奇跡の算数セミナー
とてもやさしい算数のお話をひとつ。
「9」という数字──これは、9つ目という順番を表す場合と、9つ分という量を表す場合があります。小学1年生の算数には「9と5、どちらが大きいですか」という問いがでてきますが、この場合、数字を量として捉えるから「9が大きい」と答えられるわけです。
先日の11月24日……三連休中日の土曜日。前日の寒い雨がウソのような秋晴れの日に、弊社のDVD+BOOK『子どもが夢中で手を挙げる算数の授業』(授業用の算数ソフトです。以下『夢中で算数』)を使っている先生たちが、北は北海道、南は山口県から江戸川区のタワーホール船堀に集まり「奇跡の算数セミナー」を開催しました。『夢中で算数』 をどのように使い、それがどのように子どもたちに定着し、成績アップにつながったか。さらに子どもたちが明るくなり、クラスの立て直しができたという、経験に基づく発表が活発にされたのです。
北海道から来た先生は、耳が不自由というハンディを持った子どもに「数の大きさ」を指導した話をされました。
小学1年生にとって、数=量というのは難しい概念です。しかもこの子の場合、説明の声がよく聞き取れないために「量」の理解できていません。黒板に書かれた数字の大きさを比べて、彼女なりに「数の大きさ」を判断していたのでした。つまり文字通り、見た目が大きい数を。
とはいえ「2つの数のどちらが大きい?」と問われれば、確率2分の1で正解できるので、わかっている風で過ごしていたのです。
ある日その事実に気がついた先生は、黒板にチョークで文字を書くことをせずに(まったく同じ大きさで書くのは不可能ですから)、『夢中で算数』を使って数の大きさ(量)を画像で見せたのです。そしてマウス操作で問われている数をどんどん変えながら、クラスみんなでどちらが大きいかを何十問も答える授業を行いました。その甲斐あって「数の大きさは、姿の大きさではなく、量の多い、少ないということ」がはっきりわかった彼女は、算数の第一歩を歩き始めました。
やがて2年生になり、ちょっと難しい九九も、『夢中で算数』を使って学習したこのクラスは、平均点は99.13点! なんとも信じがたい事実ですが、紛れもない事実です!!
ある先生からは、『夢中で算数』の授業を子どもが楽しみにする、そして算数がわかるから勉強が楽しくなり、ストレスがなくなる。と同時にクラスのムードが穏やかになった、という学級崩壊立て直しの話が出ました。また授業にソフトを使う意義を熱く語る先生や、わからないからとあきらめて0点を取っていた子が70点、80点という成績になった話など、「奇跡の算数」が生まれて育っていく様子は、すべて熱いものでした。
発表もさることながら、聞いている先生たちも、算数の考え方や応用、子どもへの声かけなど、授業に役立つアイデアを発表事項に補足していきます。そうなのです、参加した先生たちはとても熱心な先生ばかりなのです。
子どもが違えば教え方も異なります。多くの事例を知れば知るほど、現場ではより子どもに合った教え方ができることでしょう。さらに補足事項を発端にして意見が交換されるなど、どんどん深く算数の授業が掘り下げられます。もうこれはセミナーではなく研究会であり研究現場です。
この日の日程は、13時~17時:奇跡の算数セミナー、17時~19時:夕食兼懇親会。一般的なセミナーならここで解散ですが、貪欲に取り組む先生たちは「もう少し実践の話を聞きたい」「もっと発表したい」と言い、わざわざ元の会場に戻って、19時~21時:第2部奇跡の算数セミナーを始めたのでした。こんな長時間の熱いセミナーはまさに「奇跡の、算数セミナー」でした。