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戦前期アメリカのベストセラー作家のエツ・スギモト知っていますか?

エツ・イナガキ・スギモトあるいは杉本鉞子という作家の名前を聞いたことがありますか? 故郷の長岡市には杉本鉞子研究会という社団法人もある郷土の著名作家ですが、日本語での著作のまったくないこの女性作家の知名度は決して高くはないでしょう。読書家の方は、唯一邦訳のある『武士の娘』(大岩美代訳、ちくま文庫)の作者として、あるいは日本論の名著『菊と刀』執筆の際にルス・ベネディクトが参照し、多くの引用がされているこの主著の著者としてご存知かもしれません。小社は戦前のアメリカで大活躍し、全作品を英語でのみ著し英米で発表した、この稀有な作家の著作集を出版しようと、編者の植木照代先生とともにこの何年か資料の収集に没頭しました。昨年末にやっと刊行できた『エツ・イナガキ・スギモト(杉本鉞子)英文著作集』全5巻には、スギモト全作品の米国での初版の復刻と、米英の新聞や雑誌に発表された主要な記事や書評など60点弱を収録しています。
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英国出版社との提携

毎年9月に入ると欧米出版社からの出張訪日が相次ぎます。何故残暑のこの時期にとも思いますが、一つは半ば儀礼化してしまったフランクフルトでの商談の前に、日本の取引先との主要な案件を詰めておきたいということ、そしてもう一つは9月初めの北京ブックフェアと合わせてのアジア出張という事情もあるようです。「北京BFのついでに日本か…」と少々寂しくもなりますが、「東京ブックフェアの後で中国に出張しないの?」と尋ねてみても、「東京でブックフェアってやってるの?」なんて返されるのがオチでしょう。とは言っても、英語圏の学術出版社にとって、大学図書館や研究機関を中心とした日本の洋書市場は大きく、国別では米英に次ぐ規模を今でも維持しているようです。特にこの数年は円高の恩恵もあり、日本国内の洋書店との友好関係を維持しておけば、出版社側がさらに努力をしなくても円高分に応じた為替差高に応じた売上アップは期待できる、安定した市場になっています。
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原書だ…、…カントだ!

つかこうへい事務所の公演『戦争で死ねなかったお父さんのために』のなかで、日本帝国軍に見捨てられ、南海の孤島に果てようとしていた風間杜夫扮する将校は、海岸に乗り捨てられたボートの中に残された1冊の洋書をみつけ、この題名のように歓喜の声を上げます。30年以上前のKホール公演でのこのセリフは、隣が洋書売り場だったK書店へのオマージュとしての風間のアドリブなのか、同名のつかの戯曲中にはありません。この日本人将校のように原書の世界にあこがれ、この芝居を観た翌年から洋書輸入の職につき早30有余年、今ではその洋書輸入業からすこし距離を置き、でもちょっと関わりながら、ときどき自分でも何をやっているのかわからなくなりながら…。
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