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懺悔録 沼 正三(著) - ポット出版
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懺悔録 (ザンゲロク) 我は如何にしてマゾヒストとなりし乎 (ワレハイカニシテマゾヒストトナリシカ)

文芸
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発行:ポット出版
四六判
280ページ
上製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-7808-0125-5   COPY
ISBN 13
9784780801255   COPY
ISBN 10h
4-7808-0125-7   COPY
ISBN 10
4780801257   COPY
出版者記号
7808   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2009年5月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2024年2月19日
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書評掲載情報

2009-10-30 週刊金曜日  773号
評者: 陣野俊史
2009-10-10 ZUBA ! (ズバ)  2009年10月号
評者: 陣野俊史
2009-07-02 週刊文春  7月2日号
評者: 酒井順子
2009-06-21 神奈川新聞
2009-06-07 信濃毎日新聞
2009-06-07 京都新聞
2009-05-27 マニア倶楽部  2009年7月号
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紹介

戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』の著者・沼正三、ついに逝く─

●沼正三がその死の直前までSM専門誌「S&Mスナイパー」(ワイレア出版、現在は休刊)に書き続けた実体験エッセイ、「ある異常者の体当たり随想録」から選集。

●未完の短編小説「化粧台の秘密」、2006年に受けた生前のインタビューを特別収録!!

目次

はじめに●マゾヒズムの星 志賀信夫

●沼正三、マゾヒズムを語る
イントロダクション◎沼正三の歩んだ道
インタビュー◎「私は、女性のマゾヒズムは信じられない」

●懺悔録
◎ただ、いちずにMのために
◎燃えたぎる奉仕精神
◎〝まごころあんま〟顚末
◎谷崎潤一郎の足崇拝について
◎屑屋商売のころ
◎私は、もう四十一歳にもなっていた
◎醒めるために飲む酒
◎五時からマゾヒスト
◎バア『幸』にて
◎ママと私だけの秘密
◎マゾヒストの異常な恋
◎森本佳子の秘めたサジズム
◎兄へ宛てられた手紙
◎真理は常に光栄ある孤立の側にある
◎垢と埃と汗の混じったビール
◎マゾヒストに自信と勇気を
◎私を深く埋めてもらいたい
◎「ツバちょうだい」
◎回想・汲み取り式便所
◎マゾヒスト仲間を求めて
◎百万人もの女性のエキス
◎死を命じるマゾヒズム
◎使用人であることの至福
◎コプロ趣味について
◎やりばのない自問自答
◎異常性欲者の孤独
◎箕輪祥子という女性
◎兄としての私、弟としての私

●未完小説「化粧台の秘密」

版元から一言

 「S&Mスナイパー」というSM雑誌の編集をやっていました。昨年で同誌は休刊してしまったのですが、最終号が発行された翌々日、沼正三さんが亡くなったことを知りました。
 「ある異常者の体当たり随想録」というエッセイを、20年間連載(本名の天野哲夫名義で)していただいていました。毎月、A4サイズの素っ気ない茶封筒が編集長宛に送られてきます。新潮社の原稿用紙に、線の細い、綺麗な文字がいっぱいに書かれていました。
 内容は、女の足を舐めたい、とか、女性の吐いたツバを味わいたい、とか、お尻の下で窒息したい、とかです。伝説の奇書「家畜人ヤプー」がマゾヒスティックな妄想世界を描いているのに対し、このエッセイでは徹底的に自らの実体験を描いています。
 連載は06年に終了しました。その間、沼さんは己の恥部をさらけ出し続けました。印象的な一文を引用します。

 「吸ってあげるね」
 そういって、唇を当てた。佳子は後ろ手に手をついたまま両足を持ち上げていた。私はしたたるビールの雫をハンケチの代わりに唇と舌で吸い取った。足の裏の皮膚は堅くて頑丈で、足指にタコができていた。そこを噛むとビールの雫の味がした。その味に、垢と埃と汗の臭いがまじっていた。
 上目遣いに見上げると、彼女は無表情だった。しかし、注意を一点に凝らすように、このさもしい動物のような一人の男の行為を、好奇心を交えて熟視していることがよく分かった。
(「垢と埃と汗の混じったビール」より)

 マゾヒストって、きついなあ、寂しいなあ、と思います。好きな人にも、軽蔑されなくてはならないのです。それが悦びだから。
 このエッセイ集は、そんな矛盾に、沼さんが最後まで、もがき、苦しみながら書き続けた、マゾヒストの執念がこもっています。
 軽い気持ちで「私Mだから」とか言ってるうら若き女性に、是非とも読んでいただきたく存じます。
(担当編集者●高橋大輔)

著者プロフィール

沼 正三  (ヌマ ショウゾウ)  (

1926(大正15)年、福岡市生まれ。本名、天野哲夫。
旧制福岡商業を卒業後、満州特殊鋼鉄株式会社に就職、帰国して海軍に入隊。復員後は、風俗誌にマゾヒズムをテーマにした原稿を投稿する傍ら、数々の職業を遍歴し、1967(昭和42)年、新潮社に入社。同社校閲部に勤務しながら、小説・エッセイを書き続ける。風俗誌「奇譚クラブ」の連載をまとめた『家畜人ヤプー』が戦後最大の奇書として話題となる。
2008年11月30日死去。享年82歳。

上記内容は本書刊行時のものです。