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月が昇るとき
- 初版年月日
- 2011年7月
- 書店発売日
- 2011年7月22日
- 登録日
- 2011年6月24日
- 最終更新日
- 2011年7月22日
紹介
復活祭前のある夜、翌日に控えたサーカスを楽しみにしていたサイモンとキースの兄弟は、家を抜け出して会場の偵察に出かけ、その途中怪しい人影を目撃する。翌朝、ナイフで切り裂かれた女綱渡り芸人の死体が発見された。その後も若い女性ばかりを狙った同様の犯行が続発。骨董屋で魔女のような老婦人、心理学者のミセス・ブラッドリーと出会ったサイモンとキースは、彼女とともに真相を解明していく……。不思議な詩情に満ちた珠玉のミステリー。
目次
目次
1 骨董屋 7
2 月が昇るとき 18
3 サーカス 34
4 綱渡り芸人の死 48
5 女給の死 63
6 夫、しばらく行方不明 78
7 農場での死 93
8 ナイフ 109
9 月の出ない夜 131
10 老婦人 150
11 子守り女の死 162
12 拾い物 180
13 分かれ道 196
14 骨董屋 211
15 サーカス 223
16 子守り女の死 233
17 夫、しばらく行方不明 247
18 拾い物 263
19 月が昇るとき 279
20 老婦人 301
著者・作品について/あとがきにかえて 314
前書きなど
【作品について】
本書『月が昇るとき』(The Rising of the Moon)は、探偵役として登場する心理学者ミセス・ブラッドリー・シリーズの第十八作目。ロンドンの西にある田舎町で起きた切り裂き魔事件を、十三歳の少年の目を通して描かれている。
舞台の運河町は、著者ミッチェルが子ども時代を過ごしたブレントフォードがモデルとなっており、本作に登場する地名の多くは実在するものである。また、主人公のサイモンは著者自身、キースは自身の弟を投影させたものだと語っている。教師を務めていたこともあり、ミッチェルの作品に登場する少年、少女の描写はみずみずしく、それが著書の魅力の一つと言えるだろう。本作では、切り裂き魔による連続殺人という陰惨な事件を扱いながらも、家族愛や下宿人クリスティーナに対するサイモンの淡い恋心なども見事に描かれている。
しかし、眼光鋭く怪鳥のような笑い声をあげるミセス・ブラッドリーや、謎めいた未亡人で骨董屋のコッカートンなど、一癖も二癖もある人物が奇想天外な言動を繰り広げるという、オフビートなブラックユーモアがなんと言っても最大の見所である。
日本ではあまり知られていなかったミッチェルだが、近年邦訳が立て続けに刊行されている。
上記内容は本書刊行時のものです。