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障害をもつ人びととバリアフリー旅行 馬場 清(著) - 明石書店
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障害をもつ人びととバリアフリー旅行 石坂直行の思想と実践

発行:明石書店
四六判
240ページ
上製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-1910-0
出版社在庫情報
在庫僅少
初版年月日
2004年5月
書店発売日
登録日
2011年2月4日
最終更新日
2011年2月4日
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紹介

障害者のためのバリアフリー旅行の普及と発展において,めざましい活躍をとげた石坂直行氏の足跡をたどり,その功績を明らかにするとともに,障害をもつ人々にとっての旅の意味をあらためて提示する。

目次

はじめに 日本を変えた! 「車いすの旅」

第一章 『ヨーロッパ車いすひとり旅』の衝撃
 第一節 車いすからみたヨーロッパ
 第二節 異国での体験を原動力に

第二章 当事者主催の旅はこうして始まった
 第一節 「ハンディ・ツアーズ」の挑戦
 第二節 バリアを取り除くための活動
 第三節 車いすで海外へ

第三章 誰でもいつでもどこへでも行ける社会をめざして
 第一節 新しい旅、個性的な旅へ
 第二節 交通バリアフリー法とバリアフリー旅行
 第三節 受け入れ態勢はどう変わったか
 第四節 石坂直行の先駆性と福祉文化

おわりに さあ、みんな一緒に旅に出よう!

前書きなど

おわりに 毎年お正月になるともらう一枚の年賀状がある。その年賀状は必ず「年賀はがき」ではなく「官製はがき」に書かれて送られてくる。この本の主人公、石坂直行さんからいただく年賀状である。 どうして「官製はがき」なのか。 石坂さんは今でも毎年何百通と年賀状を書かれる。しかし手が不自由なため、書くスピードは非常に遅い。つまり「年賀はがき」が発行される一一月から書き始めては、元旦に間に合わないのである。だから毎年半年も前から、少しずつ少しずつ書きためていかれるのである。 それほど大変な作業でありながら、石坂さんはほとんど動かない手を、一所懸命に動かして、毎年必ずはがきのスペースいっぱいに簡単なメッセージを書いてくださる。今年の年賀状には「昨年は韓国に旅行しました。今年はオーストラリアに行く予定です」と書かれていた。 しばらく体調を崩され、大好きだった海外旅行もご無沙汰だった石坂さんにとってまさしく二〇〇三年は復活の年であった。七年ぶりの海外は、さぞや楽しいものであっただろう。そして「今年はオーストラリアに行きます」と書かれた何の変哲もないこの一文に、どれだけの思いが込められていたのか。 一九七〇年代からの石坂さんの活動、取り組みをこの本にまとめつつあった私は、その一文を見て目頭を熱くした。重度の障害をもった人が「今年はオーストラリアに行きます」と何の気負いもなく年賀状に書ける時代がようやく来たという思いが、そうさせたのである。そしてそうした状況を自ら作り出した立て役者が石坂さんなのである。 もうひとつ石坂さんからいただいた手紙を紹介しよう。石坂さんがヨーロッパ旅行に旅立たれた頃の日本の状況を省みて、次のように書かれている。   「当時街中で車いすを見ることは皆無でした。それは手押し車と言われ、病院で使う道具だったからです。つまり歩けない患者を診察室に運ぶための看護婦が使うものであり、患者が自力で動き廻るものではありませんでした。今でも社会復帰ということばがありますが、私は気になります。障害者には社会はないのでしょうか。」(二〇〇〇年四月一二日消印) こうした視点の鋭さ、当事者であるからこそ見えてくるもの、その視点にずっと立ち続けてきたからこそ、石坂さんの主張や取り組みは常に先鋭的で、確実に数十年先の日本の状況を見据えてのものであったといえる。だからこそ当時はなかなか受け入れられなかったこともあったし、誤解されたこともあった。しかしこうして「ノーマライゼーション」や「バリアフリー」ということばがごくごく当たり前のことばとして使われるようになってきた今振り返ってみると、石坂さんの主張はどれも的確なものばかりであり、それゆえ時代の先駆者として位置づけられるのである。 石坂さんの活動は多岐にわたるが、一九七〇年代半ば以降、焦点は「バリアフリー旅行」に絞られていくことになる。そして自らの体験をもとに、すべての人に旅を人権のひとつとして保障していくためにどうしたらいいのかについて、全身全霊を打ち込んでいくことになる。その結果、今では以前よりはるかに障害をもつ人びとの旅行環境は整備されつつある。(後略)

著者プロフィール

馬場 清  (ババ キヨシ)  (

浦和大学総合福祉学部助教授、日本福祉文化学会事務局長。
主な著書に『障害者アクセスブック海外旅行編』(共編著/中央法規出版、1992年)、『福祉文化論』(共著/有斐閣、1997年)、『交通権憲章』(共著/日本経済評論社、1999年)、『地域社会と福祉文化』(共編著/明石書店、2002年)

上記内容は本書刊行時のものです。