城郭研究者必携の本が出来ました
近江には1300以上の城跡があります。1997年、サンライズが最初に作ったお城の本は『近江の城−城が語る湖国の戦国史』(中井均著)でした。
それから20年、当初は滋賀県内の城郭の本を出していたのですが、いつしか県外のお城にまで範囲を広めるようになり、今春、遂に『織豊系城郭とは何か−その成果と課題』という全国レベルの本を発刊することができました。
この本の企画は1984年関西で結成された「城郭談話会」から30周年記念として出したいというお話を2013年に受け、2015年3月に刊行の予定でした。
ところが、原稿の遅延、掲載論考や城郭の追加などで2年遅れとなってしまいました。一時が、難産の末、立派なものに仕上がったことに安堵しています。
執筆陣は城郭研究の重鎮・村田修三氏、「織豊系城郭」という言葉を最初に用いた千田嘉博氏、礎石建物・瓦・石垣の3点セットが織豊系城郭の特質であるという中井均氏を始め、全国各地で活躍しておられる70名以上、併せて71本の論考・個別城郭67城、引用・参考文献が1000点以上というボリュームになりました。また他に類書がないというも、この本の売りです。
4月8日には、前述の諸先生を始めとする豪華メンバーが一堂に会しての発刊記念シンポジウムが大阪府高槻市で開催されました。120名の定員はすぐ予約で埋まり、北は岩手、南は鹿児島など遠方からの参加者、また高校生から80歳までという層の広さはまさしく城郭人気の高さを物語っていました。
シンポジウムの模様
さて、この本のおもしろいところは「織豊系城郭」について、はっきりした定義づけがされていない部分があるため、執筆者によって異なる見解が書かれているということです。つまり読者はこの1冊で各々の論考を読み比べることができます。
当初城郭談話会の編集責任者・田徹氏は『織豊系城郭事典』という仮題を考えておられたのですが、途中でサブタイトルであった「織豊系城郭とは何か」をタイトルに変更していただいた所以でもあります。
そういえば、私が高校の頃は安土・桃山時代という言葉で時代が区切られていましたが、今は織豊時代とか織豊期と云われているのですね。それならば織豊期城郭と織豊系城郭はどう違うのかって……?
はい、その違いについては是非この本をお読みください。