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記憶の箱舟
または読書の変容
発行:白水社
四六判
272ページ
定価
2,800円+税
- 書店発売日
- 2019年5月14日
- 登録日
- 2019年3月26日
- 最終更新日
- 2019年4月23日
書評掲載情報
2019-08-04 | 毎日新聞 朝刊 |
2019-07-13 |
朝日新聞
朝刊 評者: 江南亜美子(書評家) |
2019-06-29 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 安藤礼二(文芸評論家) |
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紹介
記憶と書物を結ぶ糸をたどって
書物の出現に始まる「読書」という営為と「記憶」という精神の働きの間にはどのような歴史が刻まれてきたのだろうか──本書は西欧の古代・中世、そして日本は江戸・明治を中心に書物のかたちの変遷(特に西欧中世における「索引」の誕生に注目)と、それに伴う読書のかたちの変容(音読から黙読へ)を「記憶」を縦糸とした文化史として跡づける試みである。日本においては、江戸に行われて明治まで続いた「素読」(音読)が文字(漢字)と音を意味以前に記憶として心身にしみこませるメソッドであった消息を明らかにし、ついで庶民による草双紙の読まれ方、書物に向けられた儒者・漢詩人の深い愛、あるいは翻訳小説『あひびき』の文体が読書人に与えた驚き等、読書の変容を豊富な逸話を交えて辿った後、西行が月蝕の歌に詠み込んだと思われるある秘義に迫り、地名に執着した柳田国男と「記憶術」の意外な関連に及ぶ。西欧においては、修道士の読書がいかに瞑想と記憶に結びついていたかを探り、聖書と索引誕生の知られざる関係を解き明かし、さらには魂の探求を続けたアリストテレス、アウグスティヌス、ベルクソンの思索を通じ、あらためて「読書」という経験の深さを読む者の心に呼び起こす。
上記内容は本書刊行時のものです。