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戦場の「慰安婦」
拉孟全滅戦を生き延びた朴永心の軌跡
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2003年12月
- 書店発売日
- 2004年1月7日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2011年2月8日
紹介
日本軍の性奴隷として屈辱的な生活を強いられた女性たちは,被害者であるにもかかわらず,自らを恥じ,否定しながら戦後を生きてきた。拉孟戦を生き延び米軍撮影の写真に残された「慰安婦」の生存が確認され,戦場の「慰安婦」の真実が次々に明らかにされる。
目次
はじめに
第一章 連 行
連 行
悪夢の日々
南京の慰安所
ビルマへ移送
ラシオの慰安所
萃香園
第二章 玉砕戦場の「慰安婦」
雲南調査
雲嶺の南の地へ
最前線に慰安所開設
拉孟の慰安所
慰安所に通う兵士たち
多発する強かん
砲弾の飛び交う中で
断末魔
中国軍の捕虜に
ジャップ「コンフォート・ガールズ」
第三章 騰越の「慰安婦」
戦場の女郎花
美談として語られた「慰安婦」
騰越玉砕記
騰越の慰安所
生き延びた「慰安婦」
騰越戦地記者の報告
孟連の慰安所
第四章 七年ぶりの祖国
脱 出
昆明の捕虜収容所
韓国光復軍
七年ぶりの祖国
第五章 朴永心、十年の闘い
決 意
これがあの時の私
よみがえる記憶
人間の尊厳を
あとがき
文献一覧
前書きなど
半世紀も前の歴史を追いかけるという作業がどれほど困難なことかを、今さらながらに感じています。 戦後、戦争は様々な語り口で語られてきました。お国のために、日本兵はどんなに勇猛果敢に戦ったかという話もあれば、中国をはじめアジア各地でどんなに残虐なことをしたのかという話もありました。しかし、その中で最も語られてこなかったのが性暴力であり「慰安婦」のことでした。私は一九九〇年前後から「慰安婦」についての聞き取りを行ってきましたが、日本社会に「慰安婦問題」として浮上する以前は、「私は慰安所に行ったことがないが、聞いたことはある」と前置きして話される方がほとんどでした。そのころ聞くことができたのは日本兵の目に映った「慰安婦」の姿であり、そこに語られる「慰安婦」はまさに「商行為」の女たちでした。しかし後に、「慰安婦」だった女性たちが姿を現し、女性たちから壮絶な体験を聞くことで日本兵と「慰安婦」の間にある深い齟齬に直面し、「商行為」という語りは慰安所に足を運んだ兵士たちの自己弁明ではないかと思うようになりました。あの戦争とは何だったのかを知ろうとする動きが急速に進む中で元兵士からも加害体験が聞かれるようになりましたが、しかし、性暴力については口が重く、生々しい性暴力の体験が聞かれるようになったのはごく最近のことです。 朴永心さんとは何度もお会いして聞き取りを進めましたが、会うたびに年をとられたと感じます。お会いするたびに、私は彼女のPTSDの深さに驚き、何度涙を流したかしれません。朴さんは日本兵を恨みつつも「日本兵もかわいそうだった」と呟きました。様々な思いに揺れ動き、小さくなった体を震わせて過去を拒絶しながらも語り続けてくれた朴さんの姿を思い出すたび、被害者を置き去りにしたまま「慰安婦」問題を終わりにしてはならないと強く感じます。(後略)あとがき 西野瑠美子
上記内容は本書刊行時のものです。