戦前期アメリカのベストセラー作家のエツ・スギモト知っていますか?
エツ・イナガキ・スギモトあるいは杉本鉞子という作家の名前を聞いたことがありますか? 故郷の長岡市には杉本鉞子研究会という社団法人もある郷土の著名作家ですが、日本語での著作のまったくないこの女性作家の知名度は決して高くはないでしょう。読書家の方は、唯一邦訳のある『武士の娘』(大岩美代訳、ちくま文庫)の作者として、あるいは日本論の名著『菊と刀』執筆の際にルス・ベネディクトが参照し、多くの引用がされているこの主著の著者としてご存知かもしれません。小社は戦前のアメリカで大活躍し、全作品を英語でのみ著し英米で発表した、この稀有な作家の著作集を出版しようと、編者の植木照代先生とともにこの何年か資料の収集に没頭しました。昨年末にやっと刊行できた『エツ・イナガキ・スギモト(杉本鉞子)英文著作集』全5巻には、スギモト全作品の米国での初版の復刻と、米英の新聞や雑誌に発表された主要な記事や書評など60点弱を収録しています。
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