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ドラマと方言の新しい関係 金水 敏(編著) - 笠間書院
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ドラマと方言の新しい関係 『カーネーション』から『八重の桜』、そして『あまちゃん』へ

発行:笠間書院
A5判
104ページ
並製
定価 800円+税
ISBN
978-4-305-70726-0
Cコード
C0081
一般 単行本 日本語
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2014年8月
書店発売日
登録日
2014年7月18日
最終更新日
2017年8月21日
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紹介

近年、方言がドラマにおいて果たす役割がきわめて重要になってきた。
例えば、『カーネーション』から『八重の桜』、そして『あまちゃん』…。
本書は、言語研究の立場から、ドラマの方言を捉え直します。
果たして、ドラマの方言が変わってきているのか。
それとも、方言がドラマを変えたのか。
実際にドラマのことば指導を行っている俳優や、NHKのドラマ制作班の方々を迎え、その謎を考え、「ドラマ方言」が誕生する過程に迫る。
2014年3月に行われた「ドラマと方言の新しい関係」シンポジウムの完全書籍化。

目次

はじめに―ドラマのなかの方言はおもしろい●金水 敏

本書を読む前に知っておきたい
『カーネーション』『八重の桜』『あまちゃん』のあらまし

Part.1
ドラマ方言の新時代

1 フィクションの言語と方言●金水 敏
  「役割語」について―人物像と結びつく話し方
  リアルな話し言葉
  フィクションの話し言葉
  ドラマのなかで方言をどこまで取り入れるか

2『あまちゃん』が開いた新しい扉 ―「方言コスプレドラマ」ができるまで―●田中ゆかり
  NHKの大河ドラマと連続テレビ小説
  ドラマ方言と方言指導
  「なんちゃって」から「リアルさ追求」へ
  『あまちゃん』が開いた新しい扉―四つの装置
  まとめ―方言とヒロインのかたち

3方言とアイデンティティー ―ドラマ批評の立場から―●岡室美奈子
  『八重の桜』『カーネーション』『あまちゃん』―三人のヒロインたち
  新島八重―会津を離れても変わらない言葉
  小原糸子―岸和田に留まり続ける言葉
  天野アキ―人工的に身に付けた言葉
  ヒロインと地元の関係を反映する方言

Part.2 公開インタビュー 
方言と格闘するドラマ制作現場

●登壇者●
内藤愼介(NHKドラマ番組部エグゼクティブ・プロデューサー/『八重の桜』制作統括)
菓子 浩(NHKドラマ番組部チーフ・プロデューサー/『あまちゃん』制作統括)
林 英世(俳優/『カーネーション』岸和田ことば指導)
金水 敏
田中ゆかり
岡室美奈子

  『八重の桜』―手探りで進めた方言
  『あまちゃん』―キャラクターによってレベルを変えた訛り
  『カーネーション』―岸和田の人に嫌われないように
  時代劇のなかの方言の難しさ―ヴァーチャル×2
  俳優の努力
  現実とヴァーチャルの方言のズレ
  長期放送のなかで成長する言葉
  「じぇじぇじぇ」は本当にある言葉?
  方言が混ざる現場
  アキの「ズコリュー(自己流)東北弁」
  脚本を第一に尊重
  フロアとのやりとり

ドラマ作品関連文献
参考文献
シンポジウム開催記録

おわりに●田中ゆかり

前書きなど

はじめに―ドラマのなかの方言はおもしろい
◉金水 敏

 ドラマは、きわめて総合的なエンターテインメントであり、芸術である。すなわち、シナリオ、演出、演技、カメラ、照明、音声・音響、音楽、美術といったさまざまな要素が絡み合い、調和することで優れた作品が生まれるのである。従って、ドラマを楽しんだり評価したりするにもいろいろな切り口がありうる。

 私たちはそこに「方言」という切り口を付け加えてみたいと思い、シンポジウムを企画した。それは方言がドラマにおいて果たす役割が近年きわめて重要になってきていると考えるからである。たとえば、NHKの大河ドラマや連続テレビ小説―通称「朝ドラ」―では、次にどこの地方が舞台となるか、という話題が常に取りざたされ、町おこしの大きな起爆剤として期待されていることは周知のとおりである。その舞台となった場所の地域性をうまく表現するために、方言が重要な役割を果たすことは言うまでもない。また、印象的なドラマの登場人物のキャラクターを形成する要素として、方言が重要な役割を果たしていることも言を俟たないだろう。

 しかし一方で、方言をドラマに取り込むことには問題も多い。一つには、方言は共通語に比べてわかりにくい、通じにくいという面を持っている。また、方言のクオリティを保つためには、ことば指導などそれなりのコストを投入する必要がある。

 テレビの歴史の中では、ドラマに方言が本格的に取り込まれるようになって30年以上を経ているが、フィクションの歴史の中で見ると実はそれほど古いことではない、という事実もある。『あまちゃん』では方言の用い方として新しい扉が開かれたという見方もできる。方言とドラマの関係は、まさに今も変化しつづける途上にあるといってよいように思われる。

 このシンポジウムでは、ドラマの中の方言についての研究者の成果をお示しするとともに、実際にドラマの作り手であるプロデューサーさんやことば指導の方に〝公開インタビュー〟のかたちでお話をうかがった。そのスタッフみなさんが方言を含めたドラマのクオリティをどのように高め、また維持・管理しているかといういわばドラマの〝裏側〟のお話もうかがうことができたのである。このたび、シンポジウムの記録を冊子のかたちでお届けできる機会を得たので、当日の模様をぜひ皆様にもお楽しみいただければ幸いです。

著者プロフィール

金水 敏  (キンスイ サトシ)  (編著

大阪大学大学院文学研究科教授。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。著書に『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』(岩波書店、2003)、『日本語存在表現の歴史』(ひつじ書房、2006)、『役割語研究の展開』(共著、くろしお出版、2011)ほか。

田中 ゆかり  (タナカ ユカリ)  (編著

日本大学文理学部教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。著書に『「方言コスプレ」の時代―ニセ関西弁から龍馬語まで―』(岩波書店、2011)、『首都圏における言語動態の研究』(笠間書院、2010)、『方言学入門』(共著、三省堂、2013)など。

岡室 美奈子  (オカム ロミナコ)  (編著

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館館長・早稲田大学文学学術院教授。早稲田大学文学研究科博士課程単位取得満期退学。芸術学博士(アイルランド国立大学ダブリン校)。著書に『六○年代演劇再考』(共編、水声社、2012)、『サミュエル・ベケット!―これからの批評』(共編、水声社、2012)、『ベケットを見る八つの方法―批評のボーダレス』(共編、水声社、2013)、『サミュエル・ベケット―ドアはわからないくらいに開いている』(監修、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、2014)ほか。

内藤 愼介  (ナイトウ シンスケ)  (

NHKドラマ番組部 エグゼクティブ・プロデューサー。1981年NHK入局。1985年ドラマ部に異動。プロデュース作品として、連続テレビ小説『オードリー』『どんど晴れ』、大河ドラマ『天地人』(2010年エランドール賞・エランドールプロデューサー賞)、金曜時代劇『春が来た』、連続ドラマ『真夜中は別の顔』『女将になります!』『ブルーもしくはブルー』、特集ドラマ『シェエラザード』『生き残れ』『さよなら、アルマ~赤紙をもらった犬~』ほか。
2013年東北・福島を舞台にした大河ドラマ『八重の桜』を制作。

菓子 浩  (カシ ヒロシ)  (

NHKドラマ番組部チーフ・プロデューサー。1993年NHK入局。ドラマ10『セカンドバージン』『下流の宴』『はつ恋』、土曜ドラマスペシャル『それからの海』、土曜時代劇『浪花の華~緒方洪庵事件帳~』などを担当。連続テレビ小説は、『あまちゃん』(第51回(2013年度)ギャラクシー賞テレビ部門大賞)が『天花』『風のハルカ』『芋たこなんきん』『ちりとてちん』『ウェルかめ』に次いで6作品目。

林 英世  (ハヤシ ヒデヨ)  (

岸和田市出身。女優。演出や俳優指導も。同志社大学文学部卒。映画『パッチギ』、NHK連続テレビ小説『カーネーション』『芋たこなんきん』『ごちそうさん』、舞台『セパレートテーブルズ』『ピグマリオン』、ひとり語り『桜の森の満開の下』『雨上がる』『芋虫』などに出演。『カーネーション』で岸和田ことば指導。和田竜『村上海賊の娘』(新潮社、2013)で泉州弁監修。

上記内容は本書刊行時のものです。