「走りながら気になっています(?)」
実を言うと、私はランナーであったりする。仕事と家事の合間をぬって、月間に最低でも200km走ることを1つの目標としている。走り出したきっかけは友人に10kmマラソンに誘われたから。そこから10年以上の月日が経ち、今ではフルマラソンだけでなくウルトラマラソンやトレイルランニングにまで、手ならぬ足をのばしている。
さて、前置きが長くなった。7月は『データでみる スポーツとジェンダー』(日本スポーツとジェンダー学会編)を発行する。
リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックが近づき、選手への期待、応援熱も高まってきている。オリンピックに限らず女性アスリートの活躍は目覚ましく、女性のスポーツ参加も増えているように感じるが、現状はどうであろうか。
私が参加する各種ランニング大会でも女性の参加者は徐々に増えているように感じる。しかし、年間のフルマラソン完走者数をみると女性率は30%くらいというのが実情。トレイルランニング大会完走者での女性率は、20%をきることも多い。女性はまだまだマイノリティ? というのを実感してしまう。
『データでみる スポーツとジェンダー』では、オリンピックをはじめとする女性と男性の選手数・役員数、男女別にみるスポーツの実施状況など、様々なデータを駆使して、そこから見えてくるものを分析する。スポーツをやらない(できない)理由に男女差があるのか、学校での体育の授業の男女差、スポーツにおける暴力とセクハラの問題、メディアの男女アスリートのとりあげ方など、データを示されると「へえ~、そうだったのか」というものが見えてくる。
それに加え、本書はスポーツ界におけるセクシュアリティ問題もとりあげる。「公平さ」を理由に科学的に男女の線引きを行おうとした結果、線引きできない性の複雑さとその限界をかえって露呈したと論じられる。
セクシュアリティの問題は4月に第2版を出した『近代家族のゆらぎと新しい家族のかたち』(松信ひろみ編著)にもまとめた。家族のありようは非常に多様化している。セクシュアリティの問題は隠されてきたが、家族を語る時にも、今後は避けて通れないこととなっていくだろう。
少し社会学に寄ったがスポーツの話題に戻そう。小社が発行するものは専門書がほとんどである。分野は多岐にわたるが、自分の興味に添った分野のものをつくるのは楽しい。上に紹介した2書もそうであるが、もう1冊紹介したい。
『市民からアスリートまでのスポーツ栄養学(第2版)』(岡村浩嗣編著)である。フルマラソンを完走すると2000kcal近く消費する。途中でエネルギー不足にならないようにするにはどうしたらよいか、脱水症状を起こさないために水分補給はどれくらい必要か、パフォーマンスを上げるには大会前にどんな食事をとったらよいのかなど、食事・栄養面で自称アスリート(笑)として知りたいことを伝え、私にもわかるようにとお願いをして構成内容を考えて執筆してもらったものである。マラソンは持久系のスポーツであるが、瞬発・パワー系のスポーツもあれば球技・チーム系のスポーツもあり、スポーツによる栄養のとり方の指導もお願いした。このコンセプトとわかりやすさが功を奏し、じわじわと売れている。
スポーツに関するものも徐々に増やしていきたいと思うこの頃なのである。