いつかは出版梓会の賞を/無料公開「社会学居酒屋談義」ご紹介
先週の西日本出版社 内山さんの「今年も出版梓会の賞を逃しました」を読んで、「うちも応募してみたい!」と思って、「梓会出版文化賞について」をみたら、応募条件が「原則として10年以上継続して出版活動を行っており、かつ年間の新刊発行点数 が5点以上の出版社とします」とありました。
堀之内出版は、2011年創業なので、10年目は2021年。あと6年…。長い!
修行の6年と思って、いつでも賞を頂けるように、ベストセラーを輩出し続けたいと思います。
でも、条件は「原則」ですから、もしかしたら新刊『労働と思想』や『nyx』に、「一般読者からの推薦」が押し寄せて、「例外」として「特別賞」ぐらいは…!というのは妄想ですが、そういうことがあったら面白い!と思いませんか…?(思ったら推薦よろしくお願いします!)
出版梓会は“会の目的を「学術・専門書籍および雑誌の出版事業に関する調査研究を推進し、その文化的使命の達成を図り、以って国民文化の向上と社会の進展に寄与すること」”(「出版梓会について」より)とされています。
近年、学術・専門書籍において個別の好調書籍はそれぞれあると思いますが、全体として活気を呈しているとは言いがたい状況だと思います。
弊社の発行書籍も、研究者の方などを中心にご好評いただいておりますが、一般の方には、まだまだ情報が届いていないこともありますが、知っていただいた方にも「堅い」「むずかしそう」と敬遠されがちです。
堅そうな本、難しい本は、専門を勉強した方でないと読めないでしょうか。
そんなことはない、と思います。自分のことで恐縮ですが、専門書出版社の編集者の方は、ご自身も学生時代などに、その分野の研究をされていた、という方も多くいらっしゃいますが、私はそうした経験がありません。ですが、現在、各方面から頂いた原稿を読むと「面白いなあ」「今はよくわからないけれど、これはどういうことだろう」など、読む楽しみをたくさん感じます。
この楽しみをもっと大勢の人と分かち合いたい!
弊社では、先日、発行している雑誌『POSSE』の人気連載「社会学居酒屋談義」(仁平典宏)の最新作を、無料公開しました。
「社会学居酒屋談義」特別サイト
東京大学准教授の仁平典宏さんが、居酒屋を舞台に学生相手に語るという対話形式で、社会学について、大学1年生の初学者でもわかるように、と軽やかな笑いを取り入れつつ書いておられます。イラストは榎本俊二さん。「社会学」「居酒屋」へ更に独特の不条理感の味わいをプラスしてくれています。(「この絵」の覗き込んでいる方々、だれだかわかりますでしょうか!)
楽しい部分を、笑いながら「あー、面白かった!」と読んでもらえればそれで十分。正直、よくわからない部分もあるかもしれません。それでも楽しんでもらえて、また次も読んでみたい、と思って頂ければ、それで十分だと思っています。
読んでいるうちに馴染んでくること、また類書が読みたくなって広がること、もしかしたらずっとわからないままのこともあるかもしれません。
それでも、「知っていること」「わかっていること」が、読者の皆さんに少しでも増えて、少しでも楽しんでもらえたら、版元として冥利に尽きます。
テレビでは、クイズ番組や豆知識を紹介する番組が、今もヒットしています。ウェブでも「知恵袋」は人気コンテンツです。
「最近の〇〇は…」という言説は色々ありますが、「知らないことを知りたい」という気持ちは、今も昔も変わらず、多くの人が持っている気持ちだと思います。
学術・専門書は、まさにそうしたコンテンツが詰まっています。
専門性のある本を100万人が読むことはないかもしれませんが、それでも、現在の読者数よりはまだまだたくさんの人に読んでもらうことはできるのではないでしょうか。
「最近の〇〇」のせいにせず、どうしたらその橋渡しができるか。書籍で、その他の補助コンテンツで、どんどん伝えることの挑戦をしていきたいと思っています。
本は面白い!
関連図書
『POSSE』vol.25(12月25日発売、「社会学居酒屋談義」第3夜掲載)
『POSSE』vol.24(「社会学居酒屋談義」第2夜掲載)
『POSSE』vol.23(「社会学居酒屋談義」第1夜掲載)
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