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みそひと文字の抒情詩[新装版]
古今和歌集の和歌表現を解きほぐす
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年8月
- 書店発売日
- 2012年8月10日
- 登録日
- 2012年7月23日
- 最終更新日
- 2012年8月8日
紹介
歌聖と仰がれた藤原定家すら『古今和歌集』の和歌が理解できていなかった。
したがってその流れを継承する現今の注釈者にも和歌表現の基本が理解されていないということである。
『古今和歌集』から複線構造による多重表現になっている作品を中心に十二首を選び、徹底した表現解析を試みる。
〈みそひと文字〉という31個の仮名連鎖の枠のなかで、どのような「言の葉」をどのように操作し、「ひとの心」の繊細な動きを表現しているかを解明する。
旧著『やまとうた』を隅々まで書き改め、さらに新たな一章を加えた書。奥深く秘められた和歌の〈心〉にアプローチする方法を、分かりやすく提示する。同時刊行する『仮名文の構文原理[増補版]新装版』に提示した新しい考えを裏づけた書である。
【アプローチとは、問題の核心に少しでも近づきたいという意欲を満たすために策定する方略である。ことばで表現された〈心〉の奥底を見届けたいという情熱や憧れが、さまざまのアプローチを工夫させる。
理解できない和歌を力ずくで攻略しても、真実をねじ伏せることはできない。
『古今和歌集』の現行の注釈書を見ると、真実に少しでも近づきたいとか、ことばで表現された〈心〉の奥底に迫りたいとかいう情熱をまったく感じさせない。樹を見て森を見ずどころか、目の前に見ている葉がどんな枝にどんなふうに付いているにかさえも関心を示さない。好きかってに攻め立てて、理解できたと思い込んでいる。
悪しき伝統に支えられた惰性的研究姿勢を捨てて、和歌の作者と日本語で親しく対話することから再出発しようではないかというのが、筆者のまじめなよびかけであり、本書はみずから実践したそのようなアプローチからもたらされた、ささやかな成果の提示である。】......イントロダクションより
目次
イントロダクション
序論 和歌表現解析の基礎
1 『古今和歌集』の評価
2 複線構造による多重表現
3 和歌表現解析の基礎
4 『古今和歌集』のテクスト
本論 和歌表現の解析
1 春は来にけり ひとの心をさぐる
2 うぐひすの鳴くなる声 古典文法による呪縛
3 あづさ弓 変容した枕詞
4 ことならは 注釈を離れて考える
5 池の藤波 咲きにけり
6 さつき待つ花橘
7 渡り果てねば
8 人まつ虫の声すなり
9 紅葉みだれて流るめり
10 あやめも知らぬこひ
11 ねてもみゆ ねてもみえけり
12 もみぢ葉の色
『やまとうた』その後
お読みいただいた方へ
補説 増刷に際して
引用初句索引
上記内容は本書刊行時のものです。