「ガイア」とは
ガイアブックスと申します。
主に翻訳出版を行っております。
版元日誌執筆は2度目ですが、前回は産調出版としてお目にかかりました。
弊社は2013年1月に、それまでの産調出版からガイアブックスへと社名を改めました。
今回は、ガイアブックスの名の由来と、そこに込められた我々の想いをお話させて頂きます。
ガイアブックスの社名は、イギリスの科学者ジェームズ・ラブロックが提唱したとある理論に由来します。
ラブロックは、地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げていることを、ある種の「巨大な生命体の活動」と見なしました。詳解すると複雑系の議論が絡んできてややこしくなるので割愛させて頂きますが、要は、地球を単なる「地の球」ではなく一つの生命体と考え、近視眼的・部分的な介入ではなく、自然の大きな流れと自浄作用を尊重し、共生していこうという考え方です。
この仮説は、ギリシャ神話の大地の象徴と言われる地の女神(ガイア)から名前をとり、ガイア理論と命名されました。
当初は批判的見解も多かったのですが、現在では多くの賛同が得られています。
産調出版は、その「ガイア」の思想を讃える出版社として、ガイア理論や、ガイア理論から派生した考え方を書籍という形で世に広めるべく、誕生しました。諸般の事情により社名に「ガイア」を冠しはしませんでしたが、誕生時から——ガイアブックスとなった現在に至るまで——ガイアの思想を本質としてきた出版社です。
(一説には「ガイア」という言葉を日本で始めて使ったのは弊社だという話も)
ナチュラルに生きる知恵を日本に普及させ、地球と共存し、サスティナブルな社会を築く一助となる出版活動を、標榜し、実践してきました。
設立から35年を経て、産調出版は予ねてより使用していた自社のブランド名「ガイアブックス」を社名とする決断を下します。これは、改めて原点を見つめ直そうという思いと、「ガイア」というワードを、ひいてはそれがもつ本質的な意味を、その思想を、さらに広く世に伝えていくシンボルとなろうという決意の下での社名変更でした。
「ガイア」というワードは、思想哲学や自然科学等に明るくなくとも遊戯王のキャラや「ガイアの夜明け」、「ガイアが俺にもっと輝けと(ry」等で耳慣れている方も少なくないと思います。ですが、それらの「ガイア」はあくまで「地の球」としての意味で使用されているか、あるいは、何の意味も含まないパワーワードとして玩ばれています。(「ウルトラマンガイア」は、本質的な意味を含有しています。大傑作!)
言葉の意味や用法が元来のものから変容することを私は否定しませんが、しかし、かつてそこに込められた思いは正しく継承していきたい。既に述べたように、「ガイア」とは、地球とは、「生きている巨大な生命体」なのです。その前提に立つことで、真の調和と共生を志向することが可能となります。そのことを忘れてはならない。
そのために、我々は「ガイア」の名を背負います。その名のもとに、地球と一人ひとりの人間、地球と人間社会の調和と健康のダイナミックなバランスを模索します。私たちの肉体と宇宙の間に流れる不思議なエネルギーをはっきりと認知し、心とからだと魂(Mind, Body, & Spirit)の調和と健康、惑星的な調和と健康を志向します。
それが、ガイアブックスの——産調出版時代から変わらぬ——活動理念です。我々の秘めた想いです。
たかが社名、されどそこには様々な想いが詰まっているものです。他社名(に限らず、人名など名詞全般)のエピソードを知ることは楽しいですが、自社名についても、ときにふと立ち止まり、そこに込められた当時の想いを省みることや、今の想いを再確認することが大切ではないでしょうか。「信念を忘れるべからず」。分かっている。分かっているが、ついつい流されかけていることもある。人間だもの。
折に触れて振り返り、襟を正すことも必要ですね。