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福袋今昔

 正月に福袋を買わなくなって久しい。といっても、以前はよく買っていたわけではない。
 何回か買い求めた経験はあるが、福袋を買ってよかった、と思ったことが一度もないからいつのまにか興味を失ってしまったのである。
 最近の福袋は、昔のような売れ残りの詰め合わせだったり、流行おくれのアウトレット物の在庫処分ではなく、内容がちゃんと表示されているものが多いと聞く。
 モノが行き渡った今の世の中に合わせた傾向だろうが、欲しかった物を何も福袋で他の商品と抱き合わせで手に入れなくとも、今では日常的にリーズナブルに手に入れられるいろいろな販売チャンネルがあるのではないかとも思う。
 まあ、福袋の魅力はまたべつのところにある、ということだろう。まだまだ正月の風物詩として根強い人気があるようだ。
 福袋といえば、意外なところでは、図書館が「福袋企画」に乗り出しているという。
 図書館? ん??? じゃないだろうか。もちろん図書館が本を売るわけではない。本業は変わらない。ちゃんと貸すのである。
 図書館の福袋は、なかにどんな本が入っているのかわからない。ひと昔前の福袋のようである。袋のなかは、ふだんなら自分が手を出さないジャンルの本が入っているかもしれない。
 そこにおもしろさがあるようだ。人との出会いが意外性に満ちているように、我が身の行く末を左右するような本との出会いがあるかもしれない。
 そういう力もまた、本にはある。だから、ドキドキワクワクするのかもしれない。
 本はたいがい、自分が求めて買う(借りる)ものである。しかし考えてみれば、書店で予定外の本をついつい買ってしまうこともある。装幀に魅せられたりタイ
トルに惹かれたりして、思わずレジに運んでしまうのである。
 昔ながらの福袋が、本の福袋として図書館で生き残っているというのもおもしろいが、本はその扉を開けば各人各様の宇宙が広がる、というところが本の魅力である。
 ところで、本の福袋が「売られて」いたら……と考えると、どうもあれは図書館ならではの企画、というところだろう。
 
 
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