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続 五山文学研究
資料と論考
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年5月
- 書店発売日
- 2015年5月28日
- 登録日
- 2015年4月28日
- 最終更新日
- 2015年5月22日
紹介
禅僧たちの文学活動をつぶさに説き明かす、待望の続編。
倦まず弛まず書物と格闘し新たな文学作品を生み出した、
禅僧たちの営みを明らかにする。
また、その後の近世文学への接続、同時代の和歌や説話、公家社会の学問との関わりを探り、孤立しているように見えている五山文学を日本文学の中に組み込むべく、その存在を新たに捉える基礎作業を行う書。
【 本書は、二〇一一年に刊行した『五山文学研究 資料と論考』(以下、「前著」と呼ぶ)の後を受けて、関連する論考や資料紹介を収めたものである。
第一部の「総論」では、五山文学を通時的に捉える視点から、偈頌と詩、文学的イメージ、基礎的教養の育成という三つの問題を取り上げた。第三章は前著第一章「五山における漢籍受容」と関連する内容である。
第二部の「注釈・講義」では、前著に引き続き抄物を取り上げている。類型、説話といった視点からの分析、講義の現場における聞き書きの問題、聴衆と講義内容との関連など、前著に比べ話題は多岐にわたる。第四章では前著第一〇章、第六章では前著第一三章、第七章では前著第一四章に翻刻した資料を分析しているので、併せ参照していただきたい。
第三部の「詩集・詩法」では、室町時代に主流となった七言絶句の詠法に関わる問題として、『三体詩』の詩法の問題、三条西実隆を中心とする公家の漢詩の分析と五山僧の漢詩との比較、五山詩の総集・別集の編成の問題、五山における詩の評価の問題などを取り上げた。第一四章~一六章では、これまでほとんど研究対象となってこなかった資料の紹介も併せて行っている。『村菴稿』は題材別に分類排列された希世霊彦の小規模詩集、『〔日課一百首〕』は五山僧二人の批評が加えられた鉄山宗鈍作と見られる詩集、『詩聯諺解』は策彦周良作と見られる漢詩と聯句の作法書である。なお、『三体詩』に関しては前著第一二章で、その比較的古い形を残している抄物断簡を紹介し、また三条西家と五山との関わりについては、前著第三・四章でも扱っている。
第四部では、「その他」として、二章を収めた。ひとつは、前著第一五章で紹介した大応派の抄物と同様、五山の主流からは離れて独自の活動を行った幻住派の資料で、やはりこれまで研究対象となってこなかった五山版を紹介したものである。もう一つは、近年活況を呈している中国における日本漢籍研究の紹介を兼ねた、研究書の書評である。
興味関心は前著から継続しており、題材やテーマに共通するものも多いが、抄物をどのように扱うか、詩の詠法をどう捉えるかといった問題意識がより強く出てきた。抄物については、原典を解釈するときの論理あるいは根拠の提示をどのように行っているか、説話的なものをどう利用しているのか、といった点に注目した。詩の詠法については、当時の禅僧の批評的言説を参考にしながら作品を分析することを試みた。いまだに試行錯誤の段階ではあるものの前著よりも集中的に論じられたと考えている。】はしがきより
目次
はしがき
第一部 総論
第一章 五山文学における偈頌と詩―一休を焦点として―
はじめに
一 来日僧の語録(鎌倉後期~南北朝期)
二 南北朝の日本人僧の語録・作品集
三 室町時代の様相
四 五山僧の偈頌と詩に対する意識
五 一休における詩と偈頌
おわりに
第二章 名所としての中国―「西湖」を中心に―
一 平安漢詩のなかの「名所」西湖―白居易との関係―
二 五山文学における西湖―実景・絵画・イメージ―
三 隠者林和靖 ―山居としての西湖と梅のイメージ―
四 まとめ
第三章 五山僧に見る中世寺院の初期教育
一 来日僧の場合
二 伝記類に見る日本人僧の初期教育
三 その分析と補足資料
四 第二段階―資料操作と漢詩文作成
おわりに
第二部 注釈・講義
第四章 抄物の類型と説話
はじめに―禅林における書物の解体と生成
一 抄物の類型
二 抄物の中の説話(一)―禅林内部の場合―
三 抄物の中の説話(二)―外部との接触の場合―
四 まとめ
第五章 禅林の抄物と説話
はじめに
一 『三体詩』の抄物の例
二 『江湖風月集』の抄物の例
三 まとめ
第六章 禅僧による禁中漢籍講義―近世初頭『東坡詩』の例―
一 前史―室町中期以降の様相―
二 文禄五年月渓聖澄講義
三 慶長一八年文英清韓講義
四 まとめ
第七章 『覆簣集』について―室町時代後期の注釈付き五山詩総集―
はじめに
一 序文
二 所収の詩と作者
三 注釈の内容―引用文献など
四 注釈の内容―他の注釈との比較
おわりに
第三部 詩集・詩法
第八章 詩法から詩格へ―『三体詩』およびその抄物と『聯珠詩格』―
一 『三体詩素隠抄』の記述から
二 『三体詩』七言絶句の分類
三 小部門をめぐる謎
四 小部門の内容
五 三体詩法から聯珠詩格へ
第九章 「詩歌合(文明十五年)」について
はじめに
一 主要伝本の概要
二 成立の経緯
三 当日の様子
おわりに―伝本と催行との関係
第一〇章 定型としての七言絶句―「詩歌合(文明十五年)」を例に―
はじめに
一 題意の表現
二 一首の構成
三 表現上の工夫
四 五山僧の作品
五 「雪中鶯」以外の作品
おわりに
第一一章 三条西実隆における漢詩と和歌―瀟湘八景を中心に―
一 漢詩初学期と天隠龍沢
二 瀟湘八景和歌その一
三 禁裏屏風瀟湘八景詩
四 永正年間の詩会
五 瀟湘八景和歌その二
第一二章 文学資料としての詩短冊―三条西実隆とその周辺―
はじめに
一 作品の例
二 まとめ
第一三章 伝横川景三筆『〔百人一首〕』断簡
第一四章 奈良古梅園所蔵『村菴稿』
第一五章 『〔日課一百首〕』
第一六章 伝策彦周良撰『詩聯諺解』
第四部 その他
第一七章 『香積南英禪師語録』について
はじめに
一 書誌と概要
二 疏および行状
三 大徳寺関係偈頌等の書き入れ
第一八章 書評 張伯偉著『作為方法的漢文化圏』
初出一覧
あとがき
正編・続編 総索引
上記内容は本書刊行時のものです。