ金・商工ローン・ヤミ金融などを利用して多重債務に陥る会社員・主婦・年金生活者・生活保護受給者・中小零細事業者などが相変わらず増え続けている。 二〇〇三年の個人の自己破産申立件数は、二四万件を突破して過去最高となった。しかしながら、わが国には返済困難に陥っている多重債務者は、少なく見積もっても一五〇万~二〇〇万人は存在しているといわれているので、自己破産を申し立てているのは実際に存在している多重債務者の氷山の一角に過ぎない。 借金苦やクレジット・サラ金・商工ローン・ヤミ金融業者の過酷な取り立てを苦にして自殺や夜逃げをする多重債務者も急増している。警察庁の発表によれば、二〇〇二年一年間における経済・生活苦を理由とする自殺者は、過去最高の七九四〇人(一日当たり二一・七五人)に上っているということである。経済・生活苦による自殺の大半は、借金苦による自殺である。 借金苦による夜逃げや家出は、年間十数万人に上るだろうといわれている。多重債務者の中には、ホームレス(路上生活者)になる人も数多く存在する。 二〇〇三年初めの政府の全国調査によれば、公園や河川敷で生活している人(ホームレス)の数は全国五八一市区町村で二万五二九六人に上ることが明らかになっている。約二〇〇〇人のホームレスを対象とした面接調査では、路上生活を始める前は正社員だった人が四割を占めていたという。今やわが国では、ホームレスのいない都道府県はなくなっているのである。 しかし、決して諦めてはならない。 どんなに多額の借金を抱えていても必ず解決する方法がある。 クレジット・サラ金・商工ローン・ヤミ金融の金利については、払わなくてもよい金利部分があるし、あまりにも高い金利は処罰され犯罪となる。この「払わなくてもよい金利がある」「あまりにも高い金利は犯罪となる」という意識が非常に欠落しているのが、わが国社会の問題点だ。 借金整理の方法としては、任意整理・特定調停・個人再生手続き・自己破産など、一人一人の負債額、収入、資産などに応じていろいろなメニューが存在する。したがって、たかが借金のために大切な命を捨てたり、夜逃げすることはないのである。 本書がクレジット・サラ金・商工ローン・ヤミ金融などから多額の債務を抱えて苦しんでいる多重債務者にとっての救済の一助となるとともに、わが国における多重債務問題解決のために少しでも役立てば幸いである。
上記内容は本書刊行時のものです。