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漂着
発行:柏艪舎
四六判
228ページ
上製
定価
1,524 円+税
1,676.4 円(税込)
- 書店発売日
- 2010年9月11日
- 登録日
- 2010年8月24日
- 最終更新日
- 2010年10月6日
紹介
いま、野生が現代を撃つ
日本人の運命を問う 渾身の長編小説
これは現代の百姓一揆だ
逃げた妻を捜してさまよう男の激怒。
小説『出刃』から『光る女』を通り、35年をかけて描かれた『漂着』、三部作完成。
前書きなど
後記
五年がかりでこの小説を書き上げて感じたことは、このままだと日本という国は滅亡してしまうかもしれないという思いだった。この国の人々には、国が成り立つにはまず食べ物が必要だという発想が欠落しているからだ。
人間は食べなければ死ぬ。ということは食べ物は命であるわけだから本来、命である食べ物を売買するのは間違っている。だとしたら基本的に自分が食べるものは自分で作るのがスジだという想像力がはたらかない人間がいることが恐怖だ。農民が作っているのは人間の命だということがわかっていない。
カネさえあれば生きていけるという、この国の多くの人々がもつ信仰に近い妄想は恐ろしいほど根深い。
ぼくもまた農民の子として生まれながら農業をせず、小説なんかを書いてろくでもなく生きてきた。その後ろめたさがバネになって、この小説が生まれた。
これは現代における百姓一揆で、主人公はぼく自身だ。
この作品を書かせてくださった藤村茂利、竹津明の両氏と、本にしてくださった山本哲平氏に深く感謝する。
二〇一〇年九月一日
小檜山 博
上記内容は本書刊行時のものです。