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出版者情報
明治維新の敗者たち
小栗上野介をめぐる記憶と歴史
発行:みすず書房
四六判
重さ 435g
304ページ
定価
3,800円+税
- 初版年月日
- 2019年6月17日
- 書店発売日
- 2019年6月18日
- 登録日
- 2019年4月20日
- 最終更新日
- 2019年6月13日
書評掲載情報
2019-08-18 |
読売新聞
朝刊 評者: 鈴木幸一(インターネットイニシアティブ会長CEO) |
2019-08-03 |
朝日新聞
朝刊 評者: 保阪正康(ノンフィクション作家) |
2019-07-28 | 毎日新聞 朝刊 |
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紹介
小栗上野介忠順(1827-68)は万延元年の使節団員として渡米し、勘定奉行や外国奉行を歴任、崩壊しつつある幕政を中枢で支えた人物だが、後世の評価は二分した。一方に、横須賀造船所を建設し、最初の株式会社「兵庫商社」を構想した合理主義者で、近代化の立役者という評価があり、もう一方に、薩長との主戦論を唱え無用な戦争に固執したという見方がある。その主戦論が原因で罷免され現在の群馬県に隠棲したが、謀反の容疑をかけられ新政府軍により斬首。以来、逆賊の謗りを受けてきた。
歴史は勝者によって書かれる。幕末維新史も例外ではない。本書は小栗上野介という類稀な人物を敗者の代表として選び、敗者への公正さを要求した人びとが「勝てば官軍、負ければ賊軍」式の明治政府史観に、いかに抗ってきたかを跡づける。それは草の根的に地方で始まり、全国的な歴史観に影響を与えるに至った。本書はこの過程を豊富な一次史料、文学作品、映画、テレビドラマ、記念事業により実証的にたどった。さらに、明治以来何度となく起こった維新ブーム、「エキゾチック・ジャパン」「歴史街道」「ふるさとブーム」など昭和の地方振興との関係や、「失われた10年」打開の鍵を明治維新に求める時流の影響までを丹念に掘り起こした。
小栗終焉の地に暮らしたアメリカ人研究者が幕末維新史にメモリー・スタディーズの手法を導入した意欲作。
目次
序論――敗者たちを想起する
第一章 最後の旗本
第二章 明治期につくられた徳川ヒーロー
第三章 悪者の救済
第四章 戦後つくり直された維新の敗者たち
第五章 「失われた一〇年」の小栗と新しいヒーローたち
結論――意味のある風景へ
謝辞
日本語版へのあとがき
一五〇年の孤独――訳者あとがきにかえて
注
索引
上記内容は本書刊行時のものです。