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在庫ステータス
取引情報
ネパール全史
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2003年9月
- 書店発売日
- 2003年10月1日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2011年2月9日
紹介
インド・中国という古代文明に挟まれた王国・ネパール全域にわたる古代期から現代期に至るまでの最新研究成果をとりいれ,根本史料を中心に据え,実証的に検討した史実で構築した日本で初めてのネパール通史。
目次
序 論 ネパール史の背景と時代区分
序 章 伝説と伝承王朝
第1章 古代期―リッチャヴィ王朝時代
1 ネーパーラ王国の成立
2 黄金時代の現出
3 王位争奪の激動期
4 王統復帰の栄光と繁栄
5 爛熟の最後の輝き
6 リッチャヴィ時代の政治・社会・文化
第2章 中世期―中世前期
1 デーヴァ王族時代
2 三大勢力分立時代
1 カサ王国(別称カス・マッラ王国)
2 ティルフット王国(別称カルナータ王国)
3 前期マッラ王朝時代(中央勢力)
第3章 中世期―中世後期
1 三都マッラ王朝時代
1 バクタプル(バドガウン)・マッラ王朝
2 カトマンズ(カンティプル)・マッラ王朝
3 パタン(ラリトプル)・マッラ王朝
2 三都マッラ王朝時代の政治・社会・文化
3 盆地外勢力の動向
第4章 近・現代期―ゴルカ王朝時代
[近代期]
1 ネパール統一と国土拡大
2 内政の混迷と王宮大虐殺事件
3 ラナ専制政治時代
[現代期]
4 王政復古からギャネンドラ国王即位まで
あとがき
歴代王とその在位年代
参考文献(引用番号付)一覧表
索 引
前書きなど
世界地図を拡げると、巨大なユーラシア大陸のほぼ中央の南寄りに、世界の屋根ヒマラヤ山脈に寄り添ってインドを見下ろすように位置するのがネパール王国である。ネパール王国は今から千五、六百年前に〈ネーパーラ王国〉として存在し、今日に至るまでいくつかの王朝、王国が歴史を刻んできた。霧の中にかすんでいたネパールの歴史に最初に踏み入れたのはインドのバグワン・ラール・インドラジーであった。一八八〇年にネパールを訪問して古代期等の銘文二三点を発表したのが歴史研究の第一歩であった。その後、イギリスのセシル・ベンドール、フランスのシルヴァン・レヴィといった西欧の研究者たちがネパールの古代史に先鞭をつけた。しかし彼らが描いた古代史像は、数少ない根本史料と、古代期に関しては史料的価値のないバンシャバリ等の伝承文学に基づいたあやふやなもので、その後、確かな古代史像を構築したのはネパール人研究者たちであった。彼らは歴史修正集団を結成して同時代的な銘文の収集と判読という地道な作業を積み重ね、その一方で外国の先覚者たちが収集した銘文判読の修正作業も行った。 こうして収集された一九〇点の古代期の銘文を、歴史修正集団の中心的リーダーであったダナバジラ・バジラーチャリヤが判読、翻訳した上で一九七三年に集大成として一書にまとめ、実証的な立場に基づいた本格的なネパール古代史像を再構築してみせた。この集大成に新たに発見された銘文一三点が追加された第二版が一九九六年に刊行された。古代期の銘文は現在まで約二三〇点が発見されているが、このうち二〇三点が収録され、収録銘文以外には有用な銘文はほとんどなく、この書の第二版は古代史研究書の唯一無二の金字塔となった。 ネパール語で記されたこの大書(第二版)は、一九九九年に『古代ネパール史料 リッチャヴィ時代の銘文集成』の表題で拙訳によって明石書店から出版された。なお、ネパール古代史の基礎的な知識の一助に、同書の巻末論文として一一点の拙文が加えられた。 古代期の銘文収集と研究に力のあったナヤラージ・パンタ、ヨギ・ナラハリナート、ヘマラージ・シャキャ、シャンカルマン・ラージバンシー、ガウタムバジラ・バジラーチャリヤ等のネパール人研究者たちは中世期の根本史料収集と研究でも成果をあげ、ラームジー・テワリー、マヘシュラージ・パンタ、ボーラーナート・パウデル等の多士済々の研究者が中世史の実証的研究を充実させた。ことに古代史研究でも実績を示したモハンプラサード・カナールは碑銘学者、考古学者、美術研究者として西ネパールのカサ王国、南方のティルフット王国についても研究成果をもたらし、ネパール美術の分野でも該博な知識に基づいて精査を行ったことは特筆に値する。中世期の銘文研究ではイタリアのルチアノ・ペテックの業績も忘れられない。近・現代期については、英語文献等の欧米関係の資料も加わって、取捨選択を要するほど豊富な史料に恵まれている。 このように、ネパール史の古代期、中世期、近・現代期のすべての時代で実証的な研究がそれなりに進んだ現在、多くの研究者たちの研究成果に基づいて、古代期ばかりではなく、中世史、近・現代史についても実証的な構築がある程度可能になった。その事実を踏まえて、古代から現代までのネパール全域にわたる通史を、微力ながら組み立ててみようと試みた次第である。(略)あとがき 著者
上記内容は本書刊行時のものです。