ひとつの国の終わり
最近、「チャット・ルーレット」という無作為に世界のユーザーとウェブ画像を通じてチャットが楽しめるサイトをロシアの高校生が発明したと、新聞に出ていた。ふっふっふ、似たようなことなら私は子どもの頃からやっているぞ。書棚の前に行き、目をつむって手をのばし、つかんだ本を読んでみる。興味がわく・わかないは関係ない。面白くて一気に読んでしまう、そんな素敵な出会いもあれば、中途で投げ出したくなる、そんな出会いもあった。書店や図書館があればブック・ルーレットで遊べて、本という1人の人間に出会える。
本の集まりである書店は、一つの国だと思う。どこかの町で書店を見つけるとどうしても入ってみたくなるのは、そこに新しいグループ(=その書店が選んだ種類の本の集まり)があるかもしれない、その書店特有の法律や町並み(=売るテーマや特色)があるかもしれないと、新しい刺激やカルチャー・ショックを期待するからだ。人との出会いが一期一会なら、本との出会いも同じに感じる。そのとき買わなければ、もう一度買おうという意思すらなくなることがある。 (さらに…)