Seventy-one years ago
昨年「版元日誌」に投稿した際、原子力船「むつ」のことに触れた。「むつ」は原子力船として就航することなく引退した後、原子炉をディーゼル機関に載せ換えるなどの改修を施し、海洋地球観測船「みらい」として今も活躍しているという。先の「版元日誌」でわたしは、船名を「きぼう」としたが、これは誤りであったのでこの機会にお詫びして訂正する。
原子力船「むつ」は原子力の平和利用の一環として製造された実験船であるが、“平和利用”があるなら“軍事利用”もあるわけで、今から71年前の8月6日(広島)、そして8月9日(長崎)に投下された原子爆弾は、まさに軍事利用そのものだった。
長い時を経て原爆投下国であるアメリカの現職大統領、オバマ氏が5月27日に広島の地を訪れ、“Seventy-one years ago”で始まる演説をした。未来に向けて核兵器のない世界を目指すとの決意を語ったこの演説は、多くの人の胸を打つものであった。しかし同じ演説の中でオバマ氏は、自分が生きている間にそれは叶わないかもしれない、大変困難な道のりであることをも吐露していた。「核兵器なき世界」実現への長い長い旅がようやく始まったのかもしれない。 (さらに…)