スマホ向けアプリ ~リジェクトが迷走のはじまりだった~
東京電機大学出版局は1月末日をもって版元ドットコム組合員から会員社へ移行しました。キャンディーズ風に言うと、普通の会員社になりました。決して南海キャンディーズではありません。
それはさておき、今日は小局のスマホ向けアプリについて紹介いたします。
電大出版局が初めてスマホ向けアプリをリリースしたのは2011年5月。我ながら時代の最先端を走ってるなー、なんて思ったものです。iPhone向けに資格試験対策問題集3タイトルを同時リリース。大学本体から出したニュースリリースがまわりまわってITmediaやYahoo!などネット上で取り上げられたりしたものですから、上々の滑り出しでした。8月には無料版もリリース、その後も順次タイトル数を増やして、2012年夏ごろには有料無料合わせて12タイトルをリリースするまでになりました。ちなみにすべて資格試験対策問題集、資格は情報処理技術者試験です。
ダウンロード数や売上については、正直に言えばどう評価していいのかわかりませんが、その当時、初期投資回収にいたっておりません。現在(2013年春)でもまだ回収できていません。ただ当時は、この調子でいけば2~3年で回収を完了して利益を産むだろうと見通していました。2012年夏までは。
2012年夏、満を持して13タイトル目、14タイトル目のアプリを開発し、アップルにリリースを申請しました。
「リジェクト(拒否)」
リジェクトの理由は、たしか「同じようなアプリをいくつもリリースされると、利用者がAppStoreでアプリを探す際のユーザビリティに悪影響がある」というようなものでした。
じゃあ、タイトルを増やすにはどうすればいい?という質問には「アプリ内課金型で」という回答でした。
アプリ内課金型についての説明は省略いたしますが、実際にこの方式でやろうとするとサーバを立てたり新たにプログラムを書いたりで投資がさらに必要になります。投入資金の回収がさらに遠のきます。さらにアプリ内課金型はリピーターの囲い込みには有効かもしれませんが、新規のユーザにとっての電大のアプリの見つけやすさには疑問が残ります。
このときばかりはアップルが嫌いになりました。アップル製品はiPhoneしか使っていませんが。
そこで次善の策としてとったのは、Android端末向けアプリの開発です。コンテンツはiPhone向けにそろっていますから、これをコンバートすれば、それほどコストがかかることなく、よりユーザの多いAndroidOS端末向けにアプリをリリースすることができる。なんたってスマホ端末のOSのシェアは、AndroidOSがiOSをはるかに凌駕していましたから。同じコストかけるのであれば、より大きな市場
であるAndroidOS端末に進むべきだという選択はそれほど間違った選択ではないと、その時は思っていました。
外部業者と協力してAndroid向けアプリの開発を進め、予定通り2012年12月上旬にリリースをしました。有料無料合わせて9本。ニュースリリースも前回同様にうちました。インパクトは十分。iPhoneアプリのタイトルを増やせない現状をAndroid向けアプリで挽回するというプランがついに動き始めました。
12月・・・
1月・・・
2月・・・
Android向けアプリがあまりにも売れません。たとえば2月の有料アプリのダウンロード数はそれぞれ次の通り。
Android向け : 53本
iPhone向け : 542本
10倍の差。
ユーザ特性のリサーチが甘かったと言えば甘かったのでしょう。効果的な宣伝をうっていたかといえば、ごめんなさい。ただ、アプリの宣伝手法については試行錯誤の段階で、何が有効かを見極めきれていないのが現状です。現在、アドワーズを導入して試しているところです。
スマホ向けアプリを初めてリリースしてから間もなく2年です。
iPhone向けアプリは比較的堅調に売上を伸ばしていましたが、タイトル数の制約により望ましい収益性の実現にはいたっていません。
かたやAndroid向けアプリは、そのスマホ向けOSシェアに対して有料アプリの購買傾向が極めて弱いということがわかりました。
現状では、Android向けアプリのタイトル数を増やす選択はとれません。売れていませんから。であれば、iPhone向けにアプリ内課金型を開発してタイトル数を増やしていくのか?いま、悩みに悩んでいます。
コンテンツ自体については使い勝手を改善しつつ、萌え系キャラを配して、それっぽいCV(キャラクター・ボイス)を組み込みました(一度無料版でお試しください)。魅力的なコンテンツになっていると思っているのであとは宣伝かなーと。
電大のスマホ向けアプリ紹介ページ
http://www.tdupress.jp/josho
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