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永福門院 小林 守(著) - 笠間書院
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永福門院 (エイフクモンイン)

文芸
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発行:笠間書院
四六判
124ページ
並製
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-305-70630-0   COPY
ISBN 13
9784305706300   COPY
ISBN 10h
4-305-70630-X   COPY
ISBN 10
430570630X   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0092  
0:一般 0:単行本 92:日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年11月
書店発売日
登録日
2011年10月13日
最終更新日
2011年11月10日
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紹介

うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第2期第1回配本、永福門院です。

その生と歌とは、七百年の歳月の彼方から、五月の薫風のようなさわやかさをいきいきと現代に吹き通わせている。......岩佐美代子

永福門院 Eifukumonin
鎌倉時代後期の太政大臣西園寺実兼の娘で、伏見院の中宮。院号を宣下される。両統迭立の時代に、持明院統の中心として生きて伏見院の志をつぐ。歌道は伏見院近臣の京極為兼を師とし、反二条派の歌風である京極派和歌をもっともよく体現した歌を残した。その歌は『玉葉集』に四十九首、『風雅集』に六十九首見え、清新な叙景歌・抒情歌に特色がある。「真萩散る庭の秋風身にしみて夕日の影ぞ壁に消えゆく」など、外界に投影する鎮静した心をうたっている。

目次

01 昔よりいく情けをか映しみるいつもの空にいつも澄む月
02 薄霧のはるる朝けの庭みれば草にあまれる秋の白露
03 おのづから氷り残れるほどばかり絶えだえに行く山河の水
04 なほ冴ゆる嵐は雪を吹きまぜて夕ぐれ寒き春雨の空
05 峰の霞麓の草のうす緑野山をかけて春めきにけり
06 木々の心花近からし昨日今日世はうすぐもり春雨のふる
07 山もとの鳥の声声明けそめて花もむらむら色ぞみえゆく
08 入相の声する山の蔭くれて花の木の間に月出でにけり
09 うすみどりまじる楝の花みれば面影にたつ春の藤波
10 風にきき雲にながむる夕暮の秋のうれへぞ堪へずなり行く
11 しほりつる風は籬にしづまりて小萩がうへに雨そそくなり
12 空清く月さしのぼる山の端にとまりて消ゆる雲の一群
13 河千鳥月夜を寒み寝ねずあれや寝覚むるごとに声の聞ゆる
14 月かげは森の梢にかたぶきて薄雪白し有明の庭
15 音せぬが嬉しき折もありけるよ頼み定めて後の夕暮
16 常よりもあはれなりつる名残しも辛き方さへ今日は添ひぬる
17 玉章にただ一筆とむかへども思ふ心をとどめかねぬる
18 人や変るわが心にや頼みまさるはかなきこともただ常に憂き
19 見るままに山は消え行く雨雲のかかりもらせる槙の一本
20 くらき夜の山松風はさわげども梢の空に星ぞのどけき
21 明かしかね窓くらき夜の雨の音に寝覚めの心いくしほれしつ
22 山風の吹きわたるかと聞くほどに檜原に雨のかかるなりけり
23 ほととぎす声も高嶺の横雲になきすてて行く曙の空
24 暮れはつる嵐の底に応ふなり宿とふ山の入相の鐘
25 夕月日軒ばの影はうつり消えて花の上にぞしばし残れる
26 夕立の雲も残らず空晴れて簾をのぼる宵の月影
27 宵過ぎて月まだ遅き山の端の雲に光れる秋の稲妻
28 時雨つつ秋すさまじき岡のべの尾花にまじる櫨の一本
29 朝嵐はそともの竹に吹きあれて山の霞も春さむき比
30 なにとなき草の花さく野べの春雲にひばりの声ものどけき
31 花の上にしばし映ろふ夕づく日入るともなしに影消えにけり
32 散り受ける山の岩根の藤つつじ色にながるる谷川の水
33 かげしげき木の下闇のくらき夜に水の音して水鶏なくなり
34 ま萩ちる庭の秋風身にしみて夕日の影ぞ壁に消えゆく
35 きりぎりす声はいづくぞ草もなき白州の庭の秋の夜の月
36 村雲に隠れ現はれ行く月の晴れも曇りも秋ぞかなしき
37 もろくなる桐の枯れ葉は庭におちて嵐にまじる村雨の音
38 むらむらに小松まじれる冬枯れの野べすさまじき夕暮の雨
39 鳥のこゑ松の嵐の音もせず山しづかなる雪の夕暮
40 あやしくも心のうちぞ乱れゆく物思ふ身とはなさじと思ふに
41 我も人もあはれつれなき夜な夜なよ頼めもやまず待ちも弱らず
42 慣るる間のあはれに終に引かれ来て厭ひがたくぞ今はなりぬる
43 憂きも契り辛きも契りよしさらば皆あはれにや思ひなさまし
44 今日はもし人もや我を思ひいづる我も常より人の恋ひしき
45 常よりもあはれなりしを限りにてこの世ながらはげにさてぞかし
46 時しらぬ宿の軒端の花ざかり君だに訪へな又誰をかは
47 かくしてぞ昨日も暮れし山の端の入り日の後に鐘の声々
48 山あひに下り静まれる白雲のしばしと見ればはや消えにけり
49 思ひやる苔の衣の露かけてもとの涙の袖や朽ちなむ
50 忘られぬ昔語りも押しこめて終にさてやのそれぞ悲しき

歌人略伝 
略年譜 
解説「清新な中世女流歌人」(小林守) 
読書案内
【付録エッセイ】永福門院(抄)(久松潜一)

著者プロフィール

小林 守  (コバヤシ マモル)  (

* 1943年東京都生。
* 明治大学大学院修士課程修了。
* 元明治大学文学部非常勤講師。
* 主要編著・論文
『永福門院歌集・全句索引』(大野順一監修・小林守編・私家版)
「玉葉和歌集と六百番歌合」(文芸研究)
「玉葉和歌集の哀傷歌」(同)

上記内容は本書刊行時のものです。