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和泉式部 高木和子(著) - 笠間書院
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コレクション日本歌人選06

和泉式部

発行:笠間書院
四六判
126ページ
並製
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-305-70606-5
Cコード
C0092
一般 単行本 日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月
2011年8月
書店発売日
登録日
2011年7月14日
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書評掲載情報

2013-02-24 日本経済新聞

紹介

うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第6回配本、和泉式部です。

和泉には多情好色の女としてあることないこと取沙汰されやすい因子があり、とくに中宮彰子に宮仕えしていた時期には、道長をはじめとする貴紳たちにからかわれることが多かったらしい。――藤岡忠美

和泉式部 Izumi Shikibu
受領大江雅致(まさむね)の娘。御堂(みどう)関白道長の時代に多感な恋で浮き名を流し、その恋に揺れる情熱を和歌表現に託して果敢にうたいあげた。和泉守橘道貞(みちさだ)と結婚し、小式部(こしきぶ)内侍をもうけた後、冷泉帝皇子為尊(ためたか)・敦道(あつみち)親王兄弟との華やかな恋愛へと突き進み、敦道親王との恋の経緯は、「女」を主人公に仕立てた『和泉式部日記』に記される。さらに受領の藤原保昌(やすまさ)と結婚、また一条天皇中宮彰子に女房として仕え、一時は紫式部と同僚だった。平安時代に、もっとも自由奔放に生きた女性。

目次

01 黒髪の乱れも知らずうち臥せばまづかきやりし人ぞ恋しき
02 春霞立つや遅きと山河の岩間をくぐる音聞ゆなり
03 岩つつじ折り持てぞ見る背子が着し紅染めの衣に似たれば
04 ながめには袖さへ濡れぬ五月雨におりたつ田子の裳裾ならねど
05 ありとても頼むべきかは世の中を知らするものは朝顔の花
06 晴れずのみものぞ悲しき秋霧は心のうちに立つにやあるらん
07 寝る人を起こすともなき埋み火を見つつはかなく明かす夜な夜な
08 見渡せば真木の炭焼く気をぬるみ大原山の雪のむら消え
09 いたづらに身をぞ捨てつる人を思ふ心や深き谷となるらん
10 つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天降りこんものならなくに
11 逢ふことを息の緒にする身みにしあれば絶ゆるもいかが悲しと思はぬ
12 君恋ふる心は千々に砕くれど一つも失せぬものにぞありける
13 世の中に恋といふ色はなけれども深く身にしむものにぞありける
14 冥きより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月
15 ともかくも言はばなべてになりぬべし音に泣きてこそ見せまほしけれ
16 瑠璃の地と人も見つべし我が床は涙の玉と敷きに敷ければ
17 類よりも独り離れて知る人もなくなく越えん死出の山道
18 あはれなる事をいふにはいたづらに古りのみまさる我が身なりけり
19 などて君むなしき空に消えにけん淡雪だにもふればふる世に
20 留めおきて誰をあはれと思ふらん子はまさるらん子はまさりけり
21 待つ人は待てども見えであぢきなく待たぬ人こそまづは見えけれ
22 ある程は憂きを見つつも慰めつかけ離れなばいかに偲ばん
23 津の国のこやとも人をいふべきに隙こそなけれ芦の八重ぶき
24 あらざらんこの世のほかの思ひ出にいま一度の逢ふこともがな
25 薫る香によそふるよりはほととぎす聞かばや同じ声やしたると
26 なぐさむと聞けば語らまほしけれど身の憂きことぞ言ふかひもなき
27 世の常のことともさらに思ほえずはじめてものを思ふ朝は
28 待たましもかばかりこそはあらましか思ひもかけぬ今日の夕暮れ
29 ほととぎす世に隠れたる忍び音をいつかは聞かん今日も過ぎなば
30 やすらはでたつにたちうき真木の戸をさしも思はぬ人もありけん
31 偲ぶらんものとも知らで己がただ身を知る雨と思ひけるかな
32 ふれば世のいとど憂さのみ知らるるに今日のながめに水まさらなん
33 宵ごとに帰しはすともいかでなほ暁起きを君にせさせじ
34 近江路は忘れぬめりと見しものを関うち越えて問ふ人や誰
35 よそにても同じ心に有明の月を見るやと誰に問はまし
36 惜しまるる涙に影は留まらなむ心も知らず秋は行くとも
37 今朝の間にいまは消ぬらむ夢ばかりぬると見えつる手枕の袖
38 うちかへし思へば悲し煙にもたち後れたる天の羽衣
39 捨てはてむと思ふさへこそ悲しけれ君に馴れにし我が身と思へば
40 鳴けや鳴け我が諸声に呼子鳥呼ばば答へて帰り来ばかり
41 今の間の命にかへて今日のごと明日の夕べを歎かずもがな
42 夢にだに見で明かしつる暁の恋こそ恋のかぎりなりけれ
43 おぼめくな誰ともなくて宵々に夢に見えけん我ぞその人
44 いかにしていかにこの世にあり経ばかしばしもものを思はざるべき
45 竹の葉に霰ふるなりさらさらに独りは寝べき心地こそせね
46 ぬれぎぬと人には言はん紫の根摺りの衣表着なりとも
47 もの思へば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る
48 あさましや剣の枝のたわむまでこは何のみのなれるなるらん
49 折からはおとらぬ袖の露けさを菊の上とや人の見るらん
50 ありはてぬ命待つ間の程ばかりいとかくものを思はずもがな
歌人略伝
略年譜
解説「歌に生き恋に生き 和泉式部」(高木和子)
読書案内
【付録エッセイ】和泉式部、虚像化の道(藤岡忠美)

著者プロフィール

高木和子  (タカギカズコ)  (

* 1964年兵庫県生。
* 東京大学大学院修了、博士(文学)。
* 現在 関西学院大学文学部教授。
* 主要著書
『源氏物語の思考』(風間書房)
『女から詠む歌 源氏物語の贈答歌』(青簡舎)
『男読み源氏物語』(朝日新書)

上記内容は本書刊行時のものです。