一人一人を抱きしめたい
爾の時に、無尽意菩薩即ち座より起ちて、偏に右の肩を袒ぎ、合掌して仏に向かって是の言を作す。世尊よ、観世音菩薩は何の因縁を以て観世音と名づくるやと。
ご存知、妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五(観音経)の冒頭部分である。
チベット仏教のダライ・ラマと同じように、右肩をあらわにしてワンチュク国王夫妻が来日された。知的で堅いイメージを私は抱いたのだが、完全に裏切られた。なんと、感じの良い国王なのだろう。お釈迦様を尊敬する信仰心が体から滲み出ている。そして、ユーモアたっぷり。なんとなく、若い時のアントニオ猪木にも似ている。ブータンに行ってみたくなった。
テレビ等の報道によると、ブータンでは、国民総幸福量(Gross National Happiness)を政策の根幹に据えているという。
今年ほど、我々は自然のパワーにひれ伏した年はなかったのではないだろうか。人間が生み出した科学技術も自然にはかなわないと。その中で、多くの人が「自分にとって一番大切なもの」を真剣に考えたのではないだろうか?
WHOは健康を「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」(昭和26年官報掲載)”Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.” (http://www.who.int/suggestions/faq/en/)と定義している。
ずいぶん前の話になるが、この定義をWHOは再定義しようとした。spiritualとdynamicの2語を追加しようという提案である。spiritualをどのように翻訳して受け取るかどうかは日本人と西洋人の間に文化的・宗教的ギャップがあるかもしれないが、幸福と健康、人間同士の関係、科学と宗教、見える物と見えない物、そして日本が進んでいくべき道をもう一度じっくりと考えてみたい。
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