営業どたばた記
営業にとって書店で棚を確保することはその存在意義に関わると言い切っても過言ではないかもしれない。それもより目立つところに、目立つ方法で置いていただくということはその本の売り上げと密接に関わっている(・・・と思う)そして書店の店員さんと仲良くなることも大切だ。少しでも覚えてもらおうと、「急いで本が欲しい!」と言って下さる書店さんに得意満面で直接持っていったり・・・本を持って、「重いのです、これを持ってもう帰れません」という泣き顔で書店に行ってみたり・・・と色々と考えて営業をしている。まだ書籍の営業に携わってから日が浅いが、試行錯誤している様子をお届けしたいと思う。
営業のよいところは地方出張があるところだと思う。(少なくとも私の会社では・・・)「全国主要都市にある書店さんを1年に1回はまわってほしい・・・」と言われたときはとてもうれしかった。生まれてこの方関東からほとんど出たことがなく、九州へも行ったことがなかった私は調子にのって、「じゃあ、雪のあるうちに北海道に行っていいですか??あと、沖縄への営業も必要ですよね・・・」と、社長へ確認した。「北海道は書店がたくさんあるから営業が必要だね」との太鼓判を得てうきうきと準備を始めた。ますます調子にのって「ニューヨークに紀伊国屋書店があるそうですよ・・・」という提案はあえなく蹴られた。(当然である)。そして、2月!本当にその時期に営業が必要なのか??という時期に営業が決まった。もちろん、スキーには最適の時期。国体選手だった両親から札幌近辺のスキー場のアドバイスもばっちりもらっていざ出発。もちろん、営業もきちんと計画をたてて書店さんを回る予定だった。
私は東京生まれの東京育ちなので、とても非常識で、全国どこへ行っても東京都内と同じような頻度でタクシーがつかまり、長くても10分に1回は電車が来るものと思い込んでいた。その偏った知識は当然ながら地方営業の命取りとなる。
その日の札幌の気温はその冬一番の冷え込みで−15度を下回っていたらしい。着膨れした私は郊外型書店へと向かった。昼間に札幌市内の書店を回っていたためにすでに着いたら夕方。書店を出た時は日が暮れていた。そこで始めてバスの時刻表を見ると・・・ない・・・10分に1本はあるはずのバスがあと40分後にしかこない・・・仕方がないので地下鉄の駅まで歩くことにした。歩くうちに流しのタクシーが拾えるだろう・・・私は甘かった。一生懸命後ろを向きながら歩いているのだが一向に来ない。歩道には誰もいない。そして、郊外型の店が集まる賑やかなエリアはとうにすぎている。・・・どうしよう・・・これはもうヒッチハイクをして誰の車でもいいから乗せてもらうしかないな・・・そうあきらめた少し後にようやく流しのタクシーがつかまった。思わず駆け寄る。運転手さんはこんなところで何を・・・とびっくりした様子。でも、本当によかった。
それ以来、私の営業えんま帳には「帰りのバスの時刻確認を忘れずに!」という一文が加わった。
スキーについては・・・?もちろん、北海道のパウダースノーを堪能して帰りました。