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攻撃と殺人の精神分析 片田 珠美(著) - トランスビュー
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9784901510318

攻撃と殺人の精神分析

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A5判
301ページ
上製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-901510-31-8   COPY
ISBN 13
9784901510318   COPY
ISBN 10h
4-901510-31-2   COPY
ISBN 10
4901510312   COPY
出版者記号
901510   COPY
Cコード
C1011  
1:教養 0:単行本 11:心理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2005年6月
書店発売日
登録日
2021年7月7日
最終更新日
2021年7月7日
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紹介

 性幻想による大久保清や宮崎勤の殺人、フランスの悲しい連続殺人鬼から、親殺し・子殺し・母子心中、病や宗教による大量殺人・戦争まで。
 ラカン派の精神科医が迫真の筆致で事例を追い、人間に根ざす「殺人衝動」を徹底的に分析する。

目次

第1部 性と幻想

第一章 性幻想による連続殺人
・増加する連続殺人 ・残された「刻印」
・「正常」に潜む倒錯 ・大久保清の事例
・象徴的な攻撃 ・二重生活 ・引き金となる事件
・「原父」のイメージ ・連続幼女誘拐殺人
・本当に性的動機なのか ・成人女性の「代替物」
・「解離性家族」の中で ・ビデオ収集強迫の意味
・障害と被害関係妄想 ・祖父再生の儀式
・フェティシズムの構造 ・去勢の脅威
・希薄な性欲と多形倒錯

第二章 拒絶された男の記録
・国境を越える連続殺人 ・生母の拒絶
・最初の性的攻撃 ・第二の拒絶
・要求の二重構造 ・自分が何者なのかわからない
・予言的事件 ・犯行様式の進展 ・模範囚の脱獄
・〈娼婦〉を見る ・一連の〈儀式〉 
・失敗した〈狩り〉 ・〈成熟した〉殺人犯
・浮かび上がる連続殺人犯の影 ・逮捕 
・モンタージュ写真のまちがい ・戻ってきた連続殺人犯
・パニックに陥ったパリ ・一致したDNA 
・動機なき殺人 ・「衝動」の解明 ・〈娼婦〉の意味
・誰のものでもない〈母〉 ・乳房とフェラチオ

第三章 性と幻想
・虐待と幻想 ・性行為の目撃
・トラウマの〈心的〉現実性
・三つの〈原幻想〉 ・幻想に駆り立てられた殺人
・一線を越えさせるもの ・幻想に組み込まれた欲望

 第2部 親と子の深層

第一章 なぜ子供を殺すのか
・希求される〈母〉 ・神話の中の子殺し
・メデイア・コンプレックス 
・子殺しにおける父と母の割合
・動機の五つの分類 ・攻撃性の置き換え
・子殺しの類型 ・母親による子殺しの特徴

第二章 母子心中
・母親の自殺を伴う子殺し ・強い母子一体感 
・役割の逆転 ・「死んだ方が幸せ」 
・「母性」の重荷と拡大自殺 ・日本の母子心中の特徴
・東京都二十三区内の親子心中
・日本人の行動規範と社会的孤立

第三章 なぜ親を殺すのか
・エレクトラとオレステス ・ハムレットの衝動
・母との性交 ・オレステス・コンプレックス
・母殺しの実態 ・母殺しの三つの要因
・家族力動と性的葛藤のケース
・男の子にとっての母親と娼婦
・復讐としての殺人 ・精神疾患と母への依存
・「父」と「結婚」の問題 ・遷延したエディプス状況

 第3部 病と神

第一章 病と大量殺人
・なぜ関心が低いのか ・大量殺人と連続殺人の違い
・大量殺人の定義 ・大量殺人の実態と犯人像 
・四つの動機 ・復讐としての大量殺人
・家族大量殺人の構造 
・なぜ、かくも多くの人々を殺すのか
・共通する他責的傾向 ・喪失の脅威
・コピーキャット現象 ・心理的孤立
・精神医学的視点から ・被害妄想 ・「投射」の機制
・自殺願望から大量殺人へ ・自殺と他殺を分けるもの

第二章 神の名のもとに
・宗教戦争とセクトの集団死事件 
・フロイトの宗教の定義 ・宗教幻想の実態
・「父殺し」の仮説 ・トーテムとタブー 
・一神教の成立 ・神と悪魔
・宗教と強迫神経症 ・宗教における攻撃と殺人

むすび 内なる悪を見つめて

あとがき

参考文献

前書きなど

第1部 性と幻想

 第一章 性幻想による連続殺人

 増加する連続殺人

 映画「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」、そしてその前日談となる「レッド・ドラゴン」の三部作は、日本でも封切られ注目を集めたが、この映画にも登場するような連続殺人犯が増加しているのは事実である。

 たとえば、2003年11月5日、シアトルのキング郡地裁で、五十四歳の塗装工ゲーリー・リッジウェー被告は、売春婦など女性ばかり四十八人を殺害したことを認めた。単独犯による四十八人の連続殺人はアメリカ犯罪史上最悪であり、被告が塗装工として三十二年間勤め、仕事の合間に聖書を読むなど、周囲から「まじめ人間」とみなされていたこともあって、世界中に大きな衝撃を与えた。

 このような状況を踏まえて、プロファイリングの創始者で、元FBI行動科学課特別捜査官主任のロバート・K・レスラー(Robert K. Ressler)は、1984年9月、イギリスのオックスフォードで開かれた第十回国際法科学協会会議において次のような発表を行なった。

「過去十年間におけるアメリカ合衆国の殺人の新現象は、法執行官および精神衛生の専門家を困惑させている。その現象とは殺人が連続しているもので、一定期間以上にわたり、一人の人間が複数の殺人を犯すのだが、犯人の正体については事実上、何も痕跡が残っていない。この種の犯罪は昔から存在していたが、事件数と被害者数はかつてないほど増大している。

 このような異常で動機のない連続殺人は、1970年代なかばに初めてマスコミに注目された。いわゆる〈サムの息子〉、デビッド・バーコウィッツは、ニューヨークで、明白な動機もなく被害者に忍び寄り、四四口径ピストルで射殺していった。その時からこうした型の殺人がうなぎのぼりに上昇し、過去十年間でその割合は異常発生的に増えている。アメリカ司法省の発表では、まだ逮捕されずにアメリカを徘徊しているこうした型の殺人者の数は、三十五人から四十人と見積もられている。有名な連続殺人事件では、イリノイ州シカゴでジョン・ウエイン・ゲイシーが三十三人を殺害し、テキサスとフロリダではヘンリー・リー・ルーカスとオーティス・エルウッド・トゥーが百六十五人を殺している」。

 これは、アメリカだけに限った現象ではなく、フランスの犯罪学者ロラン・モントは、1998年3月に逮捕されたギュイ・ジョルジュをはじめとする何十人もの連続殺人犯の名を挙げ、「皆、フランスの連続殺人犯である。この現象がアメリカの国境をとっくに越えてしまっており、わが国においても広がりつつあることは、疑う余地がない」と述べている。

 このような連続殺人の犯行現場の多くに、自己愛的な性的殺人であることを示す特徴が認められることは注目に値する。殺害行為の性的側面は、殺害前・殺害後の性器挿入、あるいは体の開口部(口、膣、肛門など)への異物挿入といった、象徴的な性的攻撃という形で表われる。被害者と性交しないのに、裸にしているような場合もあるが、これは犯人が性的興奮を感じていたことを示す徴である。この種の殺人を犯すのは、倒錯的な性的快楽を体験するためであり、しばしばサディズムあるいは屍姦をともなう。また、執念深さ、四肢切断、頭部切断、性器切除、眼球摘出、内臓摘出、死肉食なども、倒錯的な性欲動が根底に潜んでいることを示す重要な指標である。・・・・

著者プロフィール

片田 珠美  (カタダ タマミ)  (

1961年生まれ。大阪大学医学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。専門は精神医学、精神分析。フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学びDEA(専門研究課程修了証書)取得。精神科医として臨床に携わりつつ、精神分析的視点から欲望の構造について研究。日生病院神経科医長、人間環境大学助教授を経て、現在、神戸親和女子大学教授。著書に『オレステス・コ
ンプレックス―青年の心の闇へ』『17歳のこころ―その闇と病理』(共にNHK出版)『分裂病の精神病理と治療7―経過と予後』(共著、星和書店)など、訳書に『フロイト&ラカン事典』(共訳、弘文堂)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。